野菜炒めなどを作るときお肉に下味ってつけていますか?下味をつけて置いておくのは面倒だし、あとから調味料加えるのと同じじゃないの?と思っている方も多いはず。クックパッド編集部の試してみたシリーズ、今回は「肉の下味はつけるべきか」を調査しました!
これがきっかけで、クックパッド編集部でも「お酒」について何か検証したいと議論していたところ、編集部Kが一言。
「炒め物のとき、お酒で肉に下味をつけるのって必要?すっごく面倒くさい」
よくレシピを見ていると、お肉に下味をつけておくという表記がありますよね。そこにはだいたい「酒」が含まれています。でも、下味をつけて置いておくのって、手間も時間もかかるので下味をつけずにあとから味付けをしている方も多いのではないでしょうか?下味をつけておくことで、どれくらい効果があるのか、気になりますよね。ということで、、クックパッド編集部では家庭でも作ることの多い「野菜炒め」でお酒の下味効果を検証することにしました!
今回、「下味をつけた」野菜炒めと「下味をつけていない」野菜炒めを比較するために、挑戦したのは野菜炒めレシピはこちら。豚肉に下味をつけた「基本の野菜炒め」はつくれぽが837件(2014.3.4時点)もついた大人気のレシピです。
まずは材料の準備。同じ種類・同じ量の材料を2セット用意しました。1点だけ違うのは下味用の調味料を、「下味をつけた」方の材料(写真右)は別にはかり、「下味をつけていない」方は調味料と一緒に準備しておきました。
さっそく調理スタート!「下味をつけた」野菜炒め用の豚肉に下味をつけていきます。酒としょう油をもみこみます。
炒める時間などに差が出ないよう、二人で同時に調理をしていきました。 ごま油を熱し、ニンニクと生姜のみじん切りを炒め香りを出したら、まずは豚肉を炒めていきます。
火が通ったところで、野菜類を加えるのですが、豚肉だけを少し味見してみると、なんとこの時点で味の違いが!「下味をつけていない」豚肉は豚肉そのものの味がしたのに対し、「下味をつけた」豚肉はしょう油や酒の味はもちろんですが、ニンニクと生姜の味がしっかりとついていました!また、「下味をつけた」豚肉の方がふっくらジューシーな食感。
このあとは、人参→キャベツ→調味料の順に加えていきます。「下味をつけていない」野菜炒めの方には、下味分の調味料もここで一緒に加えました。
下茹でしたもやしを加え味を整えたら完成!見た目の差はまったくありません!
クックパッドスタッフ6名に協力してもらい、ブラインドテストでの試食。さらに、どのような実験かも伝えずに食べ比べてもらいました。
まずは、「下味をつけた」野菜炒めの試食。
・味がしっかりついている
・野菜はそこまで変わらないけど、肉が全然違う!
・生姜としょう油の味がしっかり感じられる
・塩麹につけたみたいに肉が柔らかい
・お店で出てくる味!
そして、「下味をつけていない」野菜炒めは・・・
・薄く感じる
・いつも作る野菜炒めの味
・お肉がかたい
「下味をつけた」野菜炒めの方が断然おいしいという結果になりました。特に、時間が経って冷めてから試食すると、「下味をつけていない」野菜炒めの肉はさらにかたくなってしまいました。
どうして「下味をつけた」野菜炒めの方がおいしかったのでしょうか?『「深い味をつくる」レシピ』(NHK出版刊)という書籍の中で「下味」の効果について書かれている料理研究家の関岡弘美さんにお話を伺いました。
––––「下味」をつけた方がおいしくなったのはなぜでしょうか?
「炒める時間より、たんぱく質類に味がしみ込む時間のほうが長くかかるから。 炒めながら調味した味は、中までしみこむ時間が足りず、表面的で物足りなく感じてしまいます。」
––––「下味」に肉をつけておく時間はどれくらいでしょうか?
「使う素材や大きさにもよりますが、薄切り肉なら5分程度、棒状に切るなど、厚みがある場合は5~10分を目安にしています。魚も同様です。」
––––「下味」以外に野菜炒めを作るときのポイントがあれば教えてください。
「当たり前のことですが、フライパンを火にかける前に、野菜を切る、たんぱく質類に下味をつける、盛り付ける皿を用意するなどの下準備をすべてすませておきます。ながら炒めは予想以上に時間をとってしまい、味がかたよったりべちゃっとしたりという結果になります。
また、家庭で作る炒めもので、一番役に立つのは「余熱」だと思います。フライパンの余熱で野菜には十分に火が通りますし、食感が変わらず、水気も出にくくなります。「あともうちょっと」くらいで火を止めてしまうのが、おいしく作るコツだと思います。」
「下味をつけた方がおいしい」ということはわかりましたが、時間も手間もかかるし、いつもの野菜炒めでいいかなと思っている方もいるかもしれません。でも、
「調理を開始するときに、まずは肉の下味を。パックのまま調味料を入れてもみこみ放置すれば洗い物減!その間に野菜を切って漬け時間の有効活用!また、下味をつけて置くことで、味がしっかりつくので調味料が少なく済むので体にも優しい!」
というわけで、クックパッド編集部では下味をつけることをおすすめします!
…さて、下味の効果検証のきっかけとなったデイリーポータルZ編集部のホワイト泥酔ーツの試食の様子はコチラから!
いつもの料理を「濃く」ではなく、「深い」おいしさにする方法を紹介した書籍『「深い味をつくる」レシピ』(NHK出版刊)の著者。1年半のフランス料理留学を経て、現在都内で料理とワインの教室を主宰。本、雑誌などさまざまなメディアで活躍中。
面白いに違いないと思ったアイデアを実際に試したりしている無料の娯楽サイト。クックパッドでもデイリーポータルZ公式キッチンを開設中。面白いレシピがたくさん投稿されていますので、ぜひチャレンジしてみてください!