ニュースなどで耳にする「食料自給率」。つい、先日も農林水産省から食料自給率の目標値に関する方針が発表されましたね。この食料自給率とは、国内の食料消費が国産でどの程度まかなえているかを示す指標のこと。つまり、食料自給率が高ければ、自分の国で作った食べ物が多く、食料自給率が低いと、他の国の食べ物に頼っていると考えることができます。
この食料自給率は、「カロリーベース食料自給率」と「生産額ベース食料自給率」の2通りの方法で算出されます。
体を維持するために必要なエネルギーで表したもの。
作られた食べ物の価値をお金で表したもの。
昭和40年度には73%だった食料自給率(カロリーベース)が、平成25年度には39%になりました。この数値は、じつは世界でもとっても低い数値。つまり、日本では食べ物の多くを外国に頼っているということになります。でも、食料自給率が低いとどうなるのでしょうか?
食料の輸入が増えると、じつは環境にも影響があるんです。
国産農産物の需要が低くなると、農地面積や農家で働く人が減り、農業に関する機能が弱くなってしまいます。
食料危機がおこると、自分の国の供給を優先するため、輸出を抑えてしまうので、輸入に頼っている食料が食べられなくなってしまうんです。
食料自給率が低いと起こる影響はさまざま。食料自給率を上げるために、国もいろいろな施策を打っていますが、私たちも少し意識しないといけませんよね。
普通のレストランなどでは、カロリーはメニューに表示されていることはあっても、食料自給率は書かれていませんよね。でも、食料自給率を算出したメニューを提供しているのが、農林水産省の食堂。
最近、この農林水産省の食堂が、実はおいしいらしいと噂になっているのはご存知ですか?職員はもちろん、一般の人でも利用することができる食堂なんです。実際に、食べに行ってきましたよ!
いくつかある食堂のうち、今回訪ねたのは和食・カフェテリア「手しごとや 咲くら」。入り口は、普通の食堂と行った感じです。
セットで注文できるタイプもありますが、自分で好きなお皿を選んで組み合わせることもできます。メニューを見ると、本当にカロリーベース食料自給率が書いてあります!その一部を紹介すると、
セットメニューの「マグロ漬け丼セット」【食料自給率62%】
「ブリのカマ焼き」【食料自給率90%】
「トロメカジキソテー」【食料自給率37%】
魚によっても、こんなに違いがあるんですね。
食堂のメニューで、食料自給率の高いものを組み合わせて定食を作ってみました。食料自給率はそれぞれ、ご飯:100%、紀州梅干し:100%、目玉焼き:100%、なすの煮浸し:100%、ブリのカマ焼き:90%。
米や卵など、食料自給率が100%のものはごく一部。思っていた以上に食料自給率が低いメニューが多いと感じました。食料自給率が高いものを選ぼうとすると、選択肢がかなり限られてくるんですね。
「食料自給率が低く、輸入に頼りすぎの状態が良いとは言えません。世界中の色々な食べ物を輸入できるのは、日本の豊かさ、良いところだ、という人もいますが、今の数字(39%)は、低すぎますよね。」
と話すのは、案内してくれた農林水産省広報室の米田さん。なるほど、輸入したものを食べられるのも、日本の豊かさの表れなんですね。
クックパッドに公式キッチンも開設している農林水産省。投稿されている一部のレシピの食料自給率を教えていただきましたよ。
食料自給率100%の米を粉にした「米粉」を使った料理は、国も推奨しています。小麦粉の食料自給率は12%なので、それを米粉に代えると食料自給率は高くなるのだそう。
今回、実際に普段自分が食べている料理の食料自給率を見て、やはり外国のものがほとんどなのだと感じました。色々なものを食べられることに感謝しつつ、日本で作られたものを日本の未来のためにも意識していくのが重要なのではないかと思います。みなさんも、毎日の食を考えるきっかけにしてみてくださいね!