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コラム

食欲を呼び覚ます!埼玉の「冷汁そうめん」はスルスルと無限に食べられる旨さだった

【“クックパッド芸人”藤井21のソロ飯 vol.41】クックパッド芸人を自称し、自らのキッチンに1000品以上のレシピを掲載している「藤井21」さん。一人(ソロ)で作って一人で食べるという「ソロ飯」を日々楽しんでいるそう。藤井21さん自作のおすすめレシピと、悲喜こもごものエピソードをご紹介します。

照りつける日差しが暑いを通り越してもはや痛いとすら感じる。あー、今日の昼飯をどうするかと思いを巡らせようとしても、思考が蜃気楼のようにゆらゆらと立ち上っては消えていく。 すでに料理する気力すら汗と一緒に流れ落ちていってる気すらする。そんな日でも、いや、だからこそ、あーあれだなと思うものがある。それが「素麺」

きっと多くの日本人のDNAに深く刻まれているであろう“夏=素麺”

茹だるように暑い日はキンキンに冷えた素麺を一気にすする。もうあの冷えた素麺がノドを通る爽快感たらない。照りつける日差しもじっとりと汗ばむ肌も全て、素麺をおいしくするための薬味なんじゃないかとすら思える美味さだ。

めんつゆにすりおろし生姜と刻んだ茗荷を入れてつるっとすする。ごまだれにたっぷり青ネギを入れたものもまた香ばしくて乙だし、たぬき風に揚げ玉とネギ、それから温玉を乗せてぶっかけ風ってのも良い。

ただやはり、夏の素麺と言えば「冷汁(ひやしる)」にトドメを刺す。

料理に知見のある人なら瞬時に「あー、あの宮崎のやつね」と思い至るだろうが、それは早合点。宮崎のそれとは似て非なる、そして一線を画すのが「埼玉の冷汁」だ。ちなみに埼玉では冷汁は「ひやじる」ではなく「ひやしる」と呼ぶ。

埼玉の冷汁の発祥を辿ると、元々小麦の生産が盛んな埼玉県では、夏の暑い時期にも簡単にできて野菜がたくさん摂れる「冷汁うどん」が好まれていてそれが広まっていった云々….。元々冷汁はうどんで食べていたらしいのだが、我が家では夏の代名詞・素麺の定番つけ汁として君臨していた。

さて、用事でたまたま実家に帰省していたこともあり、せっかくなので久々に本場(?)の冷汁を昼飯に作ってみた。冷汁のマスト野菜であるきゅうりと大葉を採取しに実家の裏にある畑まで繰り出す。

何が何やらどこに何の野菜があるか素人にはわからない……。照りつける日差しもジリジリと痛いし、もしかしたら今が冷汁作り一番の正念場なのかもしれない。

太陽に向かってハツラツと咲く向日葵を横目に、何とかきゅうりと大葉を探し出し、収穫して急いで自宅に戻る。

冷汁作り一番の山場は越えたので、あとはもう消化試合と言っていいだろう。やる気が汗と共に流れ落ちて無くなっている時にでも簡単に出来るのが冷汁の魅力だ。

【埼玉郷土料理】冷汁(ひやしる)素麺

たっぷりの大葉の香りに生のきゅうりの清涼感が涼しく、すり胡麻の香ばしい香りが失せていた食欲を呼び覚まし、素麺がするすると無限に入っていく。

この冷汁だが、各家庭によって作り方が微妙に異なるのもおもしろいところで、茗荷や玉ねぎを加える家庭があったり、砂糖を足して甘くするレシピもあったり、はたまた水ではなく出汁で割るものもある。呼び方も我が地元・東松山市では「冷汁」だが、隣の川島町あたりでは「すったて」と呼んだりする。かく言う僕も、宮崎の冷汁を初めて知ったときに「何で冷汁に焼き鯵なんて入れてんだよ!」と思ったくらいなので、もしかしたら未だ知らない冷汁が全国にはあるのかもしれない。

これを読んでいる暑さに嫌気がさしているあなたにも、「我が冷汁」があるのだろうか?

藤井21(ふじいにじゅういち)

料理と笑いで天下を目指す男性ピン芸人。
埼玉県東松山市出身。東松山のやきとりを愛し、東松山市親善大使「東松山市應援團」の一員。食品衛生責任者の資格を持ち、クックパッドには1000以上のレシピをアップしている。日本テレビ系列『ウチのガヤがすみません!』などに出演。

>>オフィシャルブログ「良い香りのある生活