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インタビュー

子どもに合わせて料理はしない。21万人が注目、arikoさんが語る「家族が幸せになる食事」

インスタグラムのフォロワー21万人超えのarikoさん。ファッションエディターとしてご活躍される傍ら、プライベートで作る料理の投稿が絶大な人気を得ています。一児の母であるarikoさんは、息子さんととても仲良し。忙しい仕事と育児の両立をしてきた中で、食事作りで意識していたことをお伺いしました。

料理を投稿したのは、あるモデルさんの一言

――インスタグラムで大人気のarikoさんですが、料理を投稿しはじめたきっかけは何ですか?

インスタというものが出てきてすぐに、見る専用でアカウントを作ったんです。仕事柄、モデルさんやスタイリストさんをフォローしていたら、あるモデルさんから、「アカウントがあるならアップしてみたら?」と言われて、たまたまお昼ごはんに食べた、豚バラの胡麻汁つけ麺をアップしたんです。

――豚バラの胡麻汁つけ麺……。名前だけでもおいしそうですね。

おいしいんですよ。その投稿を見たロケバスのドライバーさんが、「めっちゃうまそう!」とコメントをくれて、その反応がうれしくて投稿が増えていきました。私の投稿は、おしゃれなカフェ飯とかではなく、普段食べているような男の子ごはんみたいなものばかり。だからこそ、たくさんの方に見ていただけるようになったのかなと思っています。

おいしいものをおいしく感じられる舌って幸せ

――arikoさんは、「私の作るごはんは男っぽい」とおっしゃいますが、その理由は?

私の作るごはんは、白米に合う茶色いおかずやガッツリ系のものが多いからでしょうか。素材も小さく切るよりは素材そのものをしっかり食べられるような形を残したものが多いし、量もたっぷりが好き。息子がいるので、おのずと男子ごはん的なメニューが多くなります。

――今回のレシピ本に息子さんが大好きなレシピも掲載されていますよね。

今回の本には、我が家の定番を紹介するページがあります。そのページに息子が登場しています。撮影しているときに急遽決まってお願いしたんですけど、「かつおの冷製パスタを食べさせてくれるならいいよ」と言って、快く撮影に協力してくれました(笑)。

息子さんの大好きな「かつおの冷製パスタ」

――お母さんの作るごはんで一番好きなものが、「かつおの冷製パスタ」って、舌が肥えた息子さんと印象を受けます。

といっても、息子は決してこだわりがあるわけではないんです。アレルギーなどがなかったのも幸いして、息子が小さな頃から特に食べものを制限したことはなくて、いろいろなものを食べさせてきました。ファーストフードのハンバーガーや回転寿司も楽しんできましたし、立ち食いそばなどもよく食べているようです。手の込んだものからB級グルメまでこだわりなく、おいしいものをおいしく感じられる舌のほうが幸せですよね。

自炊ができないときは無理しない

――息子さんが小さい頃は、息子さんに合わせた食事作りをしてきたのでしょうか。

子どものために合わせて食事を作ることはなかったです。毎日、息子の好みに合わせるなんてことはやってられません(笑)。基本的には家族みんなが好きな物を作っています。これは好きだろうなというものは、ここぞというときに作ります。そのほうが喜びも大きくなるので。

――仕事と育児の両立をされてきた中で、食事作りで意識していたことはありますか?

私のポリシーは、「自炊ができないときは無理しない」です。仕事で帰りが20時を過ぎることも多かったし、そういう時は外食にしていました。帰ってから15分でパパっと作るのは無理なので、自炊にこだわることなく家族と時間を合わせて一緒に外食をすることが多かったです。

それに、外食をしないと作るものが似てきちゃうんです。外食は、レシピ作りのアイディアをもらったり、刺激をもらうためにも必要。その通りに作るわけではなく、食材や調味料の組み合わせの発見があったり、これをパスタにしたらおいしいだろうなぁとか、いろいろ脳内変換をしたりしています。

――自炊することを頑張りすぎず、外食からも新メニューのヒントをもらうというのは、忙しいお母さんたちからするとすごく救われる言葉だと思います。

これは私の勝手な持論なんですが、忙しい母親がごはんを作っている姿を見ていたら子どもは決してグレたりしないんじゃないかと(笑)。毎日作るのが理想ですが、忙しい時にはやろうと思ってもできないので、そんな時は潔く諦めるのもひとつの方法かなと。例えば、今日はカキフライを揚げようと思った時に、もう一品は甘辛い副菜が欲しいと思えば、ひじきやきんぴらなどのお惣菜を買ってくることも。スーパーの小分けされたお惣菜って量もちょうどいいから便利なんです。生姜焼きを作った時の添えものはお惣菜のポテサラやマカロニサラダに頼る。全部が手作りということにこだわらなくても良いかなと思っています。

「おいしい」と言ってもらえるか、日々勝負

――arikoさんは、お子さんの好ききらいにどのように向き合ってきましたか?

息子はあまり好ききらいがなかったのですが、私は、それを食べなくても死ぬわけじゃないから、きらいなものを無理に食べる必要はないという考えです。食べられるものをおいしく食べさせてあげたほうが、きらいなものを克服するよりずっと良い気がするんです。わざわざきらいなものを細かく刻んで料理に入れるより、好きなものをたくさん入れてあげるほうが、親子関係としては良いのではないかなと思うんです。

――確かにその通りですね。

息子が、「実は、子どもの頃は甘辛い煮物があまり好きじゃなかった」と今頃になって言うんです。でも、「大学に入った頃から、こういうのが沁みるよなぁと感じるようになった」と。親が必死に食べさせなくても、子どもは成長とともに苦手なものも食べられるようになります。

――arikoさんにとって、料理を作る時間というのはどういうものですか? 家族においしいものを食べさせたいという思いが強いのでしょうか。

"食べさせなければいけない"という意識を持ったことは1度もないです。シンプルに作っていて楽しいのと、「おいしい」と言わせたい。むしろ、勝負をする感じなので、料理人の気持ちに近いかも(笑)。“食べさせる”と思うとおいしいものができない気がするんですよね。とにかく、おいしいと言わせたいです。

――おいしいと言わせたい。料理を作る上で大切にするべき気持ちですよね。「おいしい」と言わせるためにしている工夫はありますか?

自分で食べておいしいものを作りたいのはもちろんなんですが、甘辛いものには酸っぱいものを合わせるとか、柔らかに煮込んだシチューにはカリッとした食感のサラダを添えるとか、味や食感のコントラストを大切にしています。おいしく食べるためなら、辛くてももうちょっと頑張ります(笑)。 例えば、私の好きな漫画「きのう何食べた?」の中で、主人公が疲れて帰ってきて、鶏の水炊きを作った際に、さらにおいしく食べられる副菜として「カリカリのきんぴら」を頑張ってもう一品作るというエピソードがあるんですが、この話を読んだ時に思ったのがまさに「私と一緒だ!」。この時にパートナーが主人公に言った「副菜の鬼」というワードがあまりに共感できてその後作った副菜本のタイトルにさせていただいたほど。「もう少し頑張れば、さらにおいしくなる!」となれば頑張れる。 これは、人には強要しないですけど、私はそこに達成感があるんです。

――今回発売になるレシピ本を見ていると、普段食べ慣れている麺類やごはんが、いつもよりおいしく食べられそうなレシピがたくさんありました。

見て「おいしそう!」となり、作ってみたら簡単で、食べたら「やっぱりおいしかった!」となるのが、買ってよかったレシピ本の条件だと思っています。ペラペラっとページをめくったときに、「これ作りたいな」と思ってもらえるレシピがいつくもある本を作れたら良いなと思ってこの本を作りました。

私の料理は、子どもの口にも合うけど、料理を食べ慣れてきた人にもおいしいと言ってもらえる。それが私の自慢です。そんなレシピを詰め込んだので、家族みなさんで囲む食卓に並べるごはんとして活用してもらえるとうれしいです。

目玉焼き丼ソーセージ添え

材料(2人分)

ごはん…茶碗大盛り2杯分
ウインナソーセージ…4本
卵… 2個
サラダ油…小さじ2
しょうゆ…適量2人分
粗びき黒こしょう…少々

作り方

1.小さめのフライパンにソーセージと水大さじ(分量外)を入れて中火にかけ、水気がなくなるまで転がしながら炒めて取り出す。
2.1のフライパンをペーパータオルで拭き、サラダ油を入れて中火にかけ、卵を割り入れて好みの硬さになったら火を止める。
3.丼にごはんと2の目玉焼き、1のソーセージをのせ、しょうゆを回しかけて黒こしょうをふる。

MEMO

目玉焼きは、白身が固まりきる前に火から下ろすのがコツ。表面をしっとりと仕上げることで、ごはんに馴染みがよくなります。お好みで食べるラー油や納豆、青ねぎ、お漬物などを添えて、味変するのもおすすめです。

(TEXT:山田かほり)

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ariko

『CLASSY.』 『VERY』などのファッション誌を担当するエディター、ライター。夫、息子と3人暮らし。インスタグラム(@ariko418)に投稿されるセンスあふれる料理の写真と食いしん坊の記録が話題を集め、フォロワー21万人を超える。美味しいもの好きから絶大な人気を集めている。著書に『arikoの食卓』シリーズ(ワニブックス)、『arikoのごはん』『arikoの家和食』(講談社)、『arikoの喫茶室』(マガジンハウス)など。

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