cookpad news
コラム

くしゃみ・目の痒みが止まらない…「秋の花粉症」に絶対とるべき食事とは?

【"成功する子"の食事術vol.16】子どもの成長に食事が大切ってことは分かっているけれど、どんなものを作ればいいの?毎日のことだから、悩んでいる親御さんも多いはず。シリーズ累計14万部突破「成功する子は食べ物が9割」の著者・細川モモさんに、20年後に後悔しない子どもの食事術を教えてもらいましょう。

花粉症患者の約15%が秋に自覚症状がある

夏も終わり、だいぶ涼しくなり過ごしやすくなってきましたね。それに伴って、熱が無いのにくしゃみが止まらない・鼻水が出るという方はいませんか?それ、実は風邪ではなく秋の花粉症のせいかもしれません。

春だけでなく、花粉症患者の約15%が秋に症状を訴えているというデータもあります。秋の花粉症の原因になるのは、ブタクサ・ヨモギ・カナムグラなどの花粉。夏の終わり頃から、稲刈りの時期の9〜10月ごろにかけて花粉のピークを迎え、症状が現れます。また、この季節は喘息患者にとっても症状が出やすい季節です。

ところで、秋冬の食材はアレルギー症状の予防・緩和に役立つ食材が多いことをご存知ですか?今回は、「食事でできるアレルギー対策」についてお話ししたいと思います。

不快症状は食事によって悪化する?

私たちの体は日々無数の物質や菌、紫外線などにさらされています。こうした物質が体内に侵入し、悪さをしないように体には免疫機能が備わっているわけですが、呼吸や接触を通して体内に入ってきてしまった物質を追い出す・対処する手段として、くしゃみ、咳、鼻水、痒み、気管収縮などが起こります。

体を守るために必要な反応ですが、「不快症状」とも呼ばれ、これらの症状が続くことは大きなストレスです。このような症状は大なり小なり炎症を伴いますが、鼻詰まりや目の痒み、気道の炎症などに「脂質メディエーター」という物質が関与していることがわかっています。

実はコレ、皆さんが日々の食事からとりいれている脂質を材料に体内で作られるものです。ひとくちに脂質といっても複数種類があり、体内で炎症を悪化させるこの季節控えたい脂質と、逆に炎症を抑えて症状を楽にしてくれる積極的にとりたい脂質があり、脂質の違いを理解することが、季節の体調管理を左右するといっても過言ではないかもしれません。

食事を指数化して病気を予防する時代

「え?食事で症状が変わるの?ほんとうに?」と驚く方も少なくないかもしれません。実は、近年食事の新たな評価法として「Dll:食事性炎症指数」というものがあり、45種類の栄養素や食品の摂取量によって、目の前の食事が炎症を促す食事か、抑える食事かが数値化されるようになりました。実際に、Dll値が高いと血液検査で炎症レベルが高いことが欧米で証明されており、日本人でも同様の結果がみられたことが報告されています(女性は年代によって異なる)。がんや生活習慣病などを予防する手段として期待されています。つまり、食事は深い症状を引き起こす炎症反応に大きく関連しています。

不快症状の予防・緩和におすすめの食材

では、どのような食事が炎症を抑え、症状を楽にしてくれるのでしょうか?この季節、意識してとりたい栄養素と食材を紹介します。

ビタミンD

コロナウイルスですっかり有名になった「サンシャイン•ビタミン(日光を浴びることで生成される)」ですが、炎症物質の血中濃度を低下させる働きがあり、実際に小児のアレルギー性鼻炎患者に25μg(1000IU)/dayを摂取させたところ、重症度が有意に減少したという結果があります※1。ビタミンDは喘息においても同様の報告があり、秋・冬は日照時間の減少により血中濃度が低下していくビタミンですので、そうならないように食事と日光浴でしっかり体内濃度を維持したい栄養素です。

※1: Arch Med Sci. 2018 Jan;14(1):122-131. doi: 10.5114/aoms.2016.61978. Epub 2016 Aug 29.

DHA•EPA(オメガ3脂肪酸)

さまざまな不快症状と炎症を抑える働きがあるのが魚の油であるDHA•EPAです。実際に角膜中の炎症物質を減らすことで花粉症のつらい目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)の症状を軽快させたり※2、アレルギー性鼻炎の改善にも有効性が確認されています※3。生魚(とくに青背の魚)に多く含まれ、煮る•焼くで30%損失、フライにすると酸化して別物になってしまいます。

※2: Hirakata, Toshiaki, et al. "Dietary ω -3 fatty acids alter the lipid mediator profile and alleviate allergic conjunctivitis without modulating Th2 immune responses." The FASEB Journal 33.3 (2019): 3392
※3: 澤根 , 健人「食事性オメガ3脂肪酸によるアレルギー性鼻炎抑制メカニズム」大阪大学大学院 薬学研究科 創成薬学専攻

ミネラル

不快な症状を悪化させてしまう要因に「酸化ストレス」があります。活性酸素が増え過ぎてしまうことでカラダが内側から蝕まれ、不快症状が悪化してしまう可能性があります。体内の活性酸素を減らすSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という物質をつくるのに、亜鉛やマグネシウムといったミネラルが欠かせませんが、どちらも現代人に不足しているミネラルです。

ファイトケミカル(抗酸化物質)

ビタミン・ミネラル以外に活性酸素対策になるものとして、食材の色素や匂いの成分であるファイトケミカル(抗酸化物質)があります。緑茶カテキン、大豆イソフラボン、カカオポリフェノールなど、聞いたことがあると思います。非常に優れた働きがありますが、体内の滞在時間が長くないため、3食+飲みもの+おやつでこまめにとり入れることが血中濃度を高く保つ秘訣です。

乳酸菌

腸は、免疫細胞の7割を抱える「体の攻防」の最前線。栄養をとり込み、病原菌や毒素など有害物質はとり込まないように調整してくれます。腸が炎症を起こすと、栄養吸収を妨げたり、異物が侵入しやすくなってしまいます。そんな腸のコンディションを守る乳酸菌の約7割に、優れた抗炎症作用があることがわかっています。乳酸菌は発酵食品に多く含まれているので、できるだけ毎日発酵食品をとりたいものです。

メイン画像提供:Adobe Stock

イベント案内

11月3日(祝・金)と4日(土)に名古屋の久屋大通りパークで開催される「HAPPY MAMA PARK」にて、0歳6ヶ月から対象の「おやこ保健室」を開催いたします!子どもの栄養状態は身長の伸びや骨の強さ、筋肉量などに影響しますが、足りているかどうか知る機会はあまりありません。そこで0歳6ヶ月から採血不要でチェックできる「おやこ貧血チェック」を経験しませんか(アメリカ小児医学学会が推奨)。小学生以上はプロフェッショナル体組成計で「除脂肪体重」を測ることで身長を+1cm伸ばすのに必要なカロリーをお伝えします。
詳細はこちら▶︎

細川モモさんの著書

「成功する子は食べ物が9割 幼児食」主婦の友社

離乳食期から食べられる「ヨーグルトソフトクッキー」「フォロミきなこもち」などのおやつレシピは「成功する子は食べ物が9割 脳と体がすくすく育つ離乳食レシピ本」に掲載しています。 1歳6ヶ月以降のお子さんには、鍋で練って冷やして固めるだけの「メープルきなこ棒」、ヨーグルトを栄養源に具をアレンジできる「米粉マフィン」などを「成功する子は食べ物が9割 幼児食レシピ本」がオススメ(小学生向けもあります)

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
2009年春に、医師や管理栄養士を中心に13種の医療専門家及び博士/研究者が所属する「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。専門家の知識を分かりやすく提供することで、日本の家庭教育と子どもたちの健康をサポートしようと幅広い活動を展開。さらに、予防医療のなかでも、”母子健康”に注力。課題は深刻だが国のサポートが手薄なため、妊娠前/妊娠中/産後の女性の健康支援を通じて、次世代の健康の底上げに取り組んでいる。生まれてくる赤ちゃんの栄養状態・成長は妊娠前のママの栄養状態に影響されるが、働く女性の栄養状態は近年悪化している。日本の未来を守るためにも、母子栄養を潤す事は必要不可欠と考え、栄養状態の悪い女性を減らすことで不妊症や低出生体重児を予防し、1人でも多く健やかな赤ちゃんが生まれることを願い、走り続けている。
公式サイトはこちら
YouTubeはこちら
facebookはこちら

関連する記事
あの栄養がカギを握る!「子どもの学力を伸ばす食事」でとにかく覚えておくべきこと 2023年11月10日 23:00
慢性的な疲労だけじゃない「夜勤仕事」をする人の体内で起きている変化 2023年10月28日 20:00
50代2児のワーママ「将来が不安、疲れやイライラで辛い」原因と対策は 2023年11月25日 20:00
子育て世帯の25%が◯◯不足!?風邪予防のカギとなる免疫力アップ法とは 2023年11月29日 13:00
そのプロテイン、本当に必要?プロテインが必要な人、必要ではない人 2023年11月08日 20:00
医師が伝授する老化予防。「なぜか若く見える人」は◯◯を食べている! 2023年11月23日 20:00
「お腹が鳴ったから食べる」は肌トラブルの原因!?自律神経を整える食事のタイミングとは 2023年11月27日 20:00
え、ダメなの?痩せたい人が「サウナ」で飲んではいけない意外な飲み物 2023年10月31日 20:00
医師が警告「お酒を飲んで顔が赤くなる人」が持っている思わぬ病気リスク  2023年11月09日 20:00
「ひどい乾燥で体全体が痒い…」カサカサ肌に悩む看護師 おすすめの食べ物とは 2023年12月23日 20:00
低体温の子は感染症にかかりやすい⁉️体温を上げる食事には◯◯が欠かせない 2023年12月23日 13:00
なんと8割の子どもに栄養失調のリスクが!その原因は◯◯不足にあった 2023年11月28日 20:00
53歳女性「昔のことを思い出して落ち込む…」寂しさや憂鬱感、意外な原因が? 2024年01月27日 20:00
冬は子どもの肌がガサガサに……その乾燥肌を生まれ変わらせる4つの栄養素とは? 2024年01月27日 19:00
風邪をひいたらおかゆ…ではなく◯◯を食べる⁉️日本とは違うアメリカの風邪事情を現地レポート 2024年01月26日 20:00
【がん専門医おすすめ】がんリスクを減らすフルーツやおやつとは? 2023年12月27日 20:00
がん専門医に聞いた!がんリスクを減らす「抗がん食材」ベスト3 2023年12月21日 20:00
なかなか痩せない……なら冷蔵庫を見直して!「痩せやすい冷蔵庫」作りのポイントって? 2024年01月13日 19:00
ダイエットに間食はNG……ではない!太りにくい体を作る「戦略的な間食」を医師が伝授 2024年01月10日 19:00
専門家が解説!ヘトヘトに疲れてるのに「なぜか眠れない人」が知っておきたいこと 2024年03月02日 20:00
成長期に◯◯をすることが重要!人生100年時代を支える「骨育」を知っておこう 2024年02月25日 14:00
これって冬バテ⁉︎乾燥や寒い季節の不調を撃退する健康食材5選 2024年02月07日 20:20
朝までぐっすり眠りたい!質のよい睡眠をとる工夫 2024年02月28日 20:00
【医師が教える】老けて見える人、見えない人の「食習慣」の差 2024年01月30日 20:00
「老け見えしない」50代のダイエット術!4カ月でー6kg、更年期症状も改善した方法 2024年02月17日 09:00
辛い喉のイガイガに!はちみつ大根が効果的 2024年03月12日 17:00
この時期つらい花粉症対策に!「れんこん」がおすすめ 2024年03月29日 07:00
え、そうだったんだ…医師が教える「朝一番のコーヒー」のリスク 2024年02月14日 12:00
医師に聞いた!糖尿病を「改善させる食事」と「悪化させる食事」 2024年02月28日 12:00
鼻づまり解消の食品も!花粉症を「予防できる食べ物」と「悪化させる食べ物」を医師が解説 2024年03月05日 10:00
酸化ストレスを減らそう!医師が教える「老化を早める食事」と「老化を防ぐ食事」の違い 2024年03月30日 10:00
ヨーグルトと食べ合わせNGな食べ物とは?管理栄養士に聞いてみた! 2024年03月12日 12:00
「朝起きられない子」は◯◯不足が原因⁉️規則正しい生活に必須の栄養素とは 2024年03月28日 12:00
早めにとりかかろう!花粉症対策 2024年03月06日 20:00
隠れ脂質を見逃すな!脂質の摂りすぎにつながる要注意な食べ物 2024年03月20日 20:00
不調の原因は「春バテ」?対策をして季節の変わり目を乗り切ろう! 2024年03月27日 20:00
“腸のメンテナンス”がカギ!「花粉症」を抑える食事と生活習慣を医師が解説 2024年03月13日 12:00
糖尿病予防、中性脂肪減にも効果的 健康意識の高い医師が「毎日食べている野菜」とは 2024年03月27日 12:00
◯◯をしっかり食べる子はテストの結果が良い!子どもの成績をアップさせる食事法とは? 2024年02月28日 21:00
子どもの能力は15歳までの食べ物で決まる⁉️“脳”の能力アップに必要な5つの栄養素とは 2024年02月29日 20:00
【医師が伝授】ポイントは油!認知症リスクが最大23%下がった○○食事法とは 2024年02月19日 19:00
花粉症がつらいときはこれ飲んで!のどのイガイガにやさしいドリンク 2024年04月12日 07:00
牛乳と食べ合わせNGな食べ物、食べた方がいいものとは?管理栄養士に聞いてみた! 2024年04月09日 12:00
睡眠で変わる!質の良い睡眠で得られるうれしい効果6つ 2024年04月10日 20:00
減塩しても血圧は下がらない?医師が教える「高血圧の改善」に効果的な食べ物 2024年04月24日 12:00
「朝ごはんにパン&コーヒー」はNG⁉️健康に欠かせない◯◯を弱らせてしまう悪い食習慣 2024年04月15日 19:00
「一日三食規則正しくご飯を食べる」は逆にNG!?人生100年時代を元気に長生きするための食習慣とは 2024年03月26日 19:00
毎日食べているアレが老化の原因に⁉️アンチエイジングに欠かせない“副腎”を元気にする食事法とは 2024年04月05日 21:00
寝る直前に水を飲むと心筋梗塞になりやすい⁉️「心臓力」を高めるための食習慣とは 2024年04月20日 20:00
趣味のロードバイク大会を目標に1年で−15.5㎏!50代が実践した、無駄な間食がなくなる「1日4食」の食事術 2024年04月20日 17:00