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インタビュー

食費の予算は1人いくらが正解?脱・お得ハンターになれる"節約に効く"買い物術

家計を支える方たちにとって、気が休まる暇がないほどの値上げラッシュが続いています。買い物に行くたびに値上げした商品を見てはため息の連続ではないでしょうか。今、値上げをしているものは、「高いなら買わなくても良い」というものではなく、生活をしていく上での必需品が多く含まれています。値上げをしても買う必要があるものを「節約しながら購入する買い物術」を、節約アドバイザーの丸山晴美さんに聞きました。

“無駄な半額買い”・ “だろう買い”をしないためには?

――買い物に行くのが怖くなるくらいの値上げラッシュが続いていますが、この状況の中でも節約をしながら買い物をする方法はあるのでしょうか。

何を買っても、「高いなぁ」と感じますよね。私も買い物に行くたびにドキドキしています。でも、節約ができる買い物の仕方を知れば、この値上げの中でもしっかり節約することができます。

――それはとても心強いお言葉! どのように買い物をすれば良いのか教えてください。

まず、買い物に行く前に意識してほしいことを3つご紹介します。

1.買い物メモを作って優先順位を意識する
2.疲れているとき、お腹が空いているときに行かない
3.できるだけ1人で買い物に行く

――買う物をメモしてから買い物に行くのですか?

必要なものをメモをしてから買いに行く、というのはとても大事です。私は、書かないと必要なものを絶対に買い忘れてしまうし、もう一度買いに行って、今度は余計なものまで買ってしまうということがよくあります。やりくりを頑張っている人って、ついついお得なものを探す“お得ハンター”になってしまいがち。「今日のお買い得品はどれかしら」「見切り品は?」「半額シールは?」となっていたら、不要なものを買ってしまうサインです。

――お得ハンター! 耳が痛いです……。では、2つめの、疲れているとき、お腹が空いているときはダメというのはなぜですか?

買い物は自分自身との会話です。だから、お腹が空いていたり疲れていると、“言い訳買い”が増えてしまいます。頭ではわかっていても、袋を開けてすぐ食べられるものを探してしまうんです。あと、「家族が食べるだろう」という“だろう買い”もしがち。値上げラッシュの今は、限られた予算の中で買い物をしなくてはいけないし、優先順位を意識していかないと予算内に収まらない、予算を増やさないといけないというタイミングにきています。予算内に収めるには、必要なものから買って、残ったお金で嗜好品を買うという頭に切り替える必要があります。そうでないと、食費が収まるわけがないんです。

――なるほど……。では、買い物は1人で行くというのはなぜですか?

例えば、週末に家族と車でショッピングモールに行くと、家族が欲しいものを買ったり、ついでにあれこれ見て買い物をしてしまいます。さらに、最近はどこも大型化しているので、歩数が増えたり、レジに並んだりして疲れを感じやすくなりますよね。結果、「材料は買ったけど、ごはんを作る気にならないわ」と外食することになって無駄な出費につながります。1人で行けば、必要なものだけを買ってお店を出ることは難しくないです。1人だと荷物を運ぶのが大変な方は、ネットスーパーを使うという選択肢もあります。

レジに行く前に、カゴの中身を最終チェック

――メモを持ち、お腹も満たされた状態で1人スーパーに行った後に気をつけるべきことはなんですか?

スーパーに到着して買い物をするときに意識してほしいことは、以下の3つです。

1.割引シールに過剰反応しない
2.レジに並ぶ前にカゴを見る
3.加工度合いの低いものを買う

――割引シールを見つたら、すぐにカゴに入れてしまいます。安く買えるので良いことではないですか?

もともと買おうと思っていたものが半額になっていたら良いですが、買う予定がなかったものを半額だからと買うのは“無駄な半額買い”になります。

――半額シールのものを買っても、使いきれなければ食品ロスにつながるということですね。レジに並ぶ前ぶカゴの中を見るというのは?

レジに並ぶ前にカゴの中を冷静に見て、必要なものだけを買おうとしているかを確認するんです。家族と一緒に買い物に行くと、この時点で嗜好品やお菓子がカゴにたくさん入っているなんてこともありますよね。最終チェックで本当に必要なものだけを購入してください。

――最後の、加工度合いの低いものを買うというのはどういうことでしょうか。

今値上がりしているものは、小麦や油が多いですよね。つまり、それが使われているものも同時に値上がりしているんです。なので、加工されたものではなく、原材料を買って自宅で作るということを心がけることで節約につながります。

食費の予算の決め方は1人◯◯円がおすすめ

――値上げが続く中で、お得に買えるお店の選び方などがあれば教えてください。

白物が手頃なスーパーは、全体的に手頃なスーパーが多いです。食パン、卵、牛乳、豆腐などが安いお店は消費者に優しいお店だと思います。

――先ほど、値上げに合わせて予算を上げていく必要もあるというお話がありましたが、食費の予算の決め方の基準を教えてください。

1ヶ月、1人2万円。これは外食も含めてです。お父さん、お母さん、お子さん一人であれば6万円。その予算内でやりくりできれば良いと思います。

――買い物は、小まめに行くよりまとめ買いのほうがいいのでしょうか。

1週間分をまとめ買いして、無駄なく使い切れる人というのは上級者です。ほとんどの方が失敗をして食材を無駄にしてしまいがち。なので、3日に1回の買い物をおすすめします。ちょこちょこ買い物に行くと“お得ハンター”になりがちなので、まずは3日に1回。慣れてきたら1日伸ばしてみるという感じにしてみてください。あと、食費のやりくりが上手な人は、今あるもので“もう1日”をひねり出すことが上手です。

――「小まめに行くと無駄なものを買う」というのは本当にそうですよね。

自分で買い物に行くと“お得ハンター”になってしまうので、子どもにおつかいを頼むというのもありです。私もよく、子どもに「◯◯を買ってきて」と頼みます。おつかいだと頼んだものだけを買ってきてくれるので節約にぴったり。でも、旦那さんに頼むと、「これじゃない……」というものを買ってきたり、頼んでいないものも増えていたりするので、私の場合は子どもに頼むほうが節約にはぴったりです(笑)。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

すでに大変な状況ですが、これからも値段が上がることはあっても、下がる要因はあまりありません。旬のものがたくさん採れたりすれば安くなることはありますが、それ以外は、これからもいろんなものが値上がりしていきます。野菜を作るために必要な肥料価格も上がってきているので、冬の野菜も値段が上がる予定です。私はそれを見越して、ベランダ菜園を始めました。すでに、プランターにチンゲン菜とモロヘイヤを植えて収穫しました。

今すぐにできることとしては、食材を最後まで無駄なく食べきるということです。食べきれずに捨ててしまうということがあると思いますが、年間で考えるとかなり大きな無駄になっています。できるだけ食品ロスがなくなるような調理方法や、食べ方をしていくと食費は下がっていくと思います。キャベツは丸ごと買うよりも、使い切れる量を買う方が良いとか、そういったことを考える力を身につけておくことがこれから必要になってくると思います。

(TEXT:上原かほり)

画像提供:Adobe Stock

取材協力

丸山晴美さん

旅行会社、コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。食費はもちろん生活全般の節約術・ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなど様々なメディアで活動中。
公式ホームページ「らくらく節約生活」はこちら>>

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