【日常酒飯の「つまみめし」レシピvol.8】「お酒の締めにお米を食べようとすると、お腹がいっぱいで食べられない」。そんな声を聞くことがあります。ならば、お米を食べながら、お酒を楽しむのはどうでしょう?思わずお酒が呑みたくなるようなお米料理。つまり、「つまみ」になる「めし」。名付けて「つまみめし」。お米(ごはん)とお米(日本酒)のペアリングで、楽しい“日常酒飯”の食卓に。お酒の肴になるだけでなく、子どももおいしく食べられる「つまみめし」を、お米ライター柏木智帆がお米のコバナシとともにお届けします。
寒さが日に日に増してきて、炊き込みごはんが恋しくなる季節。しかし、お高い食材もあれば、下ごしらえに手間がかかる食材もあり、炊き込みごはんにハードルを感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、旬のおいしい身近な野菜1つでできる炊き込みごはんをご紹介します。
まずは、薬味として使う機会が多いねぎを炊き込みごはんのメインに。しかし、お米・出汁・調味料・刻みねぎを一緒に炊き込んでみたところ、ぼんやりとした締まらない味になってしまいました。そのため、ねぎだけ後のせしてみることにしました。
まずはお米と出汁と調味料だけを一緒に炊き、炊きあがったら蒸らす前に蓋を開けて刻みねぎをサッと投入してすぐに蓋を閉めます。鍋の中の熱が逃げてしまうので、蓋を開けるのはできるだけ一瞬で。
10分蒸したら蓋を開けて、めし切りをしてごはんと刻みねぎを混ぜ、再度蓋を閉めて2〜3分ほど置いたら完成です。(炊飯器の場合は、お米を冷蔵庫の中で2時間以上浸漬させてから、早炊きモードで炊くことをおすすめします)
私は生のねぎを食べた時、口に残るねぎ臭が苦手なのですが、蒸らすことによって適度にねぎに余熱が通るため、ごはんからねぎの香りが感じられつつも、口に残るねぎ臭がありませんでした。鍋の保温性によっても違うとは思いますが、生のねぎが苦手な人もぜひ挑戦してみてください。
一般的な長ねぎだけでなく、さまざまな品種のねぎで味わいの違いも楽しめます。たとえば、群馬県特産の下仁田ねぎを小口切りにして入れてみたところ、優しい甘さが感じられました。
使うお米は粘りの強い品種がおすすめ。ごはんがねぎと絡んで一体感が生まれます。食事でもお酒の肴でも楽しめる炊き込みごはんです。
厚めの輪切りにして食べやすい大きさに切ったれんこんをお米と調味料と一緒に炊き込むと、ほのかにじゃがいものような香りがして、食感もホクホク。縦切りにすると輪切りよりもサクサク感が増します。こちらのレシピも、お米は粘りの強い品種を選ぶとごはんとれんこんに一体感が生まれます。
れんこんの食感と自然な甘さが楽しめるごはんですが、そのまま食べるとどこかぼんやりとした味わいで飽きやすく、お酒が飲みたいと思えません。そこで、茶碗によそってから山椒の粉をぱらりと振りかけると、味が締まって立派なお酒の肴に早変わり。れんこんと実山椒と一緒に炊いてもおいしそうなので、来年の初夏はこのために実山椒を冷凍しておこうと誓いました。
れんこんを混ぜごはんにしてみるのもおすすめです。薄く油をひいたフライパンで食べやすい大きさに切ったれんこんを焼いて軽く焦げ目をつけたら、炊きたてのごはんに塩と一緒に混ぜ込みます。使う油は主張が強い胡麻油でも、控えめな米油でもお好みで。これも茶碗によそってから粒胡椒をミルでガリガリするひと手間でお酒との相性がぐんと良くなります。
豪華な食材がなくても、旬の野菜が1種類あれば季節感のある炊き込みごはんを手軽に作ることができます。同様に、春や夏も野菜1種類だけのシンプルな炊き込みごはんや混ぜごはんを作って、季節の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。