cookpad news
コラム

「一日三食規則正しくご飯を食べる」は逆にNG!?人生100年時代を元気に長生きするための食習慣とは

人生100年時代と言われるようになった現在ですが、健康に長生きするのと不健康に長生きするのでは大違い!できるかぎり元気なまま、歳をとっていきたいですよね。そこで今回は、総合内科医・秋津壽男医師の著書『100歳でも元気なのはどっち?長生きする人・しない人の習慣』(あさ出版)から、健康に長生きする食習慣のヒントを少しだけお届けします。

「一日三食、時間を守って食べる」
「お腹がすいたら食べる」
長生きする習慣はどっち?

「最近、少し太ってきた」「そろそろ本格的にダイエットしないと……」

皆さんの中にも、肥満が気になる人は多いのではないでしょうか。
肥満に関わる病気には、脂質異常症、高血圧、高血糖を三大症状とするメタボリックシンドロームのほか、それらが誘発する糖尿病、腎臓病、動脈硬化などがあります。
さらに、肥満が引き金となって起こる脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、狭心症、高尿酸血症、痛風、脂肪肝、すい炎なども挙げられ、肥満が深刻な病気に直結するということが分かっています。

それでは、肥満を予防・改善するには次のどちらの食習慣が良いでしょうか?

1、一日三食を朝昼晩、毎日決まった時間に食べる
2、時間は決めずに、お腹がすいたときに食べる

これは、野生の動物を見てみるとはっきり分かります。

肥満の野生動物はいません。彼らのほとんどは、朝昼晩と食事の時間を決めるようなことはせず、空腹になるまで餌を食べません。脳から「食行動をとれ」という指令が出るのは、体内で消費されたエネルギーを食べ物で補う必要があるときだけです。

そして、適度な量を食べ終われば、彼らは食事をきっぱりとやめてしまいます。人間のように、お昼の時間が来たから食べようとか、満腹だけれどもったいないから食べきろうといったことはありません。

つまり大切なのは、空腹感を覚えたときに食べ、空腹感が治まれば食べるのをやめる、という食習慣です。

これを実践できれば、各人にとっての適切な体型は維持され健康が保たれます。一日三食を義務のようにして食べないほうがいいと言えます。ただし、激しい運動をする人であれば大量のエネルギーが必要ですし、胃腸の消化機能が衰えている人であれば一日四〜五回に分けて食事をとる必要があります。

「16時間ダイエット」のおすすめ

「16時間ダイエット」というダイエット法がありますが、これは、一日に何回食べるのが正解かというよりも、「16時間は何も食べない」ことがポイントです。一日16時間何も口にしなければ、自然な空腹感を呼び起こすことになります。空腹感があると、胃腸がスタンバイされている状態で、体に必要な分だけを食べることになるので、消化不良にならず、便通も良くなります。重要なのは、一日に何食食べるかよりも、一日のエネルギー消費量を知って、それを満たしつつ、胃腸に負担をかけない時間を確保することです。

■POINT■
一日三食を規則的に食べるより、空腹感のあるときに食べるほうがいい。16時間ダイエットも効果的だが、自分にとって一日に必要なエネルギー量を知ることが重要。

「プロテインでタンパク質をとる」
「肉からタンパク質をとる」
長生きする習慣はどっち?

プロテインは、運動後の筋肉増量を目的とする人だけでなく、最近ではダイエットや美容に関心のある人たちにも広く飲まれるようになり、手軽にタンパク質をとる手段として一般的になりました。

日本で流通するプロテインの多くは、ホエイというタンパク質を原料にして作られています。ホエイとは、市販のヨーグルトを開封したときに見られる上澄みの液体に多く含まれ、消化吸収が速いため、タンパク質不足の人の栄養管理に効果的だと言われています。

しかし、ひとつの栄養素だけをとり続けることには注意が必要です。

プロテインをとり過ぎると、体内の過剰なタンパク質を処理する腎臓に大きな負担がかかるからです。実際に、腎臓病の患者さんは、治療のためにタンパク質の摂取量を制限されます。アメリカでは、「プロテイン腎症」とよばれる腎障害が報告されていますが、これはプロテインの過剰摂取が原因と考えられています。

人間に必要な栄養素は200種類以上!

体を動かすエネルギーの素になるのは、三大栄養素と言われる炭水化物・タンパク質・脂質です。では、一日あたりの必要量として、炭水化物60gと、タンパク質50gと、脂質30gだけをとっていれば問題ないかというと、そうではありません。

健康な栄養状態を維持するためには、三大栄養素のほかにも、ビタミンやミネラルをはじめ、微量元素とよばれる亜鉛やセレン、コバルトなど、少なくとも200種類以上の栄養素が必要と言われています。セレンやコバルトなどは過剰摂取すると体に毒として作用しますが、一方で、全く摂取しないでいると、貧血や肝機能障害などの欠乏症を起こします。

寝たきりになって口から食べられなくなった人には、点滴などの経管栄養で栄養剤を与えますが、たとえばエレンタール配合内用剤という点滴の成分表には、数十種類の成分が記載されています。それでも足りない栄養素があるため、点滴のみでずっと生き続けることはできません。

同じように、プロテインでタンパク質のみを単体で摂取し続けていると、体に必要な栄養素が欠如して、栄養障害が生じます。バランスのとれた栄養状態を維持するには、日頃から肉や野菜、穀物など自然の食材から栄養をとるようにしましょう。

■POINT■
プロテインからタンパク質単体を過剰に摂取すると、栄養が偏り腎臓機能に悪影響を及ぼす恐れがあるので注意が必要。健康を維持するための必須栄養素は少なくとも200種類以上あるので、肉や野菜、穀物などから栄養をとることを心掛けよう。

本文は『100歳でも元気なのはどっち?長生きする人・しない人の習慣』(あさ出版)より一部抜粋・編集しています。

画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ

人生100年といわれるようになり、インターネットでも健康についての情報を簡単に検索できるようになった一方、ニュースの記事や口コミ、体験記を鵜呑みにすると、思わぬ健康被害に遭ってしまうというケースも多く報道されるようになりました。
では、どのような点に気をつければいいのでしょうか?
本書では、医療に関する誤情報に惑わされずに健康でいるために知っておきたい40個の質問を用意しました。
●目の前の情報を疑う
●根拠ある事実をもとに、メリット・デメリットを知る
●これまでの習慣を見直す
というポイントをおさえて読み進めることで、巷に溢れる情報の中から、100歳でも元気でいられる習慣を選択することができるようになります。

書籍紹介

『100歳でも元気なのはどっち?長生きする人・しない人の習慣』(あさ出版)
健康寿命への関心は年々高まっており、病院選びから、がん治療、薬、食、日常習慣など様々な分野の健康情報が巷に溢れています。
しかし、それらの健康常識は誤っていることがあります。誤情報を鵜呑みにし、自分で自分の寿命を縮めている人が大勢いるのです。
そこで本書では、健康に関する、誤解を生じさせやすいトピックを用意し、それぞれについて医学的知見に基づいた正しい知識と健康法をご紹介します。
医師としてテレビなどのメディアに多数出演する著者が、医療知識をやさしく解説していきます。
各項目のはじめに「長生きする人の習慣or長生きしない人の習慣」という対比形式で問題が出され、項目の最後に回答とまとめがついており、パラパラとめくって読みやすいつくりになっています。

著者紹介

秋津 壽男 (あきつ としお)
秋津医院院長。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会公認スポーツドクター、日本体育協会公認スポーツドクター、日本禁煙学会認定禁煙専門医。1954 年(昭和29 年)和歌山県生まれ。1977年大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をし、和歌山県立医科大学医学部に入学。1986年に同大学を卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコー等を学ぶ。その後、東京労災病院等を経て、1998 年に品川区戸越銀座に秋津医院を開業。現在、『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)にレギュラー出演中。

関連する記事
あの栄養がカギを握る!「子どもの学力を伸ばす食事」でとにかく覚えておくべきこと 2023年11月10日 23:00
慢性的な疲労だけじゃない「夜勤仕事」をする人の体内で起きている変化 2023年10月28日 20:00
高血圧や血糖値にも◎旬の柿で健康に秋を過ごそう 2023年11月14日 18:00
子育て世帯の25%が◯◯不足!?風邪予防のカギとなる免疫力アップ法とは 2023年11月29日 13:00
おかずはもちろん、スイーツも!?おいしくヘルシーな「高タンパク」レシピ 2023年11月03日 21:00
人工甘味料は血糖コントロールやダイエットの味方になる?上手な活用の仕方 2023年11月01日 20:00
そのプロテイン、本当に必要?プロテインが必要な人、必要ではない人 2023年11月08日 20:00
血糖値が高いといわれたら?まず見直したい食生活のポイント4つ 2023年11月15日 20:00
医師が伝授する老化予防。「なぜか若く見える人」は◯◯を食べている! 2023年11月23日 20:00
「お腹が鳴ったから食べる」は肌トラブルの原因!?自律神経を整える食事のタイミングとは 2023年11月27日 20:00
え、ダメなの?痩せたい人が「サウナ」で飲んではいけない意外な飲み物 2023年10月31日 20:00
これだけ守れば大丈夫!ダイエット中でも罪悪感ゼロの「おやつ2か条」とは 2023年12月18日 20:00
低体温の子は感染症にかかりやすい⁉️体温を上げる食事には◯◯が欠かせない 2023年12月23日 13:00
悪玉コレステロール値が高いといわれたら?食事や食べ物選びの工夫を解説 2023年12月13日 20:00
血圧が高いといわれたら?注意したい食生活と食事のポイント3つ 2023年12月20日 20:00
なんと8割の子どもに栄養失調のリスクが!その原因は◯◯不足にあった 2023年11月28日 20:00
年末年始の強い味方!暴飲暴食をなかったことにできる◯◯スープって? 2023年12月26日 20:00
正月明けの◯◯不足に!免疫力UPのスピード副菜3選 2024年01月05日 07:00
年末年始太りに!痩せたい人は「みかん」こう食べて【管理栄養士に聞いてみた】 2024年01月09日 10:00
冬は子どもの肌がガサガサに……その乾燥肌を生まれ変わらせる4つの栄養素とは? 2024年01月27日 19:00
3%の減量で血糖コントロールが改善?減量を達成するための実践法を伝授! 2024年01月03日 20:00
肝機能の数値が高いといわれたら?原因となる生活習慣や改善のポイント4つ 2024年01月10日 20:00
何でも食べていい?「16時間ダイエット」でやってはいけないNG行動! 2024年01月17日 20:00
知らないうちにとりすぎてるかも!?炭水化物の過剰に気をつけたい食べ物7つ 2024年01月24日 20:00
梅おにぎりと鮭おにぎり、どっちが正解?栄養士が教える「食べても太らない食事」とは 2023年12月12日 20:00
朝食に◯◯を食べている人は老けるのが早い⁉︎若さを取り戻す「老けない主食」ランキング 2023年12月14日 20:00
【がん専門医おすすめ】がんリスクを減らすフルーツやおやつとは? 2023年12月27日 20:00
がん専門医に聞いた!がんリスクを減らす「抗がん食材」ベスト3 2023年12月21日 20:00
医師が勧める「痩せる炭水化物」って?糖質制限ダイエットをする人に知ってほしい真実 2024年01月15日 19:00
なかなか痩せない……なら冷蔵庫を見直して!「痩せやすい冷蔵庫」作りのポイントって? 2024年01月13日 19:00
毎朝の◯◯が“要介護”にならない秘訣!?医師が教える「元気に長生きできる食事術」とは 2024年01月11日 19:00
ダイエットに間食はNG……ではない!太りにくい体を作る「戦略的な間食」を医師が伝授 2024年01月10日 19:00
成長期に◯◯をすることが重要!人生100年時代を支える「骨育」を知っておこう 2024年02月25日 14:00
これって冬バテ⁉︎乾燥や寒い季節の不調を撃退する健康食材5選 2024年02月07日 20:20
筋肉不足で糖尿病リスクにも?!女性の痩せによる健康リスク 2024年02月14日 20:00
【医師が教える】老けて見える人、見えない人の「食習慣」の差 2024年01月30日 20:00
医師に聞いた!糖尿病を「改善させる食事」と「悪化させる食事」 2024年02月28日 12:00
酸化ストレスを減らそう!医師が教える「老化を早める食事」と「老化を防ぐ食事」の違い 2024年03月30日 10:00
「朝起きられない子」は◯◯不足が原因⁉️規則正しい生活に必須の栄養素とは 2024年03月28日 12:00
隠れ脂質を見逃すな!脂質の摂りすぎにつながる要注意な食べ物 2024年03月20日 20:00
ある成分を制限することが大事!「老化を防ぐ」ための食生活のポイント2つ 2024年03月29日 17:00
◯◯をしっかり食べる子はテストの結果が良い!子どもの成績をアップさせる食事法とは? 2024年02月28日 21:00
子どもの能力は15歳までの食べ物で決まる⁉️“脳”の能力アップに必要な5つの栄養素とは 2024年02月29日 20:00
朝と夜に◯◯を食べると10歳も若返る⁉️医師が教える“細胞を元気にする”食事法とは 2024年02月22日 20:00
血糖値の上昇をゆるやかに&血管を若返らせる!便利すぎる「みそ玉」のつくり方 2024年02月28日 18:00
食べ歩きが趣味の30代グルメ夫婦!栄養知識ゼロではじめたダイエットがきっかけで大きく変化した食習慣とは? 2024年03月23日 20:00
「朝ごはんにパン&コーヒー」はNG⁉️健康に欠かせない◯◯を弱らせてしまう悪い食習慣 2024年04月15日 19:00
栄養士が考える「肉じゃが」の献立!定番の副菜、汁物などおすすめの組み合わせを紹介 2024年04月04日 20:00
毎日の◯◯が将来の認知症を予防!40代から始まる脳の衰えを防ぐ“脳のおそうじ食”とは 2024年04月06日 19:00
寝る直前に水を飲むと心筋梗塞になりやすい⁉️「心臓力」を高めるための食習慣とは 2024年04月20日 20:00