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食の知恵

火災や一酸化炭素中毒の恐れも!キャンプ時にガスを扱う際のNG行動

夏キャンプのシーズン到来! 夏休み中のキャンプやBBQの計画を立てているご家庭も多いのではないでしょうか。そこで今回は改めて覚えておきたい「安全にキャンプを楽しむための6つの注意点」を解説。初心者はもちろん、慣れてきた人も初心に帰る気持ちで今一度注意点を確認しましょう。

1.【出発前の注意】「燃料器具」をチェックする

カートリッジガスコンロやガストーチなど燃料器具の一部が劣化していると、ガス漏れが起こり、やけどや火災につながる恐れがあります。キャンプに出発する前には必ず点検を行い、ガス漏れがないかチェックしましょう。

チェックポイント

① 変形や傷
燃料器具には接続部の気密を保つためにO(オー)リングという部品がついています。ここが劣化するとガスが漏れ出る恐れがあるため、変形や傷がないかチェックしましょう。

 写真提供:コールマン

ガスカートリッジとの接続部も繰り返しの使用や過剰な締め付け、ゆがんだ状態での取り付けなどで削れるとガスが漏れる恐れがあります。

 写真提供:コールマン

② 音やにおい
異常は目視では確認できないこともあります。そのため、接続時に「シュー」というガスが漏れる音や異臭がしないかを確認してください。

③ ごみの有無
空気の通り道にごみや土・砂などが入り込んでいると、 必要な空気が不足して異常燃焼となり、火力が低下するだけでなく、一酸化炭素が多量に発生します。使用前にごみなどが付着していないかも確認してください。

④ 炎の状態
燃焼の状態を目視し、炎が赤すぎる、大きく揺らいでいるなどの異常が認められた場合は一度燃料ノズルなどの点検や清掃をしてください。改善しない場合は直ちに使用を中止し、メーカーに相談してください。

 写真提供:コールマン

2.【使用場所の注意】テント内では使用しない

カートリッジガスコンロや燃料式ランタンは風通しの悪い場所で使用しないでください。換気の不十分な場所で使用すると一酸化炭素が充満し、最悪の場合死亡事故に至る恐れがあります。特にテントの中やフライシートの下では絶対に使用しないでください!

 写真提供:コールマン

テントの外でも風向きなどの条件次第ではテント内に燃焼した空気が滞留することがあります。異臭がしたり、少しでも気分が悪くなったりした場合は直ちに換気を行ってください。 特に、たき火では多くの一酸化炭素が排出される場合があるので注意が必要です。

3. 【接続に関する注意】燃料は正しい組み合わせで使用する

ポータブルストーブやランタンは、それぞれに適した燃料があります。指定されたもの以外の燃料を誤って使用すると、事故に至る恐れがあります。使用する機器に適した燃料は何であるかを機器の表示や取扱説明書などで必ず確認してください。

 イラスト提供:NITE

間違った接続をするとこうなります!

ガスカートリッジを接続する際は、取扱説明書の指示に従って正しく接続してください。ガスが漏れた状態で使用を続けると、バーナーの火が漏れたガスに引火し、周辺を焼損するおそれがあります。

 写真提供:コールマン

4. 【使用法に関する注意】五徳から鍋や鉄板がはみ出すのはNG

カートリッジガスコンロを使用する際は、スキレットやダッチオーブンなどコンロ全体を覆う大きさの鍋や鉄板は使用しないでください。鉄部からの放射熱(鉄部から発生した熱)によってガスカートリッジが加熱され、バルブ内のプラスチックパーツが溶けることによるガス漏れによる引火や、内圧上昇によりガスカートリッジが破裂するおそれがあります。

<正しい使用例>

 写真提供:コールマン

<間違った使用例>

 写真提供:コールマン

 写真提供:コールマン

また、以下の状況も危険なので注意が必要です。
・カートリッジガスコンロを2台並べて、その上に鉄板を乗せる
・五徳を裏返した状態で使う
・調理以外の用途でガスコンロを使用する
・蓄熱性の高いものを乗せて使用する
・コンロ周辺を覆う

5. 【保管に関する注意】自動車内での保管はNG

ガスカートリッジは発泡スチロールの箱やクーラーボックスに入れるなどして保管してください。自動車の車内など高温になる場所は危険です。高温になると内部のガスが気化、内部圧力が上昇し、破裂に至ることがあります。特に直射日光が当たっている車内では、場所によっては80°Cまで上昇するため絶対に置かないでください。また、使用後には製品を箱や袋に入れ、 汚れが付着しにくい状態で保管してださい。

6. 【廃棄に関する注意】ガスは完全に抜く!

ガスカートリッジは完全に使い切ってから廃棄してください。ガスが残っている場合は、風通しのよい屋外でガス抜きを行ってください。風通しの悪い場所ではガスが滞留し、周囲に火元があった場合に引火する恐れがあります。

ガス抜きをしないとどうなる?

内部にガスが残ったまま廃棄すると、ごみ収集車で圧縮された際にガスが漏れ、圧縮時の摩擦によるスパークで引火し、火災につながります。

近年はコロナ禍の影響もあり、密を避けられる屋外のアクティビティが人気を集めており、キャンプ需要が高まりを見せています。ただ、それにあわせてキャンプ用品に関する事故も増加傾向に。せっかくのキャンプが悲しい思い出にならないためにも、事前に説明書を読み、器具を正しく・安全に使えるよう心がけましょう!

(TEXT:河野友美子)

取材協力:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)は「安全とあなたの未来を支えます」をスローガンに、経済産業省所管の法令執行や政策を技術的な面から支援している公的機関です。製品安全センターでは、家庭用電気製品等の事故の原因究明を再現実験により検証し、その結果を情報発信することで、製品による事故の未然防止に貢献しています。

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