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インタビュー

子育ての本番は〇〇期から!12人産んだ助産師ママが語る「子育て中で一番きつかったこと」

12人産んだ助産師として知られるHISAKOさん。ご自身の12人育児と、助産師として約5万人の子育て支援をしてきた経験から語られる育児についてのアドバイスは、子育てで悩める多くの親たちを救っています。今回は、そんなHISAKOさんに、ご自身の育児についてのお話を聞きました。

子どもは5人欲しいと思って、12人の母に!

――12人のお子さんがいらっしゃるHISAKOさんですが、もともと子どもはたくさん欲しいと思っていたのでしょうか。

子どもはたくさん欲しいと思っていました。漠然と5人くらい。途中、流産も何度かありましたが、3人産んでみた結果「やっぱり5人!」となりました。5人で終わりにしようと思っていたのですが、とにかく子どもが可愛くて、可愛くて、「もう1人ほしいなぁ」と思っていたら、6人目の子がやってきたんです。

――6人目を産んだことで、さらに欲しいという気持ちが増したのですか?

5人目と6人目が3年あいたんです。5人目まで年子で産んでいたので、3年あいた6人目の子が一人っ子みたいに思えてしまって……。一人だけ歳が離れていてかわいそうになり、「これはあかん! 後半チームや!」と(笑)。その勢いで10人目まで産みました。

――初産と最後の出産はそれぞれ何歳ですか?

24歳のときに第1子となる長男を産み、12人目は46歳で産みました。40歳で産み終わりという思いがあったのと、そのタイミングで離婚をしたんです。なので、10人で終わりかなと思っていたのですが、その後今の夫と出会いました。40歳を過ぎていたので、何度か人工授精を試みましたが授からず、諦めかけていたところ自然に11人目を妊娠。本当に驚きました。

――そうだったんですね。12人目のお子さんもですか?

彼との子も授かり、もうこれで本当に終わりだなと思ったいたのですが、贅沢にも「11人目だけお父さんが違うってどうなんだろう」とモヤモヤしてしまって。とは言え、その時点で44歳。助産師という仕事柄、自然妊娠が難しいことはわかっていたので、45歳の誕生日までと決めて一番高度な顕微授精に挑戦しました。でも、そこはやはり44歳。なかなか妊娠できませんでした。「これが40代ってことか……」と落ち込みながらも、予定通り45歳になり不妊治療はやめました。でも、どこかあきらめられなくて、タイミングだけ合わせていたら、46歳で自然妊娠! それが、12人目の子です。

――自然妊娠! すごいですね。今、12人目のお子さんは3歳ですよね。イヤイヤ期真っ只中ですか?

そうです。 もうね、可愛くてたまらないです。イヤイヤ期最高! 終わらないでほしいくらい。3,4人目くらいから「イヤイヤ期可愛いわ~」と思っていたけど、6人目くらいからはイヤイヤ期が可愛いくてたまらない域に達しました。

子育ては楽しいけど、思春期だけはきつかった

――12人のお子さんを育ててきたHISAKOさんが、これまでの育児で一番大変だったことはなんですか?

ほんまに一番大変で、今でも笑えないなと思うのは思春期ですね。「もう1回あれやる?」と聞かれたら、「ごめん、もういいです」と言いたいくらい。本当にしんどかったし、メンタルはボロボロにやられました。

――そ、そんなにですか……。これから思春期を迎えるお子さんがいる読者もたくさんいるので、ぜひ具体的に教えてください。

子どもが12人いるので、いろんなタイプの思春期を経験してきました。その中には、どぎついタイプの子や、「あれ?もう終わったの?」というタイプの子もいます。
うちには、どぎついタイプの思春期を迎えた子が2人いました。1人は暴言を吐くタイプ。私に戦いを挑んでくるんです。「くそばあぁ」とか、「お前の作ったものは絶対食べない」と言って、本当に夕ごはんが朝まで食べずにおいてあるんです。何か食べたのかなと部屋を覗くと菓子パンの袋があったりして。用意しておいたごはんを丸ごと捨てたりと、きつかったですね。

――どぎついタイプの思春期になる子の特徴などはあるのでしょうか。

当時は本気で、「子育て間違ったかな……」と悩みました。なんでこうなってしまったんだろうと考えて、7,8人目の子たちが思春期を迎える時にわかったことがあります。

私、実はこう見えてけっこう真面目なんです。子どものためにいろいろやってあげたいという気持ちが強くて、友達と夜飲みに行くとか絶対ありえなかったし、お惣菜買ってくるとかもできなくて、毎日30品目使って3品おかずを作っていたんです。

娘からの「もっと適当なお母さんでいて欲しかった」

――お子さんがたくさんいて、お仕事もされていたのにそれはすごすぎませんか?

私的には、子どもに見返りを求めていたつもりはなかったし、やってあげたいという気持ちでやっていたんですよ。でも、敏感な子どもたちってお母さんの状態をしっかり観察しているんです。長女に、「ママは、良い母という自分に酔いたいだけ。私たちのためにやっているからじゃないよね」って言われたんです。ハッとしました。見返りを求めているつもりはなかったけど、無意識に、「ママ、これだけやってあげてるやん?」「ママ、がんばってるのに」って、節々にそういう発言をしていたんです。それがすごくうっとおしかったと言われました。

――うっとおしかった……。それは、親としてはきついですね。

仕事をしながら、子育てもして、それなのにお弁当も手抜きせずに作ってくれる。どんなときも一生懸命全力でやるお母さん(私)に、自分も応えなくてはいけないという気持ちと、言いなりになりたくなくてむかつくという気持ちで感情がぐちゃぐちゃになって、どぎつい反抗期になったみたいです。

――お子さんから直接聞いたのですか?

長女が18歳を超えてから、「どんなお母さんでいてほしかった?」と聞いたことがあるんです。そしたら、「もっと適当でいてほしかった」と言われました。「友達の〇〇ちゃんや、〇〇ちゃんのお母さんみたいに」」と。そのお母さんたちは、私から見たら「えっ?大丈夫なん?」と思うようなお母さんなんですけど、「あれぐらい適当にしてほしかった」って。

――適当なお母さんがよかったということですか?

「ママみたいになんでも完璧にされるとこっちが気を抜けない。それに私たちが応えなかったら、怒るし、溜め息つくし、顔に出る。結局子どものためって言いながら自分が大事なんやなぁって寂しかった」と言われたんです。そこで初めて、”完璧にしている良いお母さん”であることは、自分が安心するためであって子どものためじゃなかったと気づいたんです。

子育ての本番は思春期です

――「私はこんなに頑張ってるのに!」という気持ちになりそうなのに、そこをしっかり見つめ直せたってすごいですね。それによってどんな変化がありましたか?

7人目からはいろいろさぼることにして、意識して頑張らないようにしました。さぼるお母さんになる努力をしたんです。そしたら! それ以降の子どもたちの思春期の出方が全然違いました。今、6人目が高1、7人目が中3なんですけど、その子たちは自己肯定感がものすごく高いです。

――完璧であることをやめたというのは、具体的には?

言われたことはやるけど、言われてないことはやらない。上の子たちは塾に通わせていたけど、下の子たちは、行きたいと言われてから通わせました。昔は、行きたいとも言っていないのに、勝手に塾は必要だと決めつけて行かせていたんです。子どものことを信じるということを、6人目以降の育児で心がけていたら思春期の出方が変わりました。

――元々真面目な人は頑張らないことを頑張ることにストレスを感じませんか?

なります。そこを時間をかけながらがんばっていかないといけないんです。良いママになるために頑張ったら負けです。がんばらないことをがんばるということが正解。あとは中途半端な自分をたくさん作ること。子育てがしんどくなったら、仕事に逃げる、趣味に逃げる! どれもこれも中途半端でOK! そういう状態を作ったほうが、子どもは楽になるんです。「ママを見てたらいろいろ適当だけどすごく楽しそうに生きているな」と思ってもらえたら、成果を出す完璧人間であることが幸せにつながるとは限らないって気づきますよね。

――楽しそうに生きている姿を見せていたら、思春期で大変な思いをしないで済みそうですか?

子育ての本番は思春期です。そこにいきなりどぎついのが来たら、ママたちが鬱のようになっちゃうので、子どもたちは、小さいときからイヤイヤ期や理不尽なことを積み重ねてくれるんです。そのおかげで、ママたちは対応できるんです。イヤイヤ期に対応できたママたちは、がんばりすぎないママとしてがんばれば思春期も軽めになるかもしれません。

(TEXT:山田かほり)

画像提供:Adobe Stock

HISAKOさんの最新著書

5万組を子育て支援して見つけた しない育児』(サンクチュアリ出版)

5万組以上の出産・育児に寄り添い、自身も12人の母である助産師HISAKOが育児で「実はしなくていいこと」とその理由を解説します。

本書では、つい「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と思いがちな子育ての中で、実は「しなくていいこと」と、その反対に「するならこっちがおすすめ」をまとめました。

ママの頭の中はいつも「しなきゃ」でいっぱい。でも、子育ての中で絶対に「しなきゃいけないこと」って、実はそんなに多くありません。しなくてもいいのに、「しなければならないと思い込んでいる」いくつもの事柄が、ママの余裕を、そして、笑顔を奪っているのです。

この本では、それらを一つひとつ手放していくコツをお伝えしていきます。
これはけっして“手抜き”というわけではありません。
育児をする上で本当に大切なことを手放さないでいられるよう、身軽になるための提案です。 

取材協力

HISAKOさん

1974年生まれ。看護師・助産師資格取得後、総合病院、産婦人科クリニック勤務を経て2006年大阪市阿倍野に「助産院ばぶばぶ」開設。同院での母乳育児支援・育児相談を中心に、大阪市育児支援訪問・妊婦教室を15年にわたり担当。 政府や自治体依頼による講演活動や、日本全国の幼小中高校、大学、各発達段階に合わせた教育現場における出張授業「いのちの授業(性教育授業)」を展開。 毎日更新のブログは子育てバイブルとして1日5万人以上が愛読。 プライベートでは1998年から2020年の間に12児を出産。2020年沖縄県うるま市に移住、助産院移転。 YouTube『【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル』を配信中(登録者数約50万人/2023年6月現在)

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