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コラム

がん専門医に聞いた!がんリスクを減らす「抗がん食材」ベスト3

2人に1人ががんになる時代、がんは誰もが自分ごととして考えておくべき病気です。食生活においては、「この食品には発がん性物質が含まれているか」などが話題になることが多いですが、逆に、がんリスクを減らしてくれる「抗がん性」の食品はあるのでしょうか?がん専門医の佐藤典宏氏による著書『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)から、がんリスクを減らす「抗がん食材」について、少しだけお届けします。

最新研究で「がんの予防に役立つ食材」が判明

世界では、がんに関するいろいろな研究が行われていて、特に近年では、食事とがんに関する研究が盛んです。そのため、がんの予防に役立つ食材が複数わかってきました。

例えば、次のようなものです。

・抗酸化作用のある「アブラナ科の野菜」
・抗炎症作用のある「脂ののった魚」
・血管新生阻害作用のある「大豆」や「にんにく」
・抗腫瘍作用のある「ヌルヌルの海藻類」

がんを一気に消してくれる夢のような食材はありませんが、がんに対して、さまざまな角度から効果を発揮する食材があるのです。それらの食材をバランスよく毎日の献立に取り入れると、がんのリスクが低下することは間違いありません。

今回は抗がん作用が認められた3種の厳選食材を紹介していきますので、ぜひ、意識して食生活に取り入れてみてください。

抗がん食材1
キャベツは抗がん野菜No1!

アブラナ科の野菜にはスルフォラファンがたっぷり

キャベツや芽キャベツといったアブラナ科の野菜には、植物が有害なものから身を守るために作り出すファイトケミカルが豊富に含まれます。その一種であるスルフォラファンには強力な抗酸化作用があり、がんの増殖や転移を抑える働きがあります。
9万人の日本人を対象とした研究で、アブラナ科の野菜を最も多く食べたグループの男性は、最も少ないグループより、がんの死亡リスクが16%低く、全疾患の死亡率も男性で14%、女性で11%低下しました。
一年じゅうスーパーに並んでいて安価で調理もしやすいキャベツは最も身近な抗がん食材だと言えます。

抗がん食材2
ブロッコリーでがん細胞の増殖をブロック!

強力な抗酸化作用で肺がんや乳がんを予防

ブロッコリーは強い抗酸化作用を持つアブラナ科の野菜。特にブロッコリーの芽であるブロッコリースプラウトは、100gあたり1000〜2000mgという断トツのスルフォラファンを含んでおり、最強の抗がん野菜として注目を集めています。
タバコを吸わない男性を対象とした研究では、アブラナ科野菜の摂取量が多い人ほど肺がんになりにくいという結果や、閉経前の女性はアブラナ科の摂取量が多いほど乳がんになりにくいという報告もあります。
スーパーで売っている小房にわかれた冷凍ブロッコリーを常備しておくのもおすすめです。

抗がん食材3
玉ねぎには抗腫瘍効果あり!

がんや生活習慣病に効果があるケルセチンが豊富

玉ねぎをはじめとしたアリウム属の野菜は、抗がん作用抜群。ファイトケミカルの一種で、強力な抗酸化作用を持つケルセチンが豊富で、がんのほか、動脈硬化の予防、血糖値やコレステロール値の低下が期待できます。
また、ケルセチンを与えたマウスを使った膵臓がんの実験では、がん細胞の増殖が抑えられました。
さらに別の実験では、玉ねぎのオニオンA(ONA)という成分が卵巣がんに対して抗腫瘍効果を示したりと、いろいろなタイプのがんに効果が認められています。

抗がん食材を使ったおすすめレシピ

ブロッコリーとキャベツがたっぷり!
緑の和風ミネストローネ

材料(2人分)
ブロッコリー・・・1/2 株
キャベツ・・・葉小1枚(60g)
塩・・・小さじ1/4
A
∟昆布だし・・・400ml
∟白だし(市販)・・・小さじ2
オリーブオイル・・・大さじ1
粉チーズ・粗びき黒こしょう・・・各少々

作り方
1.ブロッコリーは小さめの小房に分け、茎の部分も適量を厚めに皮をむいて1cm角に切る。キャベツはひと口大に切る。
2.鍋にオリーブオイル、1、塩を入れて中火で全体がしんなりするまで炒め、Aを加えて煮立ったら火を弱め5分ほど煮る。
3.器に盛り、チーズ、黒こしょうをふる。

ワンポイント
ブロッコリーの茎は皮が固いので、厚めにむいたほうが食べやすいです!

本文は『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)より一部抜粋・編集しています。

画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ

2人に1人ががんになる時代。こんな疑問をもつ人も少なくありません。

「がんにならないためには、何を食べたらいいですか?」

ただ、残念ながら、多くの医者はこれらの質問に答えてくれません。医者は患者さんの治療や、自分の専門分野の研究で忙しく、がんと食べ物の関係について勉強する余裕がないのです。

あるいは、食べ物でがんが治ったりするわけがないと考える医者も多く、答えてくれないばかりか、「そんなことを気にする必要はありません」と、小言めいたことを言われる場合もあるでしょう。たしかに、「これを食べれば、がんが消える」といった怪しい情報を流している医者がいるのも事実なのですが、いまは、多くの人ががんのことを気にしています。

私も診察時に、「何を食べたらいいですか?」と聞かれることもあります。そういうときに、「わかりません」とか、「気にしなくて大丈夫ですよ」と返事をするのは、医者として無責任なのではと思っています。というのも、いま、少しずつわかってきているからです。

私は患者さんに聞かれたときや、自分のブログやユーチューブで食事に関する情報を発信するために、6~7年前からがんと食事の関係を積極的に調べるようになりました。

すると、以前にはあまりなかった食事に関する科学的なデータが近年になって急増していることがわかりました。これまでは、食事の研究にお金を出す企業は少なかったのですが、アメリカやヨーロッパを中心に食事が関係していると思われる大腸がんが増えているせいか、食事の研究にも研究費がつくようになっていたのです。

これなら役に立つ情報を発信できると考え、これまでに食事とがんに関する動画を100本以上、ユーチューブで配信しました。今回の本はそれをもとに作られた本です。
毎日続ければ確実にがんのリスクが下がり、健康長寿につながります。ぜひためしてください。

書籍紹介

『がんにも勝てる長生きスープ』(主婦と生活社)
「がん食事本」の決定版!
科学的根拠のある「抗がん食材」を使ったスープレシピ集です。

1000例以上のがん患者を治療した名医が、世界中の医学研究を調べてたどりついた食事術を大公開!

スープをすすめる理由は…
・野菜などのかさが減るので多くの量を食べられる
・栄養素を余すことなくとることができる
・作り置きできるので忙しい人でも続けやすい
・食欲のない人でものどを通りやすい

「抗がん食材」ベスト10と、それを2種類以上使ったスープレシピを68種類掲載。がんになるリスクを確実に減らす、たとえ、がんになっても長生きできるレシピ本です。
ぜひ毎日の食事に取り入れてください。

著者紹介

佐藤 典宏(さとう のりひろ) 
がん専門医、医学博士、外科医(産業医科大学第1外科講師)。
福岡県生まれ。九州大学医学部卒。2001年から米国ジョンズ・ホプキンズ大学医学部に留学し、多くの研究論文を発表。1000例以上の外科手術を経験し、日本外科学会専門医・指導医、がん治療認定医の資格を取得。がんに関する情報を提供するため、YouTube「がん情報チャンネル・外科医 佐藤のりひろ」を開設、登録者12万人(2023年10月時点)。2023年4月、がん患者さんの悩みや質問に個別に答える「がん相談サロン」をスタート。

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