スーパーに一年中並んでいる「にんじん」ですが、実は「旬」があることをご存知でしょうか? 今回は、そんなにんじんについて、新潟県津南町で、「津南の雪下にんじん」を生産されている、株式会社フィールドボックス専務取締役の飯吉友恵さんにお話を伺いました。
私たちが普段食べているにんじんには2回の旬があり、10月から12月に収穫されるものが「冬にんじん」、4月から7月に収穫されるものが「春夏にんじん」と呼ばれています。品種や産地を変えながら生産されているため、私たちは1年を通して食べることができるんですね。
ちなみに、おいしいにんじんの見分け方や、おいしさを維持できる保存方法はあるのでしょうか。
「品種にもよりますが、ある程度太さがあるにんじんは、ストレスなく育ってきたものなのでおいしいと思います。保存方法としては、にんじんを1本ずつ新聞紙に包み、冷蔵庫の中に立てて保存しておくのが一番おいしさを保てる保存方法です。
スペースの問題で立てることが難しい場合は、新聞紙でしっかり包み乾燥を防ぐだけでも大丈夫です。農家では、土がついた乾いた状態で保存することが多いんですよ」
「冬にんじん」と「春夏にんじん」のちょうど間、3月下旬の雪解け時期に旬を迎えるという、「雪下にんじん」。あまり聞き慣れない名前ですが、どんなにんじんなのでしょうか。
「その名の通り、冬の間雪の下で越冬したにんじんです。新潟以外の寒い地域でも作られているのですが、新潟県津南町の「津南の雪下にんじん」は、2019年に地理的表示(GI)に登録され、新潟を代表するブランド名産物となっています」
「津南の雪下にんじん」は、普段私たちが食べているにんじんとはどのように違うのでしょうか?味の特徴を教えてください。
「昭和50年前半、普段より早く降った初雪が、そのまま根雪になった年があったそうです。そのため、11月に収穫するはずのにんじんが収穫ができないまま年を越し、春に雪の中から掘り出したところ、おいしくて甘いにんじんになっていたというのがはじまりです。
他のにんじんとの圧倒的な違いは、みずみずしさです。雪の下の一定の温度で過ごした『津南の雪下にんじん』は、普段食べているにんじんより水分が多く甘みやうま味がたっぷり。
にんじんが苦手だという方の中には、『このにんじんなら食べられる』と言う方もいるくらい。特有の臭みのようなものが少ないんです。歯切れのいい食感も楽しめます」
苦手な方でも食べられる味と聞くととても気になります! 「津南の雪下にんじん」、すごく食べてみたくなってきました。
みずみずしく、うま味、甘みが豊富とのことですが、「津南の雪下にんじん」は、どのように調理するのがおすすめなのでしょうか。
「特徴を最も活かせるのは、サラダです。スティック状にして、味噌マヨネーズで食べる方法は、我が家でも定番です。津南町のお店でもよく出てくるメニューです。
そのほかにも、千切りスライスにしてオリーブオイルと塩だけで食べるのもおいしいですよ。基本的には生で食べるのがおいしいにんじんですが、加熱する料理だと、『津南の雪下にんじん』のみで作るかき揚げがおすすめです。これも、お塩で食べることでよりおいしさを味わうことができますよ」
話を聞いているだけで、よだれがでてきそうです。他にも飯吉さんが、個人的に気に入ってリピートしている食べ方があれば、ぜひ知りたいです!
「水分が多い『津南の雪下にんじん』だからこそできるのが、にんじんジュースです。ミキサーにかけて、こしたものにレモン汁やりんごジュースを足して飲むのですが、これがすっごくおいしいんです。普通のにんじんでは味わえない瑞々しさです。
あとは、輪切りにしレンジでチンしてオリーブオイルと塩だけで食べます。600Wで1分半くらい。あと1品足りないというときや、彩りがほしいときにぴったりなんです。『津南の雪下にんじん』は出回る時期が本当に短いので、旬の時期にはいろいろなレシピでおいしさを楽しんでいます」
どのレシピもすごくおいしそうですね。飯吉さんのお話にもあったように、市場に出回る時期は3月下旬から4月下旬の1ヶ月限定と短く、基本的には新潟県内で消費されることが多いそうです。
でも、このお話を聞いていたら、雪の下でおいしくなった「津南の雪下にんじん」が食べてみたくなりましたね。もし、手に入る機会があったら、飯吉さんおすすめのレシピを試してみてくださいね。
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飯吉さんに教えていただいたおいしい食べ方の他にも、「雪下にんじん」の特徴を活かしたレシピが紹介されています。2つともとってもおしゃれで、ますます食べたくなりますね。
雪下にんじんの特長を存分に味わえる、ロースト、ドレッシング、リエットの贅沢レシピ。
甘みを活かしたシフォンケーキは、何度でもおかわりしたくなるおいしさ。
雪の多い新潟県津南町ならではの方法で栽培されたにんじん。畑に植えたまま雪の下で冬を越すことにより、味がマイルドで甘く、にんじん特有の青臭さが少ない歯切れの良いにんじんが収穫されます。
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