部活やクラブなど、スポーツをしているお子さんを持つお母さんは、「子どものカラダのために、どんな食事を作ってあげたら良いかわからない」という方も多いはず。サッカーの長友佑都選手の専属シェフ・加藤超也さんに、ジュニアアスリートメシを教えていただきます。本連載では、一流アスリート用のレシピに対する考え方はそのままに、読者の皆さんに“お家で簡単に作れるレシピ”を考案。お子さんがもっと活躍すること間違いなしです!
気温も上がり始め、高温の環境でスポーツをすると疲労感も増してきます。疲労が溜まると練習の質が落ち、パフォーマンスも下がるため、アスリートは疲労を蓄積させないようにすることが大切です。
気温が高いから疲れていると思われがちなこれからの季節ですが、実はそれ以外にも原因が隠れていることがあるのです。
血液を構成する赤血球のもとになる「ヘモグロビン」には、酸素を全身の細胞に運ぶ働きがあります。このヘモグロビンを構成しているもののひとつが「鉄」です。鉄が不足すると、血中のヘモグロビン濃度が低下し、酸素が全身に届きにくくなります。
運動量の多いアスリートは一般人よりも多くの酸素が必要です。
不足すると持久性能力が低下して後半でバテやすい、疲れがとれにくい、手足の冷えがある、怪我のリスクか高まるといったことに繋がります。摂取する鉄やその吸収に関わる栄養素が不足しているために起こる貧血の他にも、身体に強い衝撃を受ける選手(ジャンプをしたり走ったりした際の足の裏への衝撃など)は赤血球が衝撃により破壊されやすくなるため、貧血が起こることもあります。
今回のメニューで使用している初がつおには、100gあたり1.9mgの鉄が含まれています。日本人の食事摂取基準(2015年版)では小学生の場合、1日当たり男性8〜9歳で8.0mg、10~11歳で10mg、女性は8〜9歳で8.5mg、10~11歳で10mg(月経がある場合は14mg)の鉄が必要とされています。
しかし、平成29年国民健康・栄養調査によると7〜14歳の鉄摂取量の現状は男性7.0mg、女性6.5mgと基準にはとどいておらず、意識をして摂らないと不足しやすい栄養素であるということがわかります。
また、鉄は吸収されにくい栄養素でもあるため、鉄と同時にビタミンCの多い食品を摂ることや、ヘム鉄といわれる動物性食品に含まれる鉄を摂り、いかに吸収率を上がるかを考慮することもポイントです。今回はレモンを使用したたれを合わせているため、さっぱりと食べられると同時に、ビタミンCが摂れるという栄養面でも相性抜群のメニューです。
他にも、かつおにはオメガ3脂肪酸も含まれています。オメガ3脂肪酸には炎症を抑える働きや血流を促す効果が期待できるといわれています。たんぱく質は肉、卵、大豆、乳製品などさまざまなものから摂ることはできますが、同じたんぱく質量を摂るのであれば、アスリートとしての身体づくりにプラスになる栄養素が同時に摂れるたんぱく質源を選んでみてください。
株式会社Cuore 長友佑都専属シェフ。調理師、アスリートフードマイスター 2級、ケトジェニックダイエットアドバイザー。シンプルな調理法と素材の表現力に魅力を感じ、神奈川県内でイタリア料理を中心に修行を積む。横浜市のイタリア料理店「cucinapinocchio」にてシェフに就任し、「素材の持つパワー、魅力を最大限活かした料理」をテーマに活動。2016年より長友佑都の専属シェフに就任し、トルコと日本を行き来しながら、長友佑都のサポートに従事している。
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