仕上がりはどれも同じように見えるクリーム。いざスーパーで買おうとすると、「純生クリーム」「ホイップクリーム」「植物性クリーム」...と名称の違う商品がずらり。買うのに迷った経験はありませんか? クリームがそれぞれどう違うのか、お菓子研究家の波毛英里紗さんに教わりました。
厚生労働省の定義によると、クリームとは「生乳、牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分が18.0%以上にしたもの」とされています。
一般的に「生クリーム」とは、牛乳を分離して乳脂肪のみを原料としたもの。一方、乳脂肪に植物油脂や乳化剤、安定剤などの添加物を加えたものは、商品名で「植物性クリーム」や「ホイップクリーム」として知られるクリームです。
Whipped cream(ホイップクリーム)は、クリーム(乳脂肪のみ)をホイップ(泡立てた)したものという意味ですが、一般的には、植物油に添加物を加えて乳化させて作ったクリームのことを指します。生クリームを泡立て作ったホイップクリームと、植物油を乳化させたホイップクリーム。成分が違うのは当たり前ですが、味や口溶けに大きな違いがでてきます。値段も大きく違うので、用途によって使い分けましょう。
クリームは、脂肪分により用途目的が異ることを知っていましたか?
18.0%〜30.0%ライトクリームはコーヒー用
30.0%〜40.0%ヘビークリームはホイップ用
ちなみに、イギリスのアフタヌンティーでスコーンに添えられるクロテッドクリームは、脂肪分55.0%だそうです。
クリームの使い分けについて、お菓子研究家の波毛英里紗さんにアドバイスを頂きました。
「乳脂肪分だけの生クリームの方がコクのある味わいで、植物性クリームなどは比較的さっぱりした仕上がりのテイストの違いを感じていただけると思います。
また同じ生クリームでも、脂肪分が高いとコクが増し濃厚な味わいで泡立ちやすい特徴があり、低いと口当たりが軽くサラッとした舌触りになります。お好みで、ずっしり濃厚に仕上げたいチョコレート系スイーツに乳脂肪分高めのクリームを使ったり、チーズケーキなど軽めに仕上げたければ、乳脂肪分低めを使うなどの使い分けも良いかもしれません。
デコレーションする時の生クリームは、扱いやすくするために高脂肪と低脂肪を混ぜるなど応用編もあるんですよ」(波毛さん)
スーパーに行ったら、改めてクリームの棚をチェックしてみましょう。今度は、パティシエさながら原料と脂肪分を使い分けて選びたいですね。(TEXT:太田さちか/ライツ)
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