【日常酒飯の「つまみめし」レシピvol.11】「お酒の締めにお米を食べようとすると、お腹がいっぱいで食べられない」。そんな声を聞くことがあります。ならば、お米を食べながら、お酒を楽しむのはどうでしょう?思わずお酒が呑みたくなるようなお米料理。つまり、「つまみ」になる「めし」。名付けて「つまみめし」。お米(ごはん)とお米(日本酒)のペアリングで、楽しい“日常酒飯”の食卓に。お酒の肴になるだけでなく、子どももおいしく食べられる「つまみめし」を、お米ライター柏木智帆がお米のコバナシとともにお届けします。
山菜の季節になると、あらゆる山菜を食べないと損した気分になるのは私だけでしょうか。
豪雪地帯に住み始めてからは、山菜を食べた時の喜びもひとしお。ああようやく暖かい季節がやってきたのだと喜びを噛みしめ、特に香りや風味の強い山菜には、その爽やかさに恍惚とします。
昨春、「うこぎ」や「あぶらっぽ(こしあぶら)」など、さまざまな山菜で混ぜごはんを作りましたが、その中で「チャンピオンだ!」と感じたのは、タラの芽ごはんでした。香りと風味が強く、山菜好きにはたまらない混ぜごはんです。
夫によると、「開く直前のタラの芽が一番うまい」とのこと。タラの芽といえば、天ぷらしか思いつかなかった私でしたが、夫の提案で混ぜごはんにしてみると、もう他の山菜では物足りなくなってしまうほど、タラの芽ごはんに心を奪われました。
タラの芽とごはんが分離してしまわないように、粘りの強いお米を選ぶと一体感が生まれます。義兄と夫が栽培した、粘りが強くおねば(保水膜)が厚い「ゆうだい21」というお米で作ってみると、抜群の相性でした。
以前、岩手県に住んでいた友人の家に遊びに行った際、沢で葉わさびを取って醤油漬けにしてくれました。ポイントは葉わさびを茹でるのではなく、熱湯に浸けること。香りが飛ばずに作ることができると教えてもらいました。
昨年は夫が沢で葉わさびを採ってきてくれたので、友人に教わった通り、熱湯に浸けて作ろうと思いましたが、作り方の詳細が分からず、こちらのレシピを参考にしました。
私の周りには「葉わさび」ではなく「花わさび」と呼ぶ人もいます。たしかに茎の先に白い小さな花も咲いているので、「葉わさび」・「花わさび」とどちらが正解なのかわかりませんが、今回は葉わさびと呼ぶことにしておきます。
この白い小さな花も一緒に漬け込んでみると、茎や花よりも葉のほうが辛いように感じました。この爽やかな辛みと甘じょっぱさで白飯がいつまでも食べられてしまい、個人的には「ごはんのお供ベスト3」にランクイン間違いなしのメニューです。
ちなみに、沢で採った葉わさびの先に根が付いていたので、すりおろしてから鰹節をかけた炊きたてごはんにのせて、醤油をひとまわしすると、これもまた絶品。わさびは、葉、花、茎、根と、すべての部位が最高のごはんのお供になる優秀な山菜だと実感しました。
山菜を採ることができる機会があれば何よりですが、地元のスーパーや連休中の旅先でタラの芽や葉わさびなどの山菜を見つけたら、ぜひ白飯と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。