カレーは、一度大量に作ってしまえば何日間か食べられるため、料理する時間のない方や一人暮らしの方にはありがたいですよね。よく、カレーは二日目の方が美味しいと言われていますが、あなたがこのようにカレーを作り置きしたとき、毎日味が変わっているような実感はありますか?
今日は、カレーを一晩寝かせると本当に美味しくなっているのかを検証してみます!
市販のルーを使ってカレーを作り、作りたての状態と一晩寝かせた状態それぞれの味覚を、味覚センサー「レオ」で分析してみました。味覚センサー「レオ」は、人の舌の感覚を模したセンサーで、食べ物の基本5味(甘味・旨味・塩味・酸味・苦味)を数値で表せるセンサーです。
分析の結果、旨味と味全体の強さ(コク)に大きな変化がありました。
一晩寝かせたカレーは、作りたてのカレーと比べて0.4ポイント以上旨味がアップしていました。人が味の差を感じるのは0.2ポイント以上ですので、これは大きな違いといえるでしょう。
また、味全体の強さ(コク)も、一晩寝かせた場合に大幅にアップしていました。 これによって、カレーを寝かせることで、確かに旨味やコクがアップして美味しくなっていることが分かりました。
味覚分析によって一晩寝かせたカレーが美味しくなるのは分かりましたが、一体どうして旨味やコクがアップするのでしょうか。
日本のカレールーには、旨味成分であるダシが含まれているため、具材がカレールーにさらされている時間が長いほど、具材にダシ(旨味)が染み込んでいきます。また、時間が経つにつれて具材が溶けていくことで、具材に含まれる味成分が溶け出してコクがアップするのです。今回は含んでいませんが、玉ねぎを炒めて甘くした「あめいろたまねぎ」を入れる一手間を加えることで、さらに甘味もアップして美味しくなることが予想されます。
寝かせることによる味の変化は、具材によっても変わってくるはずです。ぜひ、カレーを一晩寝かせる時は、味の変化を意識してみてくださいね♪
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。