3と9で“ザッコク”と読む語呂合わせから、今日は日本雑穀協会が制定した「雑穀の日」。同協会では「日本人が主食(白米)以外に利用している穀物の総称」=【雑穀】と定義していて、代表的なものとしては、キビ、アワ、ヒエ、モロコシ、ハトムギ、ソバ、ゴマ、ダイズ、アズキなど。ちなみに「玄米・発芽玄米」も雑穀に含めているそうです。
日本雑穀協会が認定する「雑穀エキスパート」の資格を持ち、雑穀と野菜料理専門の料理スクールを主宰する、料理研究家のタド・ジュンコさんに、雑穀の魅力について伺いました。
— 初歩的なことですが、『雑穀』の良さってなんですか?
以前、食事で生活習慣病の改善に取り組む団体に勤務していたとき、玄米・雑穀・野菜で体質を変えた方をたくさん目の当たりにし、驚くほど多彩な雑穀と野菜料理にも出会って、「おいしい!料理するのも面白い!」と感動したんです。赤・黄・紫など色とりどりの雑穀入りごはんは、現代人に大切な栄養として注目されている、抗酸化物質の【ファイトケミカル】。雑穀は、今を生きる日本人にとって理想的な食べ物だと思います。
— タドさん自身が“雑穀効果”を実感したことは?
20代、30代の方から「肌がキレイですね」と言われることが増えました!雑穀には食物繊維や、抗酸化物質が多いおかげかも。それから冷え症の助っ人といわれる雑穀のビタミンEで、寒がりもだいぶ改善しましたね。同じくビタミンやカルシウムのおかげで、精神的にも“平和な人”になりつつあります(笑)。
— いまオススメの雑穀、そしてレシピを教えてください。
店頭で比較的手に入りやすくて、いろんな料理に使い回せる「エゴマの実」と「実そば」がオススメですね。ぜひ作ってみてください!
エゴマ油で知られる「エゴマの実」は必須脂肪酸のαリノレン酸が豊富で、動脈硬化の予防や免疫機能の改善にも役立つと言われます。ただ炒って醤油で和えただけでもおいしいですが、さらに針ショウガと和えると、“おつな”大人のふりかけに。アツアツのご飯に乗せて、またお弁当用の混ぜご飯にもイイですよ♪
【材料(炊きやすい量)】
エゴマ・・・大さじ1
ショウガ・・・5g(細く切って針ショウガにする)
醤油・・・小さじ1
【作り方】
①厚手の鍋でエゴマの実を炒る。
②ショウガ、醤油を加えて軽く香りを出す。
「実そば」は、アミノ酸のバランスがよく抗酸化物質も多い“ヘルシーな挽肉”のような食材。血管や心臓を強くするとも言われます。原木椎茸か自然栽培の椎茸を詰めるとより風味豊かになりますし、好みの春野菜を飾るとおしゃれな一皿に。
【材料(一口サイズ 約25g×30個分)】
《A》
実そば・・・1カップ(約160g)
塩(実そばを炊く用)・・・小さじ1/4
水・・・2カップ弱(360ml)
《B》
タマネギ・・・中1個(約200g、みじん切り)
椎茸・・・3個(実ソバを詰める用の椎茸の軸も加え、みじん切り)
炒った磨り白ゴマ・・・5g
塩・・・小さじ1と1/2
ゴマ油・・・大さじ1
全粒粉・・・1/2カップ
水・・・1/2カップ弱(炊きあがり具合で増減)
実そばを詰める用の椎茸・・・8個(軸を外して、傘に十文字の切れ目を入れる)
炒め用合わせ油(菜種油7:ゴマ油3)・・・大さじ4
マスタード・・・適量
【作り方】
①実そばを軽く炒り、《A》の水を入れ沸騰させて塩を加え、
蓋をして弱火で15分炊く。
②フライパンに《B》のタマネギ・椎茸を入れ、塩ひとつまみ(分量外)して軽く炒める 。
③実そばが炊けたら、火からおろして10分蒸らす。
④③をボールに移して、②と《B》の残りの材料を全部加え混ぜる。
⑤手水をつけながら、一口大(約30個)の平たい円形にする。
⑥8個分は詰める用の椎茸の傘に詰め、残りの22個分はそのまま使用。
⑦炒め油を熱したフライパンで、表裏計4~5分ほどカリッと色よく焼く。
⑧マスタードを添えていただく。
— 雑穀料理を上手に作るポイントは、どんなことですか?
雑穀の種類によっても違いますが、タカキビやハトムギといった固い雑穀は、圧力鍋で炊くとカンタンに短時間で調理できます。それから前述した「こんがり実そばの椎茸詰め」もそうですが、雑穀をお肉やお魚のように使う料理の場合、油や塩を少し多めにして、鉄のフライパンでカリっと焼いてあげると、旨っ!という感じに仕上がります。雑穀はもともと穀類なので、油や塩が少なすぎると「淡泊な味のおむすび」みたいになってしまうことも。油のコレステロールが気になる場合は植物性のオイルにしたり、油分の多いナッツ類やキノコ類と組み合わせると満足感のある仕上がりになりますよ!
健康にいいとは知っていたものの、雑穀を白米に混ぜて炊くくらいしか経験のない筆者。タドさんに振舞っていただいた料理は、噛みしめるほど素朴で味わい深く、お酒にもよく合って、しあわせな気持ちになりました。(TEXT:大河原裕美)
『タド・ジュンコ健康料理スクール』(公式ホームページはこちら) 主宰。自身がベジタリアンである主宰のタド・ジュンコさんは、日本人の体質を考えた雑穀と野菜の料理スクールでのレッスンをはじめ、雑穀や菜食についての講座や講演活動などを幅広く行っています。