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なんと8割の子どもに栄養失調のリスクが!その原因は◯◯不足にあった

3食しっかり食事を食べているのに、なぜかよく風邪をひく、すぐ疲れてしまう……。もしかしたらそれは、「新型栄養失調」かもしれません。今回は、加工食品ジャーナリスト・中戸川貢氏の著書『ワースト添加物 これだけは避けたい人気食品の見分け方』(ユサブル)から、新型栄養失調を予防する食生活のヒントを少しだけお届けします。

新型栄養失調とミネラル不足

「新型栄養失調」とは、摂取カロリーは足りているのに、たんぱく質やビタミン、ミネラルなど特定の栄養素が不足し、体に不調をきたすことです。

免疫力の低下、倦怠感、貧血、冷え性、イライラなど、さまざまな症状が挙げられます。2018年のハウス食品の調べでは、3食しっかり食べているにもかかわらず、8割の子どもに、新型栄養失調のリスクがあることがわかりました。怖いですね。

私の統計では、平成10年ぐらいからミネラル不足による新型栄養失調が出現し、いま猛威を振るっている状態です。平成・令和を代表する病気は「ミネラル不足による新型栄養失調(ミネラル失調)」といっても過言ではないでしょう。

ミネラル不足はまず、外食がちな人がなります。コンビニ、ファミレス、スーパーの惣菜、持ち帰り弁当...そういったでき合いのものばかり食べている人は、ミネラル不足の状態になりやすいです。

下記の図は、栄養素の優先順位を示したピラミッドです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、各栄養素の優先順位を示しています。

レベル1の三大栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物がまず絶対的に大事ですが、次に大事なのがレベル2のビタミン、ミネラルです。特に重要なミネラルは、カルシウムや鉄分、マグネシウムなどです。外食しがちな人は、このミネラルが摂れていません。

現代におけるミネラル不足の原因

ミネラル不足の最大の原因とは何でしょうか。
私が考えるミネラル不足の原因は以下の3つです。

1.水煮食品の増加

スーパーのお惣菜は、原材料に業務用の水煮野菜を使うことが多いです。切った野菜を茹でて、ミネラルを茹でこぼした抜け殻を水煮パックにしたものを使い、各スーパーでお惣菜をつくっています。これではミネラル不足になるのは当然です。
カット野菜やパック野菜はさすがに茹でていませんが、病原性大腸菌を殺菌消毒するために、よく洗浄します。消毒するときに、細かく切った野菜から、水溶性のミネラルが抜けていきます。特にマグネシウムやカリウムが抜けやすいようです。ミニトマトや大きな葉のレタスなど、細かく切っていない野菜は抜けていません。

2.精製食品の増加

精製食品(精製小麦粉、上白糖、精製塩など)の弊害については耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。実際に気をつけている人もいるでしょう。
とはいえ、近年ますます精製食品は増えています。精製した食品はミネラルが抜けてしまっているものがほとんどです。調味料や加工食品だけでなく生鮮食品に至るまで、なるべくミネラルが残ったものを選ぶことが重要です。

3.リン酸塩の使用増

ミネラル不足の原因として挙げられる「リン酸塩」は腸からのミネラル吸収を邪魔する添加物です。厳密にいうと、リン酸塩の一種で「重合リン酸塩」といいます。
人体に毒性や発がん性はありませんが、食品中のミネラルと固く結合し、水に溶けない結合体となって腸内細菌が利用できない状態、もしくは腸から体内に吸収しにくい状態にしてしまいます。
重合リン酸塩が添加物として使われる理由を説明しましょう。食品が白く、もしくは色鮮やかなまま、ジューシーで、プリッとして、トロリ、ふんわり、サクッと仕上がります。安価に食感と色の見た目によい効果を与えることができます。しかも、合成保存料や合成着色料と違って発がん性の心配もありません。
リン酸塩は冷凍食品からデザートのプリンやゼリーに至るまで、さまざまな食品に使われています。

ミネラル吸収UP! な調理法

どうすればミネラルをよりしっかり摂れるのか。

まず、茹で汁を捨てないこと。「蒸す」か「焼く」であれば「蒸す」ほうがいいでしょう。分厚い鍋底の無加水鍋だと焦げにくいです。煮るのであればスープやカレー、シチューのような煮汁ごといただける料理がいいですね。

あとは、「だし」 が大事です。ミネラルといえば「だし」ですが、やはり無添加を選んでいただきたい。「アミノ酸」や「◯◯エキス」などの人工的なうま味調味料が使われているものは美味しいけれどミネラル不足なのです。無添加の天然だしパックがおすすめですが、かつお味よりいりこ味のほうがよりミネラルが摂れます。

ミネラルが豊富な食材(煮干、海藻、魚介類、野菜、雑穀、そば、ナッツ、ゴマ、納豆、豆腐、きのこなど)も日頃から積極的に食事や料理に取り入れていただきたいなと思います。

牛丼屋ばかりで食事をしている人は100円のサラダ(千切りキャベツ)よりも納豆(納豆が苦手なら豆腐)のほうがミネラルの足しになります。白い食パンを好きで食べている人は、クルミパンや玄米パン、 全粒粉パンなどにすれば、 多少なりともミネラルが摂れます。

さらに、みかんやキウイフルーツ、レモン、グレープフルーツのクエン酸という成分、無添加のぬか漬けやキムチの乳酸という成分、あとは野菜のビタミンCや、酢の物の酢酸という成分、これらを有機酸といいますが、「すっぱい成分」 がミネラルの吸収を高めます。

本文は『ワースト添加物 これだけは避けたい人気食品の見分け方』(ユサブル)より一部抜粋・編集しています。

画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ

外食がちな人のミネラル不足による「新型栄養失調」を防ぐために、料理や菓子の手作りはとても有効な解決策です。レシピを見て、ちょっとミネラル不足かなと思ったら、煮干粉や昆布粉や胡麻などのちょい足しを。菓子であればナッツ、チョコチップ、きな粉、シナモンパウダーなどがよいでしょう。
国が認可した食品添加物は常識的な摂取量であれば人体に影響ないと思います。しかし、添加物の対応に追われてミネラルが消耗すると、ミネラル不足による新型栄養失調で病気になってしまいますから、できるだけ添加物を避けること、避けきれないのであればできるだけミネラルを補うことが重要だと思います。

書籍紹介

現代社会において、食品添加物を100%避けるのは時間的にも経済的にも不可能です。
しかし、添加物の中には間違いなく長期的な健康リスクを脅かすものがあります。

本書は様々な食品メーカーへの勤務経験を持つ加工食品ジャーナリストの著者が、食べてはいけない添加物、食べても健康に及ぼす影響は少ない添加物を紹介しています。

スーパー、コンビニで売っている食品すべてが悪いわけではなく、絶対に避けるべき食品と避けなくてもいい食品が混在しているということです。
また、食べているのに栄養不足になってしまう「新型栄養失調」が話題になっています。これは添加物の摂りすぎも大きな原因の一つとなっています。

つまり、体に入った添加物を体外に排出するのに大量のミネラルを消費しますが、これが体内のミネラル不足の大きな原因となり、「新型栄養失調」を引き起こしています。

ではどうすればよいのか?
効果的なミネラル補給の方法にも言及しています。
いたずらに添加物の害を主張するのではなく、本当に避けなければいけないワースト添加物を知り、添加物の害を極力小さくするためのミネラル補給法を知る、賢い消費者になるための必見書籍です。

著者紹介

中戸川 貢
1969年生まれ神奈川県出身。食品機械メーカー、清酒メーカー、お餅メーカー、醤油メーカー勤務を経て、NPO法人食品と暮らしの安全基金で、主に加工食品のミネラル成分や食品添加物「リン酸塩」を調査。独立後は、食品企業の品質管理や販売支援を行う。また、ミネラル不足や添加物について全国各地で講演。一般社団法人ナチュラル&ミネラル食品アドバイザー協会代表理事。加工食品ジャーナリスト。

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