鹿児島県本土と沖縄本島のちょうど中間に位置する鹿児島県の離島「奄美大島」。人口は約5万7千人で、その約7割は奄美市に住んでいます。奄美市の中でも市街地は「名瀬エリア」と呼ばれ、約15店舗のスーパーがあります。そのうちの5店舗を展開しているのが「グリーンストア」。店内には、普段使いする食材や日用品はもちろん、奄美産の食材や特産品、オリジナルグッズも多数取り揃えていて、地元の人だけでなく、最近では観光客にも人気のお店です。今回は、しまんちゅであるライターが奄美市名瀬にある入舟本店に潜入取材してきました!
「グリーンストア」という店名通り、展開している5店舗すべて、緑に塗られた看板で統一されています。今回訪れた「入舟本店」は名瀬の中心エリアにあり、夜勤がある人にも嬉しい24時間営業!
さらに奄美に2店舗しかないDAISOのうちの1つも併設しているので、子どもからお年寄りまで幅広い層に利用されています。
外壁には、世界中で奄美大島にしか生息していないと言われ、国の天然記念物にも指定されている「ルリカケス」が森の中を自由に飛び回る姿が描かれており、奄美にいる気分を高めてくれます。
入り口には、たくさんのお花が売られていますが、実はこれはお墓のお供え用。奄美の人はご先祖様を大事にし、毎月旧暦の1日と15日の2回、お墓参りに行く風習があるのです。
店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが「あまみカード」の案内ポスター。
実はグリーンストアでは、キャッシュレス化が進む少し前の2016年から先払い式電子マネーカード「あまみカード」を導入し、2019年段階で奄美市の約50%の人が会員になっています(私の家族もいつも愛用中)。
引用:グリーンストア公式HP
奄美大島の地図と、ハイビスカス、国の天然記念物「アマミノクロウサギ」をモチーフにした奄美市の公式キャラクター・コクトくんが描かれたかわいいデザイン。
お買い物ごとに200円で1ポイントが貯まるポイントカードの機能も兼ね備えていて、レジで簡単に現金チャージもできるので、あまり電子マネーに馴染みのない高齢者の方にも、多く使われています。
この「あまみカード」は、グリーンストアだけでなく、奄美市内の小売店やリサイクルショップ、飲食店、ガソリンスタンドなども複数店舗加盟しているので、1枚何役もしてくれる優れもの。
この日ももちろん、「あまみカード」片手にお買い物にやってきました!
通路の左右に所狭しと並ぶ豊富な商品たち。たくさんある商品の中でも、売り出し中の商品などは大きなポスターが貼ってあるので、目につきやすいです。
その中でもふと目に止まったのが、この「グリショックプライス」の文字。
出品しているグリーンストアもショックの値段ということで、他の宣伝ポスターに比べて少し控えめな大きさなのは、あまり売りたくないのかもしれません(笑)
広告の品、奄美近海産の寿司パック498円にもしっかりグリショックのシールが貼られていました。
どどーんと大売り出しというよりは、こっそり貼られているものもあるので、偶然見つけると、得した気分で嬉しくなります。
鮮魚コーナーに行くと、奄美近海産の魚やカニ、もずくなどの海鮮がたくさん!中には、奄美の3大高級魚「ハージン(スジアラ)」の姿も。お刺身が特においしい魚です。
本土の料亭などで高級料理として出されるキンメ鯛もお手頃な値段で売られています。
よくスーパーに売られているフィリピン産バナナに比べて、長さが短く太く、甘さの中に酸味があるのが特徴の島バナナ。
房についた緑色の状態のまま売られているのが一般的で、1週間ほど自宅で追熟させて、黄色い皮に黒い斑点が出始めたら食べごろです。
他には、あまり見かけない野菜「つばしゃ」も。しまんちゅが昔から食べていた健康食で、奄美の山に自生している、ツワブキの茎の皮をむき、アク抜きした状態で売られています。
奄美の人はよくこのつばしゃと島豚、切り干し大根を一緒に煮込んで食べることが多いです。
食材ではないですが、島の人がよく食べる味噌の種類も豊富。
実は奄美における味噌作りの歴史は江戸時代から続くといわれ、当時食糧難だったことから、島に自生しているソテツの実から毒素を取り除き、蘇鉄みそ(なりみそ)として食べていたのです。
今ではなりみそはほぼ食べられていないですが、魚みそや豚みそ、ピーナッツみそなどを白いご飯にそのままかけて食べます。おにぎりの具としても人気!
珍しい食材の他にも、島民の食堂と言っても過言ではないほど手作りのお弁当も充実しています。島の人にとっては小さい頃から慣れ親しんでいる味の「スパムおにぎり」。
沖縄でもよく食べられているので、沖縄旅行の際に見かけたことがあるかもしれませんね。
ボリューム満点のこちらのお弁当も450円とお買い得!21時以降になると半額シールが貼られるものもあるので、その時間を狙って買いに来る人も......。
その他にもお惣菜や油ソーメン、もずく酢、豚骨の煮物などの郷土料理を豊富に取り揃えているのですが、驚くことにこれらはすべてグリーンストア惣菜部の手作り!
「ちょっと今日はごはんを作る時間や元気がない」なんて時は迷わずグリーンストアに直行です。
地元の幅広い世代に利用されているグリーンストアですが、最近は観光客の間でもひそかなブームとなっています。オリジナルのTシャツやエコバッグも要チェック!
特産品コーナーでは、奄美の黒糖を使ったお菓子やパパイヤや生姜など島の食材を使った加工品など、ほぼ全ての奄美のお土産を買い揃えることができます。
また、観光客に大人気なのがこの生搾り機!残念ながら撮影時(2023年10月)は奄美の特産品「タンカン」のシーズンではなかったため、オレンジジュースになっていましたが、タンカンが旬の2月〜4月は搾りたてのタンカンジュースがお手頃価格で飲めます。
せっかく奄美のスーパーにやってきたので、予算1,000円で島らしい食材を購入してみました。
購入したのは、下記の4点!
写真の左側から時計回りに紹介していきます。
クセがなくほうれん草に似た味わいで、別名スイスチャードとしても知られるふだん草。奄美では豚肉と豆腐を入れて味噌炊きで食べるのが一般的です。
比較的無味無臭で淡白な味のマコモは油との相性ばっちり。天ぷらにしたり、豚バラ肉と炒めたりするとおいしいです。
葉表が緑色、葉裏が紫赤色をしており、加熱するとヌメリが出るのが特徴のハンダマ。生のままサラダに加えたり、天ぷらにしたり、さっと湯がいて和え物にしたりします。
島で一番多い食べ方は、パパイヤの漬け物。千切りにして、豚肉などのお肉と炒めてもおいしいです。7月〜9月が旬なので、夏の時期は生のパパイヤがまるごと50円や100円で売られています。
「食料品から日用品まで何でもそろう奄美大島の地域密着型スーパー」と掲げているだけあって、グリーンストアでは地元産の食材や地域で加工した食品が多く見られました。
また、誰でも使いやすい独自のカードシステムや24時間営業、充実した手作りお弁当コーナーなども地元の人に広く愛される理由のひとつかもしれません。
(TEXT:有村 奈津美)
※商品の取扱いや価格は取材当時のものです。時期や店舗によって異なる場合があります。
住所:鹿児島県奄美市名瀬入舟町18-21
営業時間:24時間営業
TEL: 0997-53-7087
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