日本No.1レシピサイト「クックパッド」編集部
食欲がない、あるいは、食べても太れない。さらに疲れやすい、だるい、ほてる、など。日々の忙しさに、つい見逃しそうなこれらの症状。もし身に覚えがあって症状が続くようであれば、甲状腺機能に関係しているかもしれないな、と思い出してください。
食欲の有無の他にも「疲れやすくなった」「だるい」「動悸やめまいがする」「むくむ」といった症状。わかりやすい熱やせきといった症状と違って、「疲れてるかな、季節の変わり目かな」とつい見過ごしてしまうものです。
「こうした症状は甲状腺の病気にもみられます。患者数は数百万人にのぼると推定されているのに、そのうち半数は病気に気づいていないと言われているのが甲状腺の異常です」
今回は、東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科主任教授の市原淳弘先生にお話をうかがいました。
意識とは無関係に、心臓が動き、呼吸をし、一定の体温を保つ——、さまざまな器官が私たちの生命を維持しようと24時間働いてくれています。ひとつひとつの細胞が産生するエネルギーを有効に使っておこなわれるわけですが、その代謝をスムーズにしているのが甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン。
いわば私たちの「元気のもと」なのです。甲状腺は喉元にあります。
「甲状腺の働きに異常が生じると、脳や心臓、消化管、骨、皮膚など、全身に悪影響を与えてしまいます」
甲状腺機能による不調は圧倒的に女性に多くみられ、市原先生のもとを訪れる患者さんの8~9割が女性だそうです。大きく分けると、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺腫瘍(がんを含む)の3つに分類されます。
①甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に分泌される)
症状:食べても体重が減る、めまいがする、動悸や息切れがする、手や指が震える、イライラする、不安になる、ほてる、汗をかく、眼球が突出する、見えにくくなる
②甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの分泌が足りなくなる)
症状:食欲がない、だるく疲れやすい、すぐに眠くなる、体温が下がる、脈がゆっくりになる、寒がる、皮膚がかさかさする、物忘れが多くなる、便秘をする
こういった症状だと、「調子が悪いな」とは思っても、甲状腺の異常だと「ピン!」と来る人はなかなかいないのではないでしょうか。
甲状腺の病気の診断は、視診、触診、超音波(エコー)検査、血液検査でおこなわれます。
「亢進症の治療はさまざまな方法がありますが、お薬を飲む場合は平均すると2年ぐらいで落ち着いて、薬を飲まなくていいようになる方も多いですよ」と市原先生。
低下症は、体質的なもののほか、ストレスが原因になる可能性もあるとのこと。こちらもホルモン剤を服用して治療します。
「食欲、動悸やめまい、体重の変動、手や肌のハリ、イライラしないか、など、いつも自分の身体にアンテナを張っていてください。そして、女性はとくに、その不調が甲状腺機能の異常であるかもしれないと思い出してくださいね」(TEXT:大森りえ/ライツ)
市原淳弘先生
東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科主任教授。
内分泌疾患をはじめ、難治性高血圧、二次性高血圧などの治療の実践や研究を積極的におこなっている。
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