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コラム

「卵かけご飯」を美しく撮る!ツルッとした表面にバシッとピントを合わせるには?

【まいにちごはんの撮り方レッスン vol.12】暗くなってしまったり、うまく質感が出せなかったり、料理の写真を撮るのは意外と難しいもの。この連載では、料理写真家・田部信子さんに「おいしい料理写真」の撮り方をレクチャーしていただきます。コツをマスターして、SNSやブログにアップする料理写真をぐっと魅力的にしてみませんか?

前回のコラムでは、自分で色を調節して撮る方法をお伝えしました。スマホでも、カメラアプリを活用すると自分で色を決められます。写真を撮る前に、おいしそうな色になっているか、ちょっとひと手間入れてみてください。

撮り方のステップ

(1)イメージを決める
(2)どこで撮るかを決める(どんな光を使うか)
(3)どこから撮るかを決める(アングル、カメラの位置)
(4)どのくらいの範囲を写すのか決める(レンズを選ぶ)
(5)構図を決める
(6)スタイリングを決める
(7)明るさと色の調整
(8)主役にピントを合わせて撮影

最終回の今回はTKG(卵かけご飯)を撮りながら「ピント」を合わせる時に大切な3つのことについて書いていきます。

TKG、卵かけご飯ってとてもシンプルだけれど、意外にピント合わせが難しかったりするんです。 卵かけご飯のおいしそうなところと言えば、なんと言ってもあの、つるっとした卵の表面と、コロッとまるいフォルムですよね。この、つるっコロっとしたところにバシっとピントが合っていたら、とてもおいしそうに見えます。

でも、実はこのつるっとしたところというのは、カメラがピントをうまく合わせられないところなんです。 ピントを合わせたつもりでも、よく見るとボケていたり、一眼レフやミラーレスカメラの場合は、シャーシャーとレンズが動いていつまでもピントが合わない…ということも。

そんなシンプルだけどピント合わせが難しいTKGをサンプルに、ピント合わせのコツをお伝えします。

ピント合わせのコツ その1.「ピントは見せたいところで合わせる」

ピントを合わせましょう、というとキョトンとする方もいらっしゃいます。スマホでは全体的にピントが合って見えるため「ピントを合わせる」ということを意識しない方も多いようです。しかし、最近はスマホでも「ボケ感」を出せるようなポートレートモードなども出てきています。その状態でピントが合っていないと、「ピンぼけ」写真になってしまって残念なことになります。 ピントが合っていると、見る人の目は自然とそこに集まります。つまり、あなたが見せたいものを意図的に見せることができるのが「ピント」なのです。

この2枚の写真を見比べてください。両方とも同じTKGを撮ったものですが、左のほうが美味しそうに見えないでしょうか?

よく見てみると、左の卵にはピントが合っていますが、右の写真ではご飯には一部ピントが合っていますが、卵はちょっとボケっとしています。いわゆる「ピンぼけ」写真です。 ピントの合っている位置がちょっと違うだけですが、これで魅力がぐんっと変わってきます。

TKGで見せたいのは卵。その意識を持って、しっかり卵にピントを合わせましょう。

ピント合わせのコツ その2.「明るさとピントは別に考えよう」

iPhoneで写真を撮っている人を見ていると、よくこんな光景に出会います。 液晶の色々な部分をタップして、良い明るさになったところで撮る、という動き。もちろんそのタップした場所が「見せたい」場所なら良いのですが、背景の部分をタップしている方も結構多いのです。(そんなところが見せたいのかな…)はじめはなぜなのか分からず「どうしてそこをタップするのですか?」と聞いたことがあります。すると「ここをタップするとちょうどいい明るさになるんです」というお答え。

なるほど、と思いました。確かにiPhoneでは、タップする場所によって明るさが変わります。

例えば、以下の場合では左奥の黒のテーブルクロスの部分をタップしています。

カメラは暗いところをタップされると全体を明るくしようとし、明るいところをタップされると全体を暗くしようとします。そのため、黒いクロスをタップすると全体的に明るい写真になります。この明るさだと、卵の右側は白くなってしまっています。

そして、もうひとつ大切なことは、この時ピントもタップした左奥のクロスの場所になり、TKGがボケてしまうということ。それは困りますね。

以下の場合は、ごはんと卵の中間ぐらいをタップしています。

タップしたところが明るいので、上の写真に比べて全体的に暗めの写真になります。卵も綺麗に色が出ていますね。そして、ピントはたまごに合い、後ろのクロスはボケてきます。

iPhoneの標準カメラアプリでは、明るさとピントをクリックした場所で決めています。そのため、タップした場所で明るさを決めようとすると、ピントまで一緒に見せたいところとずれてしまうのです。

では、どうしたら良いのでしょうか?

基本的には、タップするのは「見せたい場所」にしましょう。そして、明るさは連載のvol.4でも書いたように、タップした時に現れる太陽マークの位置を上下することで調節しましょう。

Androidや、他のアプリでは、明るさは別のボタンで調節できることが多いようです。その場合は、見せたい場所にピントが合うようにタップして、明るさは別途変更しましょう。

ピント合わせのコツ その3.「つるんとしたところはピントが合わせづらい」

なめらかなスープの表面、ゼリーの表面、コーヒーの表面、そして今回のようなたまごの表面などにピントを合わせたつもりが合っていない!うまく合わせられない!という思いをしたことはないでしょうか?

そもそも、カメラはこういうつるっとした凹凸のない場所にピントを合わせるのは苦手なんです。

では、そういう時はどうするべきか。ピントを合わせたい場所とレンズから同じぐらいの距離にある「色が変わっている場所」を探して、そこで合わせると合わせやすいです。

例えば、この写真のように色の濃淡がない部分はピントが合わせづらいのですが、その右の光が写って白くなっている部分は、それだけでピント合わせは楽になります。

つまり、合わせづらい時は、レンズからの距離が同じぐらいのところの、濃淡がはっきりしている場所を探してそこでピント合わせをすれば良いということなのです。

それがコップのヘリだったりしても大丈夫です。ポイントは、「レンズからの距離が同じ」位置のものを探すようにしてみてください。

ピントがしっかり合った写真は、あなたが伝えたい「おいしさ」や「味」がより伝わりやすい写真になります。ここまでやってきた、光や明るさ、色、構図…それらを整えた後は、しっかりピントを合わせて撮るようにしてください。

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さて、約1年に渡り続けてきた連載も今回が最後になります。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

料理というのは、どんなにおいしく作っても、どんなに綺麗に盛り付けても食べてしまうとなくなってしまう。そんな刹那的な一面もあります。そういう時に一枚パシャっと写真を撮ることで、その料理があなたの思い出になったり、レシピになって誰かを幸せにする一枚になるかもしれません。

クックパッドには多くの方が日々レシピを投稿してくださっています。そして、同時に多くの方が苦労してご自分のお料理の写真を撮ってくださっているのも私達は知っています。そういう方が少しでも楽に写真を撮れるようになってほしい、そして撮ることが楽しくなってくれたらもっといい。そんな思いで連載を書いてきました。この連載を読んで、一人でも多くの方が「写真を撮るのが楽しくなった!」と言ってくださると嬉しいです。

皆様の日々のレシピに感謝しながら、この連載を終わりにしたいと思います。 長らくお読みいただきありがとうございました。

田部信子

横浜市出身。青山学院大学文学部英米文学科卒業。外資系IT企業のSE職を経て、カメラマンへ転身。広告、雑誌、ブライダルの撮影を行う。双子出産後、カメラ教室で約3000人の生徒さんに写真の撮り方を教える。2018年より、料理写真家として活動中。

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