cookpad news

私の勝ちごはん:笑顔とパワーをくれる母の「ハニーカステラ」!

元水泳競技日本代表 萩原智子さん:身長178センチのトップスイマーとして、シドニー五輪では女子200メートル背泳ぎ4位となった萩原さん。ハギトモの愛称で親しまれ「笑顔のスイマー」としてもお馴染みです。その明るく元気な笑顔の裏側にはお母さんとの強い絆がありました。お母さんとの二人三脚で歩まれた選手生活の「勝ちごはん」を伺いました。

現役時代は1日7食。それでも痩せてしまう…

トップスイマーとして、現役時代に気をつけていたことはありますか?
「現役時代は1回の練習が2時間半から3時間、それを毎日2、3回とこなしていました。ハードな練習に耐えるため炭水化物、肉、大豆、バナナなど即エネルギーになるものを、とにかく大量に食べていましたね。私は体重が減ってしまうタイプで、オリンピックの選考会では1週間で6kg減ってしまったこともありました。1回の練習で3kgも落ちたこともあるんですよ。

体重が落ちるとやっぱり単純にパワーが出ませんし、同時に筋肉量も減ってしまうので、筋力維持のためにも試合前にはしっかり食べることが重要でしたね。なんとか食べて体重を増やしてから、試合に望むことも多かったです。そんな私を心配して、母が試合前には必ずおにぎりをたくさんつくって、応援に来てくれましたね。試合前でも食べやすいように形は小さな俵型、海苔は消化に悪いのであえて巻かないという思いやりもありました。食事面での母の存在は大きかったですが、メンタル面でもいつも支えてくれていましたね。

高校2年生の時、ずっと目指してきた大きな大会で、思ったような結果が出せませんでした。本当に落ち込んでしまって、ずっと2階の自分の部屋に閉じこもっていたことがあるんです。そしたら1階から、いい匂いがしてくるんですよね。お腹もへっていたので降りていくと、ものすごい量のスコーンが焼いてあったんです。

何もいわずに泣きながら食べましたね。そういう時に母は『元気出るよね。』としか言わないんです。人って落ち込んでいる時でも、おいしいものを食べると元気が出るんだな、と今でも忘れられない思い出です。すごく元気が出ましたし、次に向けての原動力になりましたね。手作りの食べものの力って、とても大きいですよね。今度は私が手作りの食べものを通して、人を元気にできたらと思っています。」

母は笑顔作りの天才!「ハニーカステラ」が私の勝ちスイーツ

萩原さんにとって「勝ちごはん」とは?
「地元山梨でケーキ教室の先生もしている母が作ってくれた『ハニーカステラ』ですね。『勝ちごはん』ならぬ『勝ちスイーツ』ですね(笑)自分でもスイーツ作りが好きで、今もつくるんですが母の味にはまだまだ届きません。

私が幼い頃から母は誕生日やイベントの時に必ず手作りケーキを焼いてくれました。その中でも物心がついて初めて食べたのが、確かこのハニーカステラだと思います。レモン皮のさわやかな香りと、蜂蜜のほのかな甘さのある本当にシンプルなカステラです。消化にも良く、すぐにエネルギーになりますし、口当たりも軽くて食べやすいので、試合前に焼いてもらってラップに包んで持っていってました。

現役時代、母は常に力になってくれましたね。要所要所でとても自然に助け船を出してくれるんですよ。母自身はまったくスポーツしない帰宅部だったんですが、なぜかアスリートの心を分かってくれて、こちらが話をしたくなるまで、ずっと待っていてくれるんです。不思議ですよね。

2000年のシドニーオリンピックは応援してくれる人も多く、メダルを期待されていた大会でしたが、結果としては4位という成績でメダルには届きませんでした。帰国後に『税金を使って行ったのにメダルを獲れなかったのか!』と批判の声も耳に入ってきました。オリンピックに行く前からも、厳しいことをいわれていましたし、中傷される経験自体が初めてだったことで、かなり精神的に追い詰められて、泣きながら家に帰ったことがありました。

普通は娘が泣きながら家に帰ってきたら『どうしたの?』と心配して声を掛けると思うんですが、母は本当に何も聞かずに、ただ抱きしめていてくれました。私よりずっと小さな母に抱きしめられながら、声を上げてわんわん泣きました。あれだけは今でも忘れないですね。

私にとって大好きな『食』や『水泳』は『笑顔』に繋がります。人が笑顔になれることは、心身ともに満たされますし、本当に幸せなことですよね。母のケーキ教室に通う生徒さんたちが、みんな嬉しそうな笑顔でいるのを見ていると、それを生み出している母はやはり偉大だな、と思います。人生の大先輩として、まだまだ私は追いつけませんが、目標であり師匠です!

今までの人生、様々な思い出がある中で、励まされて、元気になる中心にあったのが、『食』だったように感じています。私自身もいつか水泳や料理を通して、人に元気やパワーを与えてあげられるような人間になりたいですね。」

カラダとココロのエネルギーを満タンに

スポーツ栄養アドバイザー石川三知さんの栄養解説
カステラは運動する人におすすめの補食として、よく紹介されています。その目的は「エネルギー源の補給」です。皆さんもご存知の通り、私達の体内で最も効率よくエネルギーとなるのが炭水化物。炭水化物は、主に穀類に含まれています。中でも、小麦粉などの“粉状”のものは、米などの“粒状”に比べ消化吸収が早い=素早くエネルギーになる、と言われています。(粉は、粒が消化された形式ですから)。そして、食べやすいことも、大きなポイントです。卵から摂取できる、体作りの素・たんぱく質も魅力ですね。

しかし、粉状のものでも、油脂分や精白糖が多すぎると、消化に時間が掛かりすぎたり、エネルギーとして燃焼されにくくなってしまうので注意が必要です。また、炭水化物だけでは、エネルギーとして利用されず、ビタミンB群やマグネシウムといった栄養素が揃って、はじめて良質なエネルギー燃焼となります。

ただ、私個人の考えですが、カステラ(ハニーカステラ)は単に栄養素の問題だけではなく、柔らかな食感や、シンプルな作り方だからこそ楽しめる素材(蜂蜜や卵、小麦粉)の味や香りを感じられることが、良さなのではないかと思うのです。手作りならば、その良さは倍増するはずです。食べたら、なぜかほっとする。元気が出てくる。ハニーカステラは、それを存分に味わえるメニューではないでしょうか?

おすすめレシピは4種類の材料だけでOKのシンプルなカステラ。はちみつと三温糖で甘味を出しているので、精白糖に比べ栄養素(ミネラル類やビタミン類)も多く、風味も豊かになります。強力粉を使うと、たんぱく質の摂取量もUP。

石川三知さんのおすすめレシピ

関連カテゴリ

「スポーツを頑張る家族を応援したい」「でも、どんな料理が体づくりに良いのかわからない」スポーツをする家族を持つあなたの悩みに、専門家が応えます。

元水泳競技日本代表 萩原智子

山梨学院カレッジスポーツセンター研究員。2000年シドニー五輪、200m背泳ぎ4位、200m個人メドレー8位入賞。2004年現役引退後、5年の歳月を経て、2009年現役復帰宣言。翌年2010年には、30歳にして日本代表に返り咲いた。ロンドン五輪代表選考会では堂々と決勝に残り、意地を見せた。シドニー五輪で、タッチの差でメダルを逃して4位となったとき、銅メダルを獲得した隣のコースの選手に笑顔で祝福の言葉をかけたのが記憶に残る。

萩原智子の公式キッチンがスタート!

簡単でステキなレシピや話題の商品、ご当地メニューを紹介。
萩原智子の公式キッチンはこちらから。

関連する記事
【見知らぬ土地で子なし、友達なし】孤独だった元・歯科助手がフォロワー8万人越えの人気レシピ作家になるまで 2023年12月09日 20:00
50代2児のワーママ「将来が不安、疲れやイライラで辛い」原因と対策は 2023年11月25日 20:00
医師が伝授する老化予防。「なぜか若く見える人」は◯◯を食べている! 2023年11月23日 20:00
子育ての本番は〇〇期から!12人産んだ助産師ママが語る「子育て中で一番きつかったこと」 2023年12月12日 18:00
マニアが食べ比べ!業スーで1番おいしい「スパム缶」はコレだ 2023年12月15日 20:00
“練らないこと”がポイント!バターと卵不使用の「チョコスコーン」がX(旧Twitter)で話題 2023年12月08日 20:00
低体温の子は感染症にかかりやすい⁉️体温を上げる食事には◯◯が欠かせない 2023年12月23日 13:00
1年で最もダイエットに適した季節到来!冬が来る前に運動を始めるのがポイント 2023年11月29日 19:00
「食事のしつけ」いつから始めるのが正解?12人産んだ助産師ママの回答に驚き 2023年12月13日 18:00
レンジ2分で驚きのモチッとろっ食感!バレンタインに食べたい罪悪感ゼロスイーツ 2024年02月04日 20:00
知らないうちにとりすぎてるかも!?炭水化物の過剰に気をつけたい食べ物7つ 2024年01月24日 20:00
発症リスクが47%も低下する! “風邪予防”につながる2大栄養素とは… 2024年01月26日 17:00
子どもに合わせて料理はしない。21万人が注目、arikoさんが語る「家族が幸せになる食事」 2023年11月30日 18:00
【管理栄養士が伝授】「糖質オフ」より「糖質オン」のほうがキレイにやせるってホント? 2023年12月22日 21:00
医師が勧める「痩せる炭水化物」って?糖質制限ダイエットをする人に知ってほしい真実 2024年01月15日 19:00
ダイエットに間食はNG……ではない!太りにくい体を作る「戦略的な間食」を医師が伝授 2024年01月10日 19:00
これおいしすぎ!5万人が保存した無限に食べられる「大根とツナ」サラダ 2024年02月13日 17:00
筋肉不足で糖尿病リスクにも?!女性の痩せによる健康リスク 2024年02月14日 20:00
1ヶ月に1回は替えている?「キッチンスポンジ」の取り替えどき&オススメの優秀スポンジ 2024年02月23日 17:00
アニメ好きやヴィーガンに大人気!日本のおにぎりがパリで独自進化していた 2024年01月15日 09:30
不摂生な生活で激太り!座りっぱなしの漫画家が一念発起して−25kgを達成した「期間集中ダイエット」 2024年02月03日 09:00
挫折とリバウンドを乗り越えて−16kg!成功を支えたのは「アプリで繋がった仲間たち」 2024年02月10日 09:00
「老け見えしない」50代のダイエット術!4カ月でー6kg、更年期症状も改善した方法 2024年02月17日 09:00
「朝起きられない子」は◯◯不足が原因⁉️規則正しい生活に必須の栄養素とは 2024年03月28日 12:00
隠れ脂質を見逃すな!脂質の摂りすぎにつながる要注意な食べ物 2024年03月20日 20:00
ある成分を制限することが大事!「老化を防ぐ」ための食生活のポイント2つ 2024年03月29日 17:00
糖尿病予防、中性脂肪減にも効果的 健康意識の高い医師が「毎日食べている野菜」とは 2024年03月27日 12:00
◯◯をしっかり食べる子はテストの結果が良い!子どもの成績をアップさせる食事法とは? 2024年02月28日 21:00
【フライパンで全て完結】時間や手間を極限まで減らす!料理研究家・ゆーママさんの「テーブルパン」 2024年02月25日 12:00
血糖値の上昇をゆるやかに&血管を若返らせる!便利すぎる「みそ玉」のつくり方 2024年02月28日 18:00
保存容器があればOK!簡単すぎる「焼かないケーキ」 2024年04月02日 07:00
◯◯するだけで劇ウマに!「カステラ」の格上げ4選 2024年04月03日 13:00
「料理は“型”があれば迷わない」スープ作家・有賀薫さんが教える、レシピなし料理の秘訣 2024年04月05日 18:00
圧倒的に成長しているグミ市場。逆転された飴やガム、若い世代は本当に関心がないのか? 2024年04月28日 17:00
お弁当にも◎ロールパンでミニサイズホットドッグが懐かしウマい 2024年04月15日 06:00
食べ歩きが趣味の30代グルメ夫婦!栄養知識ゼロではじめたダイエットがきっかけで大きく変化した食習慣とは? 2024年03月23日 20:00
120kgから55kgになり人生が一変!体型、体調、メンタルまで整った−65kgダイエットの中身 2024年03月30日 18:00
3つの栄養素がポイント!東大現役合格を支えた「お弁当」つくりのルールとは 2024年03月21日 20:00
「朝ごはんにパン&コーヒー」はNG⁉️健康に欠かせない◯◯を弱らせてしまう悪い食習慣 2024年04月15日 19:00
子どもの偏食に悩む人に朗報!野菜嫌いの子が自分から「食べたい」と言ってくれる調理法 2024年03月22日 21:00
「一日三食規則正しくご飯を食べる」は逆にNG!?人生100年時代を元気に長生きするための食習慣とは 2024年03月26日 19:00
栄養士が考える「肉じゃが」の献立!定番の副菜、汁物などおすすめの組み合わせを紹介 2024年04月04日 20:00
「合理的にいうと料理ってする必要がない」スープ作家・有賀薫さんがそれでも料理をする理由 2024年03月29日 18:00
毎日食べているアレが老化の原因に⁉️アンチエイジングに欠かせない“副腎”を元気にする食事法とは 2024年04月05日 21:00
トマトを手で潰してTV局からストップも!?平野レミさんに聞く、料理を楽しくする考え方 2024年04月12日 21:00
寝る直前に水を飲むと心筋梗塞になりやすい⁉️「心臓力」を高めるための食習慣とは 2024年04月20日 20:00
アレを食べない人は口臭が強くなるってホント⁉️気になる“ニオイ”を防ぐ毎日の食習慣とは 2024年05月14日 20:00
料理愛好家という肩書きにした理由は…平野レミさんの「料理を好きになる」ために大事なこと 2024年04月26日 19:00
「まごわやさしい」とはどんな意味?おすすめレシピと1週間分の献立例を紹介 2024年04月29日 20:00
「麹」にはどんな効果があるの?基本の塩麹の作り方と活用レシピ3選 2024年05月14日 10:00