これと言った理由はないのに、なんとなく疲れが取れない、常に疲労感があるという方のために、料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんのが提案する「疲れ取りごはん」をご紹介します。暖かい日が増え、気持ちは盛り上がるはずなのに、体がその気持ちについていかない……。そんな方におすすめのレシピも教えていただきました。
――季節によっても疲れの種類が変わると思うのですが、これからの季節に出やすい疲れというのはありますか?
4月、5月は、目まぐるしくいろんな変化がある季節でもあります。冬場は、体力温存のために、自然と「溜め込む」という働きが起こるのですが、どうしても不要なものも溜め込んでしまいます。いろいろと溜め込んだ状態で春を迎えると、体が重く感じることがあるんです。冬から春へのリセットがうまくできないと、疲れが溜まりやすくなってしまいます。
――この時期の疲れは、どのような症状となって現れることが多いですか?
体が重いという感覚になる人が多いと思います。活動しにくい季節から、新しいことがスタートするという環境の変化に順応できず、活動のスイッチが入りにくくなるんです。冬場は日照時間も短いので、鬱っぽくなりやすいと言われています。春になってもその気持ちを引きずっていると、その鬱っぽい雰囲気のまま、春のソワソワ感に落ち込む人もいるようです。
――この時期の「疲れ取りごはん」で積極的に摂りたい食材は?
生の野菜が良いと思います。にんじんが生でおいしく食べられる「にんじん×ゴマの無限サラダ」をおすすめしています。にんじんに限らず、生で摂る野菜は酵素が多く含まれています。食べ物から摂る酵素というのは消化を助けてくれるので、その分、体内の代謝酵素をうまく働かせることができるんです。 発酵食品を摂ると良いと言われるのは、消化と栄養の吸収が良いから。体に大事なものがすみやかに吸収できる食べ物ということなんです。
食材は2つだけとシンプルですが、「にんじんって、こんなにおいしかったんだ」と思えるレシピ。
にんじん…3本 白ゴマ(炒りゴマ)…80g 塩…小さじ2/3 酢…大さじ2 しょうゆ…適宜
1.にんじんは、チーズおろしやスライサーなどで細切りにする。 2.白ゴマを弱火で香りが出るまで炒り、すり鉢でやさしくする。 3.ボウルに1.と塩を入れてなじませ、酢と2.を入れて混ぜる。 *お好みで香り付け程度のしゅうゆを加えても。
※冷蔵保存4日
――「疲れ取りごはん」はどのように生まれたのでしょうか。
もともとは、疲れを取るというところからスタートしたわけではないんです。みなさんの日々のお悩みを聞いて、そのお悩みを解消するレシピを作っていたら季節ごとのレシピができたという流れです。
食べ物の栄養素を解説したうえで、理に叶ったレシピを紹介していたら、「体調がよくなった」とか、「栄養のことを考えて作るのが楽しくなった」と、想像もしていなかったうれしいご意見をいただくようになりました。旬の食材を使って、できるだけ簡単に目的に合うレシピを発信することで、多くの方のお役に立てたらうれしいです。(TEXT:上原かほり)
画像提供:Adobe Stock
「何かしらの不調を抱えている人は少なくありません。そして、その不調の原因がよくわからない方、病院に行くほどじゃないと考えている方、なんとなくこんなものだと放っておいている方も多いです。
でも、食生活を変えるだけで体はどんどん変わっていきます。変化を感じるとさらに食べ物と向き合えるようになると思います。この本は、その入り口になったら良いなと思っているんです。 コロナ禍で、料理に興味を持った方や調理する機会が増えた方たちに、簡単でシンプルに作れるレシピをたくさんご紹介しています。体調が回復したとか、料理が楽しくなったという反響をいただいます。この一冊が、みなさんが抱える不調を改善するお役に立てたら良いなと思います。」
食から始めるアンチエイジングをテーマにテレビ、雑誌、WEBなど各種媒体を中心に活動。フードコーディネート、飲食店プロデュース、商品開発のほか、健康と美容、食育など各種講演やセミナーで啓蒙活動を行う。長年の構想を元にウェルネス事業を立ち上げ、健康寿命に向けた様々な仕組みを創出すべく邁進。
YouTubeチャンネルはこちら>>
Instagramはこちら>>
ブログはこちら>>