【ほっこり江戸ごはん Vol.4】江戸好きが高じて、地毛で「ちょんまげ」まで結ってしまった江戸マニアの伊尾木将之さんに、江戸時代のレシピとともにほっこりエピソードを教えてもらいます。今回は、 卵だけで作るお菓子「卵煎餅(たまごせんべい)」をご紹介。
おはようございます、こんにちは、こんばんは。 江戸時代が大好きで江戸の食文化を研究している伊尾木と言います。
うちの5歳の子供は「江戸=パパ」という図式があるようで、江戸時代のことは何でも知っていると思っているようです。 なのでテレビで江戸時代のクイズがあると、「当然正解するでしょ」という圧をかけてきます。 正解しないとちょっと不機嫌になります…パパの威厳を保つのも、本当に大変です。
さて、そんな個人的な話はおいておいて、今回紹介するのは「卵煎餅(たまごせんべい)」というお菓子です。 基本的な食材は卵だけで、砂糖を入れて焼いた薄焼き卵をサクサクにしあげた一品になります。 食感はサクサクなのに、食べると甘い卵焼きというなんとも面白いお菓子です。 クッキーよりも簡単なので、お子さんと一緒に型抜きしたり、親子で作ったりもできますね。
作り方はとてもシンプルです。
レシピでは白身を多めにしていますが、白身と黄身に分離するのが面倒であれば、 多少食感は変わりますが、大きめの卵を使ってもいいかもしれません (卵のサイズが大きくなると白身が多くなります。黄身の大きさはあまり関係ないそうです)。
ごまを振りかけて、薄焼き卵を作ります。このときなるべく薄く作ると食感がよくなります。
薄焼き卵ができたら、好きな型でくり抜いてください。
クッキングシートに乗せて、レンジで様子を見ながら加熱してください。 レシピでは500Wで2〜3分となっていますが、一度1分くらいで焦げがないか様子をみながら少しずつ加熱すると良いかもしれません。
上手くサクサクにできなかったり、食感が悪くなってしまってもケチャップなどを付けて食べれば普通においしく食べられますよ。
卵煎餅は砂糖を使っています。「江戸時代、砂糖は超高級品だ!」という印象をお持ちの方も多いかと思います。 現代は1kgあたり200円程度で買えたりしますので、かなりお安いですよね。それに比べれば、たしかに江戸時代の砂糖は高いのですが、超高級品かというとそうでもありませんでした。
いくらくらいだったかというと、地方や時期によって変わりますが、江戸時代初期の京都で白砂糖で1kgあたり1600円程度でした[1] 。 現代の10倍程度になるので、高級ではありますが、庶民が買えないかというとそうでもない値段ですね (逆にいうと今が非常に安いとも言えます)。
実際に、当時の日記などを見るとお団子を作るのに黒砂糖を使ったとか、 贈り物で砂糖をもらったから孫にあげたというような記述が見られます。現代ほどではないにしろ、当時の庶民も砂糖が大好きだったのです。甘いもの好きは今も昔も同じですね。
参考文献
大阪出身のうさぎ好き。修士までは物理を学び、博士課程で情報系に進むも撃沈。現在はクックパッドでエンジニアをしながら、食文化を研究している。
日本家政学会 食文化研究部会の役員を務める。
2020年秋から社会人大学生(文学部)に。
本業は川崎フロンターレのサポーター。