「なんとなくダルい」「風邪が治りにくくなってきた」そんな体の不調を感じている人は、もしかしたら脂肪肝かも!?実は、成人の3人に1人は脂肪肝で、肝機能の低下によって色々な不調が起こるのだとか。そこで今回は、肝臓の専門医である尾形哲医師による著書『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』(KADOKAWA)から、脂肪肝を改善する食事法について少しだけお届けします。
「肝臓は沈黙の臓器」。実際、肝機能がある程度低下していても、実感できる症状はほとんど表れません。暴飲暴食や不規則な生活が続いても、食べ物から吸収された栄養素をエネルギーや必要な物質に変え、体内に入ってきた有害物質や薬物を分解・無害化し、体内の血液の一部を貯蔵したり出血時の止血に作用したりと、生命を維持する働きを続けるのです。
肝臓が血中に余計なものを増やすまいとがんばる結果、自らの細胞に脂肪をためこみます。これが「脂肪肝」で、成人の3人に1人は脂肪肝だと推計されています。自覚症状はほとんどなく、血液検査のALTという肝機能を調べる項目が30を超えていたら注意です。
肝臓は3分の2を切除しても元の大きさに戻ることができる“再生力が高い臓器”。
だから肝臓から余計な脂肪を落とすこともできます。それには、“体重を減らす”のがポイント。今の体重の約7%を減少させると、脂肪肝が改善することが示されています。
現在の体重が60kgなら、60(kg)×7(%)=4.8(kg)減らせれば、脂肪肝は改善します。
肝臓は若さを維持できる臓器でもあります。脳死肝移植の手術で、80代の人の肝臓を50代の患者さんに移植したことがあります。その後40年間にわたって働き続ける可能性が見込まれているからです。
体形は20代に戻れなくても、肝臓は20代に戻れるのです。
脂肪肝になる最大の原因は“糖質”です。
糖質はおもに米、パン、麺、果物などの食品に含まれています。体内ではブドウ糖に分解され、血液を通じて全身に運ばれ、細胞のエネルギー源として利用される大切な栄養素。しかし糖質が過剰に摂取されると、エネ ルギーとして使いきれなかった余剰の糖は中性脂肪として蓄えられることに。
中性脂肪が肝臓に蓄積すると、“脂肪肝が進行する”わけです。てっとり早く食事をしようとすると、丼ものやサンドイッチ、うどんなど、糖質メインの食事になりがちです。こうした食事が習慣化することで、肝臓に脂肪が増える人が増えているのです。
糖質から必要なエネルギー量を確保しつつ、肝臓に脂肪を増やさない糖質摂取量は、1食で20〜40g。1日のトータルは130gを上限にしましょう。
主食で考えると、1食当たりのご飯の目安量は70gです。茶碗1杯でご飯150gなので、茶碗の半分ほど。この量を守れば、主食から摂取する糖質量が25gほどで、おかずを十分にとっても、糖質量が増えすぎません。
食事をすると自然に唾液が分泌されますが、その分泌量は年齢とともに減少していく傾向があります。食前にアゴの下を押すだけで、唾液の量が増えます。
食事中の唾液の分泌量を増やすと、食べ物の消化吸収がよくなって代謝がアップ。つまり、やせやすくなります。ところが唾液は年齢を重ねるにつれ分泌量が減っていきます。
そこで、食前に唾液が出やすくなるアゴの下を指で押すように刺激して、唾液の分泌を促しましょう。唾液が増えると口腔ケアにもつながって、むし歯や歯周病の予防にもなります。
本文は『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』(KADOKAWA)より一部抜粋・編集・追記しています。
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だからこそ、1分でできる食べ方の工夫のチリツモが、最も無理なく続くダイエット法なのです。
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尾形 哲(おがた さとし)
長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。1995年神戸大学医学部医学科卒業、 2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。