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インタビュー

「専業主婦は稼いでない」は大間違い パックンが断言する納得の理由

お笑い芸人やコメンテーターとしてマルチな活躍を見せているパックンことパトリック・ハーランさんが『賢く貯めて手堅く増やす パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)を発売。これまでもテレビや雑誌、講演会などでお金の貯め方や節約術、投資法について語ってきたパックンに、私たちが今すぐに実践できる節約について聞いてみました。これからの暮らしに役立つ「お金の考え方」が満載です!

お金を稼ぐ、増やすに欠かせない「節約」

あらゆるモノの値段が上がり、何をするにもお金がかかる時代です。お金の基本は、節約してお金を「守る」、一生懸命働いて「稼ぐ」、投資で「増やす」の3つ。でも今の日本では収入は上がりづらく、投資も短期間で儲けが出るものではありません。今日明日の暮らしに直結していて一番大事なのは、節約だと思っています。

だけど苦しい状況が続く今、節約に疲れちゃう人もいますよね。経済的に困難な家庭に育ち、10代からお金に向き合ってきた僕が実践する「疲れない」節約の方法やお金に対しての考え方についてお話したいと思います。

今すぐできる節約術と前向きマインド

まず、節約は大変!もうこれは認めましょう。節約は難しいし、疲れちゃうのは当然なんです。毎日よく頑張っているよねって、自分を褒めましょう。大変だという事実を認めた上で、しんどい節約を少しでも楽しく、前向きに捉えられる方法を考えたいですよね。

僕がやっているのは「昭和な暮らし」を楽しむこと。今の時代、数百円や数千円でいいモノが手に入るし、エンタメの種類も豊富ですよね。でも、それがなかった時代を想像してみてほしい。このサービスは本当に必要かな?代わりの方法はないかな?ってよくよく考えてみてください。

今日からできる節約術としては、「サブスク(※)」の見直しや、交通費の節約。僕は、動画配信サービスは1つに絞ったり、高額な24時間営業のジムではなくて1回300円くらいの公共施設を利用するようにしています。ジムに行けない時は散歩してますね。これなら本当に無料!

また、今でも仕事現場に愛用の自転車で行くこともあります。以前はレンタルしてたけど、これも毎回払うと地味に高いんですよね…。だから、なるべく「マイ・バイシクル」に乗ります。都内なら大体どこでも自転車で行けますからね。

趣味や日常的な消費を「お金のかからないもの」に切り替えるのは大切なポイントだと思います。そして、購入かレンタルか、どちらが長期的にお得かも考えてみましょう。数百円でも、ちりも積もれば大きな出費ですからね。

※サブスク…サブスクリプションの略。月額課金・定額制で契約するサービスのことをさす。

お金を使わない生活が不便だなと思うかもしれないけど、もともと昭和の時代にはサブスクや24時間サービスなんてなかったですからね。多少不便でも人間生きていけます。お金をかけずにこんなに楽しめてる!という喜びに変えられたらいいですよね。

基本的に、節約は趣味と思ってやってみるといいですよ。「やらなければいけない」ものではなく、節約する生活を自分で選んでいるというマインドが大事です。節約するのは何か目的があるからでしょう?なぜお金を貯めるのか、それがはっきりしていれば苦になりません。子育てにお金をかけたいから、老後に備えたいから…理由は人それぞれだけど、まずは目的をはっきりさせましょう。

そして、数百円でも節約できたら、自分をたくさん褒めてあげてほしい。私はえらい!よく頑張ってる!って。それくらい日々の節約って難しいし、続けるのはすごいことですから。

人と比べて疲れちゃう、そんな時は…

節約していると、お金に余裕がある人が羨ましくなることがありますよね。人と比べてしまうのはもう、人間の本能。仕方ないんです。でもきっと、誰かを羨んでいるあなたのことを、いいなぁと羨んでる人もいますよ。自分では気づかないけどあなたが「持っている」ものがあるはずなんです。

僕は子どものころに両親が離婚。母子家庭となり、一時期生活保護を受けるほど、経済的にかなり苦しい生活を送りました。10歳から新聞配達などのアルバイトをしていて、お金がないことで劣等感や妬みを感じていた時期もありました。

でも15歳くらいの時かな、俺ってお金はないけどスポーツ万能だし健康だ、それに勉強も結構できるし人気者だぞ…と「自分の持っているもの」を見るようにしたんです。

ひとつでも何かに恵まれていれば、それで十分ありがたい。自分が持っているもので幸せになればいいんだなって。母は私のことをものすごく愛してくれている、そして私も母のことが大好き。これだけでも十分すぎる「恵み」だと思えました。

お金を使う「罪悪感」との向き合い方

節約してお金を貯めることと同時に考えたいのが、お金の使い方。節約生活をしていると、お金を使うことに罪悪感を感じてしまう方もいるかもしれません。僕も以前はそうでした。でも、今は「達成感」と「幸せ」を感じるお金の使い方ができるようになりましたよ。

例えば移動手段。雨の日は愛用の自転車が使えません。そこでタクシーに乗る贅沢もあるけど、電車で行ったら数百円の節約になる。それが達成感になるんですね。

そして「自分が幸せを感じること」少しお金を使うのもポイントです。食事が大事な人は食事にお金を使って、通信費や光熱費など削れるところを節約すればいい。お気に入りのお店で1000円のランチを食べるのが幸せなら、たまには使いましょうよ。それは全然、無駄遣いじゃない。自分が何にお金を使ったら幸せになるか、その優先順位を考えてみるといいですよ。

1000円の節約は、1000円の稼ぎ

投資でお金を増やしたり、一生懸命働いて収入を上げるのも大切だけど、僕は節約が一番「稼げる」方法だと思っています。

例えば、外食でぶり大根を食べようと思ったら、家族4人分で4,000円はかかります。それを家で作ると4人前が1,000円くらいで作れますよね。この時、差額の3,000円は立派な「稼ぎ」なんです。自分で作ることで3,000円稼いだ!って自慢していいと思うんです。

買い物も同じ。1袋100円のカットキャベツを買うより、1個100円のキャベツを買って自分で切ったほうが量が多い。その差が「稼ぎ」です。これって、毎日何気なくやっている人もいるけど、実はとってもすごいこと。専業主婦は稼いでない、という意見があるけど、僕からすれば専業主婦はめちゃくちゃ稼いでる。家族のお金を守るプロです、と自信を持って欲しいです。

お金を稼ぐ人だけが偉いんじゃない。稼いだお金をしっかり守ってくれる人も、同じだけ偉い。稼いでくれてありがとう、守ってくれてありがとう。そんな気持ちが大切だなと思います。

アメリカにはこんなことわざがあります。「1セントの節約は1セントの稼ぎ」。今日からできる確実な「稼ぎ」を産むのは節約です。だから前向きに、頑張る自分をいっぱいいっぱい褒めながら節約に取り組めるといいですよね。

パトリック・ハーランさんの新刊著書

賢く貯めて手堅く増やす パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版

ハーバード大卒の人気お笑い芸人・パックンが金融教育の要点をわかりやすく解説。「投資で社会の一員になる」などの投資マインドから、「老後計算機」「5・3・2の法則」などのお金の基礎知識まで、ぎゅっと凝縮したマネー本の決定版!

パトリック・ハーラン

本名:パトリック・ハーラン。芸人・東京工業大学非常勤講師。 1970年11月14日生まれ。アメリカ・コロラド州出身。93年ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。97年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」をはじめ、多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。「AbemaPrime」「報道1930」でコメンテーターを務めるなど、報道番組にも多数出演。2012年10月より池上彰氏の推薦で東京工業大学の非常勤講師に就任。コミュニケーションと国際関係についての講義も行っている。二児のパパ。 25年以上の投資歴があり、金融教育の講師として全国各地で講演会も行っている。 最新刊の『お金の育て方』では、「生活保護」状態から「お金持ち」になるまでに身につけた、誰にでもマネできる、お金との付き合い方を詰め込んだ。

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