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コラム

日本人の8割が「たんぱく質不足」で老化も加速⁉️ 医師が注目する食事法

健康を維持するためにはたんぱく質を摂ることが重要です。ところが、たんぱく質を含む食材を食べてもうまく吸収することができず、「食べているのにたんぱく質不足」という状態の人が増えてきているのだとか。そこで今回は、平島徹朗医師と秋山祖久医師による著書『たんぱく質と腸の新常識』(株式会社Gakken)から、たんぱく質不足を改善する食事法について少しだけお届けします。

なんと日本人の8割がたんぱく質不足!
老化、肥満、不調が加速する!?

たんぱく質は体の材料になる大事な栄養素です。

にもかかわらず、なんと日本人の約8割以上はたんぱく質不足。この原因はいったい何なのか?クリニックで不調を訴える患者さんたちの栄養状態を調べ、問診をしているうちにその原因が見えてきました。

「たんぱく質を摂っているつもりが摂れていない」

これこそが、老化、肥満や糖尿病などの生活習慣病、さまざまな不調を加速させる大問題なのです。たんぱく質の大切さを再確認し、効果的に摂るための食事術を実践しましょう。

あなたはたんぱく質、しっかり摂れている?チェックしてみよう!

3つ以上当てはまる方は、たんぱく質の摂取量が足りていないか、摂取量は足りていても腸が栄養を正しく吸収できていない可能性大です

“12時間の空腹”でたんぱく質の吸収効率が上がる!
いま注目の食事法「ケトフレックス12/3」

私たちの体は飢餓を恐れます。体をつくるための材料や活動するためのエネルギー源が足りないと困るからです。そのため、体には飢餓を乗り切るためのシステムが備わっています。

実は、このシステムを上手に利用して、たんぱく質の吸収効率を格段に上げ、体にたくさんのよい影響をもたらす方法があります。

その方法が、認知症の予防や治療にも取り入れられている「ケトフレックス12/3(トゥエルブスリー)」という食事法です。

「ケトフレックス12/3」のルールはひとつ。
1日のうちで12時間断食し、さらに就寝の3時間前までに夕食を済ませること。

これだけで、飢餓の気配を察知した脳は、体内の脂肪を利用して「ケトン体」というエネルギー源をつくり出して蓄え、細胞は自らを分解、新生して自浄する「オートファジー」というシステムを発動 。細胞のターンオーバーが促進され、摂り入れたたんぱく質が有効に使われるという仕組みです。

「ケトフレックス12/3」のメリットは、たんぱく質を効率よく細胞のターンオーバーに使うことだけではありません。

12時間の空腹によってつくり出されるケトン体は、エネルギー源になりますが、糖のようにインスリンを使うこともなければ、血糖値を上げることもありません。そのため、朝食で糖質を控えめにしてもエネルギー不足になることもなければ、血糖値が急上昇することもない。空腹で迎える朝食は、食べすぎを助長して高血糖に陥りやすいため、血糖値を上げないケトン体の効果は願ったり叶ったりです。

さらに、オートファジーによって「脳内のゴミ」と呼ばれ、認知症を誘発するアミロイドβが減少します。これが「ケトフレックス12/3」が認知症予防に取り入れられている理由です。

実践に際して課題となるのは、「12時間の断食」と「就寝の3時間前までに夕食を済ませる」をどのようなタイムスケジュールで行うかです。12時間の断食なんて無理だと思われるかもしれませんが、睡眠時間を利用すれば案外難しくないことがわかります。

このように、睡眠時間を利用することで12時間の断食は意外と簡単にできます

ただし、注意点が2つあります。

【1】夕食後、血糖値が上がった状態で眠らない
高血糖の状態で眠ると、体を修復する成長ホルモンや睡眠に関わるメラトニンが働きにくくなります。これが「就寝の3時間前までに夕食を摂る」というルールの理由です。

【2】早めの就寝で成長ホルモンを効率よく活用する
近年、何時に寝ても入眠後3〜4時間で成長ホルモンが分泌のピークを迎えるといわれていますが、私たちは早めに就寝して体内時計のリズムを整えることで成長ホルモンの恩恵を効率よく受けられると考えています。だから、19〜20時までに夕食を摂り、それから約3時間後、日付が変わるまでに就寝するのがベスト。早寝早起きは成長ホルモンの恩恵を生かす最高の習慣なのです。

「ケトフレックス12/3」は、3日間続けることで体内の細胞が大幅に生まれ変わります。胃、小腸の粘膜は約3日で生まれ変わりますから、腸内環境は確実によくなり、たんぱくの吸収率・利用効率もますます上がるでしょう。

本文は『たんぱく質と腸の新常識』(株式会社Gakken)より一部抜粋・編集・追記しています。

メイン画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ

本書は、たんぱく質の効率的な摂り方とともに、「腸漏れ」という怖い症状を改善する腸活の方法をお伝えしています。実は腸漏れが起こると、栄養をきちんと吸収できないため、せっかく摂ったたんぱく質が無駄になってしまうのです。
つまり、たんぱく質不足を解消するためには、たんぱく質をたくさん摂る以前に「漏れない腸」にする必要があります。本書で紹介する腸漏れ改善のための「新しい腸活」には、「私がやっている○○って、もう古いの?」と驚くことが含まれているかもしれません。ぜひ皆さんも情報をアップデートしてください。
また、本書の食事術は、私たちが実際に試して効果を実感したものばかりです。簡単で続けやすいことを紹介しているので、気軽に実践してみて、健康で美しい体と心を手に入れてください。

書籍紹介


【絶対に漏らしてはいけない、たんぱく質と腸の新常識を教えます!】

「たんぱく質が大事」と多くの人が知っているのに、実は日本人の8割がたんぱく質不足!そもそもの摂取量が足りていないのはもちろん、たくさん摂ったとしても、腸が栄養を吸収できていないのが問題なのです。

その諸悪の根源が「腸漏れ」!

腸漏れが起こると、取り込みたくない菌やウイルス、アレルギーの原因物質など、体に不要なものまで吸収してしまうため、せっかく摂った栄養素を正しく吸収できなくなります。 疲れ、老化、肥満、やる気の低下……腸漏れで、さまざまな心身の不調が加速してしまうのです。

そこで本書は、漏れない腸にするための「新しい腸活」と、たんぱく質を不足なく摂れる「たんぱく質の正しい摂り方」をお伝えします。

著者はYouTube「胃と腸の健康解説 内視鏡チャンネル」で大人気のDr.平島とDr.秋山。

これまで10万人の腸を診てきた消化器と内視鏡の専門医が、さまざまな論文や研究をベースに「自ら試して効果のあった方法」ばかりを紹介しているので、簡単で実践しやすく続けやすい食事術がわかります!

著者紹介

平島 徹朗(ひらしま てつろう)
1973年神奈川県生まれ、大分県育ち。日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本抗加齢学会専門医。国立佐賀大学医学部卒業後、大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部などの勤務を経て、「たまプラーザ南口胃腸内科クリニック」「福岡天神内視鏡クリニック」を開設し、院長、理事長を務める。「薬の服用は最小限に、食事と生活習慣の改善が最優先」をモットーに横浜と福岡で診療を行っている。趣味はトライアスロン、筋トレ、ランニング、YouTube撮影。豆柴犬をこよなく愛す。

秋山 祖久(あきやま もとひさ)
1975年佐賀県生まれ。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医。中学生のころ、急性虫垂炎で入院したときの主治医のやさしさに感動し、医師を志す。長崎大学医学部卒業後、長崎大学消化器内科に入局。多くの総合病院勤務を経て、『福岡天神内視鏡クリニック』院長に就任。年間4000例以上の内視鏡検査を行っている。ビタミンDを愛し、ビタミンDの大切さを熱心に語ることから「ビタミンD先生」と呼ばれている。趣味はトライアスロン、読書、スポーツ鑑賞。早歩き通勤が日課。

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