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コラム

力加減が何よりも大切!冷めてもおいしい「おむすび」の作り方

【お米ライターのオコメバナシvol.14】私たちにとってお米はあって当たり前の存在ですが、実は意外と知らないことだらけ。そこで、巷でよく耳にするお米に関する「疑問」や気になる「噂」をお米ライター柏木智帆が検証します。おいしい白飯や米料理さえあれば食卓は豊かになる!をモットーにお米のおいしさを追究していきます。

ふっくら粒立ちの良いおむすび作りに大切なこと

暖かくなってくると、お弁当を持ってピクニックに出掛けたい気分になりませんか。おむすびを持ち歩いてもごはんが冷たくならないし、外で食べても日中ならば寒さに凍えることがないのが嬉しい限りです。今回は、お弁当用のおむすびを作る際のポイントについてご紹介します。

1. お米の選び方

まずは、お米選び。ひとくちに「おむすびに合うお米」と言っても、目指すおむすび像によって選び方は変わります。

しゃっきりと粘りすぎず硬めなお米が好みという方もいれば、もち米のように軟らかくて甘い低アミロース米が好みの方もいるでしょう。また、程よい粘りがあって、口に入れたときにごはん粒がほろりとほどけて、粒張りが良く、弾力があって咀嚼を楽しめるお米が好みという方もいると思います(私です)。

2. 炊飯の仕方

人によっていろいろな好みはありますが、その中でもやはり粒感はおむすびの重要事項だと思います。ごはん粒同士がくっついて潰れてダマになってしまうようなお米はいまひとつ。そのためには、米選びに加えて炊飯も重要です。

炊飯で目指すのは、ふっくら感や粒立ちの良さ。おすすめは、土鍋やアルミ鍋などのガス炊飯か、炊飯器の早炊きモードです。いずれも冷蔵庫で最低6時間以上、浸水します。早炊きモードには蒸らし時間が含まれていないため、土鍋と同様に蒸らし時間を設けましょう。

蒸らしが完了したら、しゃもじで飯切りをします。この作業を行うか行わないかによっても、ごはんの味わいは大きく変わります。余分な水分を飛ばすとともに、炊きムラをなくすことができるため、必要な作業です。

おむすび作りのクライマックス!むすび方のいろは

「おむすびを握る」だと力を込めるイメージが湧きやすいと思うので、今回は「握る」ではなく「むすぶ」とあえて表現しています。それくらい、力を入れずに仕上げたいおむすびは、ごはんは熱いうちにむすぶのが鉄則です。冷め始めるとごはんが上手くまとまってくれず、無理にぎゅっとまとめようとすると硬いおむすびになってしまいます。一方で、熱いうちならば自然とおねば(※)によってごはんがまとまってくれるため、口に入れるとふんわりと粒ほどけの良いエアリーなおむすびが作りやすくなります。

むすぶ際は、おねばによる米粒同士の結合力を信じて、空気と一緒にふわりとむすぶようなイメージを大切にすると、力を入れずにごはんがまとまってくれます。きれいに作ろうとするあまり、形を整える過程でごはん粒同士がぎゅっと固まってしまうと、冷めた時に硬くなって食べづらいだけでなく、おいしくありません。

※おねば……炊飯時にごはんの表面に溶け出た粘着性のあるデンプン質のこと

■触る回数よりも力加減が大事

むすぶとき、「触るのは◯回以下」というコツを読み聞きしたこともありますが、重要なのは回数よりも力加減。数回触るだけで作れるなら問題ありませんが、回数にとらわれてうまく成型できない場合は、回数を気にする必要はありません。

実際に私が好きなおむすび屋は1個につき10回以上触ってむすんでいましたが、できたおむすびはほろりと粒ほどけが良く、とてもおいしいおむすびでした。ごはんの表面から1ミリもおむすびに力を加えないつもりで「寸止め」しながらむすぶと、ぎゅっと硬くならずおすすめです。

ごはんが熱くて触れない…という場合は、ラップを敷いたまな板の上に、おむすび1個分のごはんを均等に並べていって、最初に並べたごはんから順にむすんでいくと、多少温度が落ち着いてむすびやすくなります。

■おむすび作りに大切な塩加減

おむすびに付ける塩は熱々のうちは塩味を感じやすいですが、冷めると塩味を感じづらくなります。そのため、冷めてから食べる想定の時は、塩は多めに。おむすびの大きさや、合わせる具材やおかず、使う塩などによっても欲しい塩の量は変わりますが、作りたてはちょっと多すぎるかなと感じるくらいの塩加減のほうが、冷めるとちょうどいい塩梅です。

■おむすびの包み方

完成したおむすびを、熱々のまま包んだり容器に入れたりしてしまうと、水蒸気の水分で水っぽくなってしまうため、あら熱がとれてから包装します。

個人的にはラップよりもアルミホイルで包むほうが水っぽくなりづらいため好みですが、家族で出掛ける時はそのまま重箱に詰めています。重箱に詰めると、おむすびの形が崩れづらく、ゴミが出なくて何度も使えるし、見映えも良く、ピクニック気分をより楽しめるのでおすすめです。

画像提供:ピクスタ

柏木智帆

お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。

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