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コラム

大好きな「だし汁」をやめたら、いつもの味から脱出できた話

【今日、キッチンで何を考えていますか? Vol.9】料理ユニット「アンドシノワーズ」で旧仏領インドシナ三国(ラオス・カンボジア・ベトナム)の食文化を広めている田中あずささん。毎日キッチンに立ち、料理をしながらいろいろなことを考えるのが密かな楽しみなのだそう。その時間を『脳内よそ見』と名付けている田中さん。日々の料理に疲れたとき、息抜きしたいときにぴったりの、肩の力がふっと抜ける『脳内よそ見』のヒントをお届けします。

こんにちは。
私はふだん、仕事で毎日のように東南アジア圏の料理を作っていることもあり、プライベートでは違う味、多くは和食を食べたいと思っています。

家では冷蔵庫にあるたいていの残り野菜や半端な肉、魚介などを懐深く受け止めてくれる「味噌汁」に、「納豆ごはん」を頂くことが多いというか、ほぼそればかり食べているのですが、自分が作る味噌汁って、味がマンネリになりがち……。

料理は基本的に、ベースの調味料を大幅に変えなければ味変できないと思う一方で、狭い私の家にはだしも味噌も一種類ずつしかない。具材が変わってもやはり「いつもの味噌汁」になるのです。

こうして、ふつふつと他の味が食べたい欲が爆発し「味噌汁あきた」「でも和食がいい」と騒いでいたある日、主人が作ってくれた親子丼が目からウロコだったので、今回はその簡単な作り方を紹介しますね。

「カラメル親子丼」by主人

作り方

1.食べやすく切った鶏肉を、ひたひたになる量の調味液(酒1:醤油1/2くらい)に漬けておく。
2.鍋に砂糖、油、水を加えてカラメル状になるまで焦がす。
※カラメルを作る際に油を使うのがコツ。焦げずになめらかな液状カラメルが仕上がります。
3.の鍋に鶏肉を漬け汁ごと加え、火が通ればねぎと溶き卵を入れて仕上げる。

焦げのうまみでいい味になる

砂糖と油を焦がしたカラメルで肉を煮る」という調理法は東南アジアではよくある手法で、だし汁などで煮るのと違い、肉の脂のうまみが流れ出ず閉じ込められることと、煮汁には焦がした砂糖のコクが加わること、また、見た目がツヤっぽくきれいに仕上がるという良い効果があります。でも、まさかまさか、この手法を和風の親子丼に応用するとは思いつかなかった。

味は、関東風の甘い卵焼きを想像していただけるとわかりやすいかもしれません。鶏肉のうまみと、長ねぎのとろっとした食感がカラメルの濃厚な甘さと相性良く、なかなかいい感じ

親子丼もカツ丼も、だしがしっかりきいたつゆで作るものと思い込んでいた私にとっては新鮮な発見だったし、私が作る親子丼と、主人が作る親子丼はそれぞれ、わが家のレパートリーになりました。

同じ調味料でも、使い方で味変できる

前段で私は「料理は基本的に、ベースの調味料を大幅に変えなければ味変できない」と言い切っておりますが、この親子丼は私にとって「調味料を変える」ということは品を変えるだけではなく、配合や使い方を変えるということでもある、と気付かされたレシピになりました。

砂糖はまず、甘みを加えるという役割が思いつきますが、その他にも「(味に)うまみを加える」「(仕上がりに)照りを出す」「(食感を)柔らかくする」といった特性があります。今回の親子丼は、砂糖を甘さというより「うまみ」として加えることで、和のだしを使ったいつもの味とは違ったおいしさを教えてくれたのです。

家族同士でも、料理がシェアできたら楽しい

以前「『自分の味』に飽きたら、料理を“シェア”してみるといいかもしれない」でもつれづれと書いておりますが、私はいつだって「ひとさまが作った料理にまかなわれたい」と思いながら誰かにお料理を作っています。その「ひとさま」が今回は主人だったという内輪の話で恐縮ですが、同じ釜の飯を食べている家族でも、料理の発想はまったく別なことがありますね。

もし機会があれば、家族同士で自由に作った料理をシェアしてみるのもいいかもしれない。長引くステイホーム習慣の中、自由な発想と時には広い心(笑)で、料理を任せあい、楽しんでみてはいかがでしょうか。

アンドシノワーズ 田中あずさ


料理家、コピーライター。
仏印料理教室『アンドシノワーズ』主宰。2006年頃からインドシナ(ラオス・ベトナム・カンボジア3国)の古典料理を研究・紹介。

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