祖母から母へ、母から私へと伝わる、わが家の野菜スープがあります。ベジブロス(野菜ダシ)という言葉がまだ無かった時代に、野菜くずでスープをとった主婦の知恵。寒い季節の朝食にいかがでしょうか。このやさしい味わいをぜひみなさまへお知らせしたい。心に沁み入るおいしさです。
野菜の残りを基本の材料にしますが、玉ねぎ、トマトは、ダシ用に用意します。(野菜は5種類以上が目安です)
にんじんの皮・へた…1コ分
じゃがいもの皮…1コ分
キャベツの芯…1コ分
ねぎの青い部分…1本分
小松菜の茎…1束分
玉ねぎ…1コ
トマト…1コ
水…1リットル
酒…小サジ1杯
かつおダシ…適量
うすくちしょう油…適量
塩…適量
豆腐…一丁
1 かつおダシを作ります。水600ccを鍋に入れて中火で沸かします。沸騰したところに、かつおぶしを片手でひとつかみ分入れ、50〜60秒ほどそのまま沸かします。かつおぶしが鍋の下に沈むまで待ち、沈んだところで火を止め、ザルで漉します。
2 玉ねぎは皮を向き、半分に切り、繊維にそって1センチ幅に切ります。トマトは縦半分に切り、ヘタをとります。
3 水を入れた鍋に、野菜と酒、塩小サジ1/2杯を入れ、弱火で2時間じっくりコトコト煮ます。沸騰させないように注意しましょう。トマトは断面を上にして煮ます。鍋の中はあまりかき混ぜないように。
4 水の量が2/3ほどに減ったら、野菜をザルで濾して、ダシが出来上がりです。
5 別の小鍋を用意し、食べる分量の野菜ダシとかつおダシを1対1の割合で混ぜ、味見をし、うす口しょう油と塩で味つけをします。
6 豆腐はひとつ盛りにします。大きめに切り、鍋に入れて、ひと煮立ちさせ、器に盛り付けて出来上がりです。お好みですりゴマを豆腐に振りかけください。
*煮込んだトマトと玉ねぎをスープの具にしても、もちろんおいしくいただけます。
文・写真:松浦弥太郎
野菜は、きれいに切ることが大切です。食べるひとのことを考えて、ていねいに切ると、その思いがおいしさとして加わるのです。
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