焼きそばパンが愛される理由の続編です。今日はパシリ業界でよく言われるこの一言について考えてみたいと思います。
「焼きそばパンとコーヒー牛乳買ってこいよ」
食べる時に何かを飲みたくなるのは、人間の性です。
焼きそばパンの場合、塩味・旨味が強く、甘味もありますが、苦味・酸味がないので、苦味・酸味が強いコーヒー系の飲料と相性が良いことは誰しもが思うことです。しかし、なぜコーヒー牛乳なのでしょうか?
酸味と苦味があるという点では、コーヒーでもレモンティーでもビールでもいいはずです。あ、ビールはアルコールだから高校生や中学生はダメですね。でも、なぜ焼きそばパンにはコーヒー牛乳なのか、今日はこのことについて、考えてみたいと思います。
おなじみのAI搭載・味覚センサーレオに登場してもらいましょう。味を数値化して、相性の良し悪しも判断できる優れものです。
焼きそばパンとコーヒー牛乳を味覚センサーレオで分析した結果が上の図です。レオに搭載されているAIで計算すると、焼きそばパンの旨味・塩味・甘味とコーヒー牛乳の苦味・酸味が強めあって、抜群の相性度98.1ポイントという結果になりました!
98点といえば、刺身のマグロと醤油、ビールと唐揚げ並の相性度ということになります。そりゃ不良たちも「焼きそばパンにはコーヒー牛乳!」と思ってるのも当然ですね。(ご興味がある方は相性度の詳細についてをご覧ください)
しかし、酸味と苦味が強い飲料といえば、コーヒーが良いのではないかと思いますよね?というわけで、焼きそばパンとコーヒーの相性分析も行ってみました! 結果はこちら!
相性度は95.1ポイントで、決して悪くはないのですが、コーヒーの苦味・酸味が焼きそばパンの旨味・塩味・甘味よりも強く、コーヒーの強い味に焼きそばパンがやや負けてしまっているということで、コーヒー牛乳よりは少し低い相性度の結果となりました。なお、紅茶は酸味が少ないため焼きそばパンとの補完関係がさらに薄く、相性度はコーヒーよりも低い結果になりました。レモンティーは逆に酸味が強くて、コーヒー牛乳ほどの相性にはなりませんでした。
そういうわけで、コーヒー牛乳は酸味・苦味があるが、そこまで強くはなく、焼きそばパンと絶妙のバランスが取れる
不良たちはこのようなことを感覚的に察知して、パシる際にこの言葉を使ってきたのですね。
「焼きそばパンと(コーヒー・紅茶じゃなくて)コーヒー牛乳買ってこいよ」
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。