cookpad news
インタビュー

40代以上にとっては高級品だった!?「まいたけ」が身近な存在になった理由

栄養素が豊富で調理がしやすく、家庭の食卓に並ぶことも多い「まいたけ」。リーズナブルな値段で親しまれている舞茸ですが、昔は「高級品」のイメージだったような…?まいたけがお手頃価格で手に入るようになるまでの歴史と、食品としての魅力に迫ります。今回は、株式会社雪国まいたけマーケティング部の齋田俊太朗さんにお話を聞きました。社員秘伝の食べ方やおすすめレシピにも注目です。

高級品だったまいたけが庶民の食べ物になった歴史

――昔、まいたけは高級品だったと伺いました。どのような歴史があったのでしょうか。

まいたけは昔から日本に自生するきのこですが、山の奥深くまで探しても、一筋縄では見つからないくらい希少性の高いきのこです。人工栽培も非常に難しく、その希少性からかつてはまいたけと同じ重さの銀と同価値になるほど貴重なものでした。

江戸時代にある東北地方の大名が「食べれば体の調子がよくなるきのこ(まいたけ)」を発見し、それを江戸幕府に献上したところ高い評価を受け再度所望されたため、「採ってきた舞茸と同じ重さの銀と交換する」いう条件で地域の村人に依頼を出して実際に銀を褒美として与えたという逸話もあるんですよ。

――創業当時の値段はどのくらいだったのでしょうか。

「株式会社雪国まいたけ」の創業は1983年ですが、当時でも1kg1万円くらいと、まだまだ“憧れの食材”的存在だったようです。天然物は特に高級品でした。そのため人工栽培を検討することになるのですが、まいたけは菌自体が弱かったため人工栽培が特に難しく、苦労したと聞いています。弊社は試行錯誤を重ねることで、大量生産技術の開発に成功しました。大量生産による安定供給が可能になったことで、お求めやすい価格で提供できるようになったのです。

――企業努力でお手頃価格になっていったということですね。

そうですね。現在では1㎏あたり約1,000円とリーズナブルな価格になっております。1パックあたりでは、平均は100円くらいですので、かなり手に取りやすくなったことから、家庭の食卓に並ぶことが増えたのではないでしょうか?

魅力だらけのまいたけ

――手に取りやすいまいたけですが、魅力は何ですか?

栄養価が高いことです。たんぱく質、ミネラル類、ビタミン類などの栄養成分が豊富に含まれています。他のきのこ類との比較で言えば、カルシウムやリンの代謝に関わって骨を強くする「ビタミンD」が多いです。

また、まいたけ特有の食物繊維の「水溶性β-グルカン(MDフラクション®)」も含まれており、健康維持・増進に関与すると言われています。更に、まいたけには食物繊維が豊富に含まれているため、腸の働きも助けてくれると言われています。

――高い栄養価だけではなく、お肉を柔らかくする成分も含まれていると伺いました。

まいたけの大きな特徴の一つに「プロテアーゼ」があります。プロテアーゼは、タンパク質を分解してお肉を柔らかくする酵素です。タンパク質から旨み成分を含むアミノ酸などに分解されることで、美味しさが一層アップするという嬉しい効果があります。酢豚にパイナップルを入れるのと同じようなことですね。

裂いたまいたけをお肉と漬け込み、一晩置くだけで柔らかさが全然違います。牛肉ステーキやスペアリブ、鶏肉料理にもおすすめです。

――その他にも魅力はありますか。

他のきのこと違って包丁を使わずに手で裂けるので、調理がしやすいです。特に弊社の製品は、株栽培のまいたけを包装する際に人の目と手で、処理すべき根元部分を除いているので、本当に簡単に裂くことができます。またほぼ100%が可食部でゴミが出ない点も、魅力的ではないでしょうか。

――調理がしやすくて、使い勝手が良いきのこですよね。

「使い勝手が良い」という意味では、昨年の8月から本格的に販売を始めた「雪国まいたけ極(白)」によって調理の可能性が広がりました。きれいな白は、料理をパッと華やかに彩り、煮汁が黒くならないので、クリーム系のメニューやサラダなど幅広くお使いいただけます。

社員おすすめの食べ方

――まいたけを扱う企業の社員さんならではの、おすすめの食べ方はありますか?

カレーに入れて食べるのがおすすめです。カレーの代表的な食材と言えば、ジャガイモやニンジンだと思うのですが、まいたけも食感が残るので引けを取りません。煮込んだルーの中でもちゃんと存在感があります。ぜひ試してみてください。

そして実はもっとおすすめなのが、オーブントースターで焼いただけのシンプルレシピ。ほんの少しだけ塩をかけて、すだちを搾ってもいいですね。香りが本当に引き立つので、食感はもちろん香りも美味しい一品になります。

――毎日でも作れる定番メニューのおすすめはありますか?

お味噌汁がおすすめです。まいたけは栄養素が豊富という話をしましたが、水溶性の栄養素もあるので、煮汁も丸ごと摂取できるレシピが向いています。その点、お味噌汁なら毎日の献立にも組み合わせやすいですし、定番メニューに最適なのではないでしょうか。

――その他にもおすすめの食べ方があれば教えてください。

意外なところでは「まいたけの唐揚げ」がおすすめです。天ぷらではなく、唐揚げにすることで、まいたけのシャキッとした食感を活かせます。食感が非常に良く、お子様でも食べやすいのがポイントです。イベントで振る舞った時も、試食いただいたみなさんから大好評でした。ぜひ試してみてください。

(TEXT:Yoko Fujie)

株式会社雪国まいたけ

新潟県南魚沼市に本社を置く「​きのこ総合企業​」。1983年創業。大量人工栽培技術を確立 し、急成長を続けてきた。2020年に東京証券取引所市場第一部上場。2023年に40期を迎え 、さらなる飛躍を目指す。 >>公式HP

関連する記事
【保存法】ゆずは「まるごと冷凍」が正解!長持ちするためのポイントは? 2023年11月28日 15:27
凍らせて栄養価アップ!きのこの冷凍わざ 2023年11月24日 07:00
50代2児のワーママ「将来が不安、疲れやイライラで辛い」原因と対策は 2023年11月25日 20:00
しいたけ嫌いが食べてみた!ドンキで爆売れ中の「しいたけスナック」レポ 2023年12月02日 18:00
のり塩味がたまらない!「カリカリ舞茸」レシピ 2023年12月02日 09:00
裏ワザで即味しみ!大根×ちくわのおかず 2023年12月09日 06:00
ほんの5分でおかずが追加できる!「乾燥わかめ」を使った副菜レシピ 2023年12月19日 16:00
殿堂入り間近!食材3つの「焼き鳥風おかず」なら1品で大満足◎ 2023年12月23日 08:00
世界が日本の「和紅茶」を絶賛!ビール・コーラに続くクラフトブームはコレ 2023年11月29日 04:00
カップ麺の「ノンフライ麺」のメリットって?違いは何?管理栄養士に聞いてみた! 2023年12月05日 12:00
【2万回検索された】〇〇でふっくら、もっちり!発酵不要&罪悪感ゼロの「やせピザ」 2023年12月20日 19:00
寒くて外に出たくない日のランチはこれ!あったか「スープパスタ」5選 2023年12月24日 21:00
悪玉コレステロール値が高いといわれたら?食事や食べ物選びの工夫を解説 2023年12月13日 20:00
寒い日のランチに食べたい!レンジで作る「洋風粥」 2023年12月09日 11:00
こんなケーキ見たことない⁉︎市販品で意外と簡単「モノクロブッシュドノエル」 2023年12月14日 12:00
なんと8割の子どもに栄養失調のリスクが!その原因は◯◯不足にあった 2023年11月28日 20:00
中華風や洋風で!お餅を消費できる「簡単スープ」3選 2024年01月24日 07:00
正月明けの◯◯不足に!免疫力UPのスピード副菜3選 2024年01月05日 07:00
忙しい日に!簡単&スピーディーな「卵」のランチメニュー 2024年02月02日 11:00
時間がない日のランチに最適!10分で大満足パスタレシピ5選 2024年01月13日 21:00
肝機能の数値が高いといわれたら?原因となる生活習慣や改善のポイント4つ 2024年01月10日 20:00
知らないうちにとりすぎてるかも!?炭水化物の過剰に気をつけたい食べ物7つ 2024年01月24日 20:00
発症リスクが47%も低下する! “風邪予防”につながる2大栄養素とは… 2024年01月26日 17:00
なかなか痩せない……なら冷蔵庫を見直して!「痩せやすい冷蔵庫」作りのポイントって? 2024年01月13日 19:00
カルシウム豊富◎栄養を逃さず食べられる小松菜の副菜4選 2024年02月20日 18:00
トマト缶なしでトマト味!濃厚な味わい「鶏もものケチャップ炒め」 2024年02月24日 08:00
【医師が教える】老けて見える人、見えない人の「食習慣」の差 2024年01月30日 20:00
あと1品に大助かり!レンチンで爆速完成の「小松菜」の副菜レシピ4選 2024年03月12日 16:00
これスゴイ!舞茸のカリカリ唐揚げが揚げずにできた 2024年03月13日 17:00
胃炎や肌荒れに◎忙しい年度末をビタミンたっぷり「春キャベツのスープ」で乗り切ろう! 2024年03月18日 20:00
コリコリ食感でエビよりうまい!?「エリチリ」ってなんだ 2024年03月27日 15:00
あると便利!プラス1食材でできる「しめじ」の作りおき 2024年03月24日 18:00
鼻づまり解消の食品も!花粉症を「予防できる食べ物」と「悪化させる食べ物」を医師が解説 2024年03月05日 10:00
ヨーグルトと食べ合わせNGな食べ物とは?管理栄養士に聞いてみた! 2024年03月12日 12:00
隠れ脂質を見逃すな!脂質の摂りすぎにつながる要注意な食べ物 2024年03月20日 20:00
【災害時に役立つレシピ】電気&ガスは使えるが水が出ない時に!洗い物極少の炊込みご飯 2024年02月05日 21:00
◯◯をしっかり食べる子はテストの結果が良い!子どもの成績をアップさせる食事法とは? 2024年02月28日 21:00
子どもの能力は15歳までの食べ物で決まる⁉️“脳”の能力アップに必要な5つの栄養素とは 2024年02月29日 20:00
舞茸買ったらこれ作って!ボリューム満点おかず2選 2024年04月18日 08:00
材料次第でアレンジいろいろ◎「鶏もも肉のトマト煮」レシピ3選 2024年04月21日 08:00
牛乳と食べ合わせNGな食べ物、食べた方がいいものとは?管理栄養士に聞いてみた! 2024年04月09日 12:00
圧倒的に成長しているグミ市場。逆転された飴やガム、若い世代は本当に関心がないのか? 2024年04月28日 17:00
【大河ドラマで注目!】紫式部の天才的頭脳を支えたのはあの食材?現代にも活かせる平安時代の食生活とは 2024年04月12日 19:00
野菜は「冷凍保存」が正解!気になる保存方法のコツや保存期間を紹介 2024年03月27日 21:00
栄養士が考える「肉じゃが」の献立!定番の副菜、汁物などおすすめの組み合わせを紹介 2024年04月04日 20:00
隠し味を入れて!子ども喜ぶ「ほうれん草と卵の胡麻マヨサラダ」 2024年05月11日 16:00
それダメ!テフロン素材のフライパンNG使い方 長持ちさせる方法を専門家が解説 2024年04月24日 19:00
「まごわやさしい」とはどんな意味?おすすめレシピと1週間分の献立例を紹介 2024年04月29日 20:00
早く知りたかった!人気店に聞く絶対おいしくなる「お好み焼き」の作り方 2024年04月26日 20:00
「麹」にはどんな効果があるの?基本の塩麹の作り方と活用レシピ3選 2024年05月14日 10:00