【体にやさしい「いたわりごはん」 Vol.11】今日はなんだかちょっぴりしんどい……そんな日は、体にやさしいごはんでパワーチャージ! 身近な食材で手軽にできるプチ薬膳メソッドで、体の調子を整えましょう。
7月は蒸し暑い日が続き、台風の発生などで低気圧の影響を受けやすい季節でもあります。低気圧が近づいてくると頭痛が起こる人はいませんか?漢方・薬膳の考えでは、この時期の頭痛は「風湿(ふうしつ)の邪気(じゃき)」が原因と考えます。風湿の邪気とは、文字通り風と湿気が悪さをして頭痛を引き起こす原因となることです。また、この時期は湿気とともに暑さの影響も受けるため、体に余分な湿気や熱が溜まりやすく、それが原因で頭痛が起こることも考えられます。
そのため、この時期に起こる頭痛対策のカギは、体の中に溜まった余分な湿気と熱を取り除くことです。
そこで役立つ食材が「わかめ」です。わかめは薬膳では、胃腸に溜まった湿気を取り除き、余分な熱を冷ます食材として知られています。そのため、蒸し暑い季節の頭痛の対策に役立ちます。その他にも、むくみや消化不良の改善にも効果が期待できますよ。
体内の余分な湿気を排出し、むくみ解消に役立つのはカリウムが豊富に含まれていることも関係しています。カリウムは体内のナトリウムの排出を促す働きがあり、ナトリウムは水分を抱え込む性質があるために余分な水分も一緒に排出してくれます。その他にも、食物繊維や、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを豊富に含みます。
わかめの性質は薬膳で「寒性」といって、体を冷やす食材です。そのため、暑い季節の体温調節に適しています。しかし、冷え性の人はたくさん食べるのは控えましょう。もしくは、冷たい料理ではなく、スープに入れたりごはんと混ぜるなど、温かい料理で取り入れると冷やす作用が緩和されるので良いでしょう。
わかめ同様、きゅうりやチンゲン菜にも体の余分な熱を取る作用があります。また、大豆やとうもろこしには、胃腸の調子を整え余分な湿気を取り除く作用があります。これらとわかめを組み合わせたレシピをご紹介します。
熱を冷ますきゅうり×わかめの組み合わせで酢の物はいかがでしょうか。暑くて食欲がない日でもさっぱりと食べられますね。
わかめと水煮大豆を酒・みりん・しょうゆで味付けて混ぜごはんに。生姜が入っているので、爽やかな香りが食欲をそそります。冷え性の人におすすめのわかめの食べ方です。
熱を冷ます食材のチンゲン菜と、胃腸を整え余分な水分を出してくれるとうもろこしと合わせて中華スープに。スープにすると冷え対策にもなり食べやすいですね。
湿気が多く蒸し暑い季節におすすめな「わかめ」。低気圧が近づく頃に頭痛に悩まされる人は取り入れて対策してみてくださいね。
漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。