料理を作る上で、気になるのが食材の「旬」という言葉。実は「旬」には、三段階あるって知っていましたか? 言葉の違いや食べごろなど。知っていると「通」になれる、とっておきの情報をご紹介しましょう!
季節感を大事にする和食において、キーワードとなるのが「旬」。お店のお品書きなどでも「旬」という言葉をみかけると、まず選んでしまう、という人も多いのでは? ところで、この旬。いまさらですが、どういう意味か知っていますか? 辞書によると、「旬」とは「最も味のよい出盛りの時期」のこと。でも、改めて考えると、「旬」という言葉を使うとき、「出盛り」の時期よりももっと早い「出始め」の時期も、「旬が来た」という表現をしていることに気がつきます。
実は和食には、食材の楽しみ方として「はしり」「旬」「名残り」の3つがあります。「はしり」は出始めの食材や初物を食べること、そして「名残り」はもう時期が終わる頃に、最後にもう一度楽しむこと。季節の食を楽しむ日本人ならではの風雅な楽しみ方なのです。特に「はしり」にあたる「初物」は「初物を食べると75日寿命がのびて長生きできる」という言葉があるほど、古くから愛されている楽しみ方。特に粋を愛する江戸っ子は、「初物」を食べることに何よりもの憧れをいだいていたとか。NHKのドラマ「ごちそうさん」でも東京から嫁いできた主人公・め以子が、初鰹を食卓に出して、大阪の家族にあきれられるシーンがありましたが、「はしり」に対する思い入れは、地域でも違うようですね。
出始めの「はしり」と終わりの「名残り」は、旬を楽しむ、いわば「通」の食べ方。食材によっては、食べごろ前のために味も淡白で、調理に工夫が必要なものもあります。家庭で調理をするなら、味も栄養価もアップした「旬」の時期がいちばん。品数も多く出回るので、価格が安定し、比較的安いのもポイントです。
クックパッドのレシピにも、春の旬を利用したレシピがいろいろありましたよ。
食材が最もおいしい時期は短いもの。その短いひとときを味わいつつ、「はしり」や「名残り」で余韻を残す。なんとも、日本人らしい食の楽しみ方ですね。「旬」を語るとき、知っておくと「通」になれる! 毎日の食卓に、ちょっとしたおもてなしに、とり入れてみてはいかが?(TEXT:田久晶子)