日本には、手土産や贈りものを、風呂敷につつんで、相手にお渡しする文化が残っています。風呂敷には、「幸せをつつむ」といった、げん担ぎがありますし、なにより、相手を思い、自分の心をつつんで、心をむすぶという機心、すなわち、美しいこころのはたらきがあるのです。
実際には、手土産や大切な方へ贈り物をつつむことは、それほどないかもしれません。しかし、風呂敷を使って、何と向き合い、何を大切にして、どんなふうにつつんで、何を結ぶのか。自分自身と向き合うためにも、今日は、心をつつみ、心を結ぶように、感謝の気持ちをお届けしましょう。
あらたまった場面でも、日常でも使える「お使い包み」をご紹介します。中身がしっかり安定し、持ち運びやすいので、覚えておくとたいへん便利な包み方です。
お使い包みでは、1か所だけ「真(ま)結び」します。真結びとは、ほとんどの包み方に使われる、きほんの結び方です。真結びがきれいにつくれると、包み全体の仕上がりもぐんと美しくなります。きれいに美しく、上手につつもうとすると、形式ばったことになり、心が入りません。落ち着いて、相手の顔を思い浮かべ、心をこめて、ていねいに行いましょう。
1. 風呂敷の中央に贈りものを置き、位置を決めます。贈りものは自分の心と思って扱いましょう。
2. 風呂敷の手前側を箱にかぶせて包みます。
3. 向こう側を箱にかぶせてくるみます。
4. 左側の角をととのえ、いったん箱の上に置き、右側の角をととのえます。
5. 左右の角を崩さないように注意をします。
1. 両端をそれぞれ持ちます。
2. 右端を後ろにして、両端を交差させます。
3. 右端を左端に巻きつけるように前に倒してから、左端の下にくぐらせ後ろへ持っていきます。
4. 左端を下に倒し、右端をその上に重ねます。
5. かぶせてできた輪に、下から右端を通します。
6. 両端を引っ張って出来上がりです。結び目は、贈りものと並行になるようにそろえましょう。
文:田中真唯子 写真:松浦弥太郎
新年を迎えて、大切なひとたちに会う機会も増えることでしょう。ありがとうという心を届けたら、きっと、今年も一年、あたたかい気持ちで過ごせる気がするのです。
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