日本No.1レシピサイト「クックパッド」編集部
―著書の中では200個以上のパンが紹介されていますね。なかでもお気に入りの5つを、教えてください!
1、島根県の「バラパン」(菓子パン)
最近では島根土産としても知られてきたこのパンは、名前も姿もロマンチック!食べる時もわくわくしてしまいます。島根のパン協会が講習会で紹介したことで、地域に根づいたパンとなったそうですが、今ではこの形は全国に。
2、高知県にある永野旭堂本店の「ぼうしパン」(菓子パン)
元祖は高知県の永野旭堂本店によりますが、今は高知県のいろいろなパン屋さんが作っています。アンテナショップでも販売しているので、東京で購入することもできますよ。食べる時はいつも、お皿の代わりに白い紙を敷いて、顔を描いて楽しみながら食べています。名前もかわいらしく、物語性がありますよね。
3、東京都にあるリバティの「うさぎパン」(クリームパン)
パンが好きになったきっかけは、絵本『からすのパンやさん』。その影響で幼い頃から動物パンが大好きなんです。なかでも、このなんとも言えない表情のうさぎパンがお気に入り。谷中銀座の近くにあり、多くの人に愛されているリバティのパンです。このパン食べたさに谷中へ足を運ぶようになりました。
4、宮城県にある笠屋菓子店の「こけし味噌パン」(菓子)
日本ではパンとお菓子は親戚のような関係。菓子パンというものは日本独自のもので、お菓子のようなパンもあれば、パンのようなお菓子もあるんです。そこでパンという名のお菓子を代表して私が好きなものがこちら。震災の津波の被害によって、あたり一面流されてしまい、ぽつんと建ち続けているこのお店で、今もなお作られています。素朴で美味しく表情も愛おしい、大好きなパンという名のお菓子です。
5、静岡県の丸二製菓こんがりあんの「キリンちゃん」
まさに私の地元、静岡のパン!静岡県民にとっては、同じくキリンの絵の「のっぽパン」のほうが馴染み深くはあるのですが、誕生としてはこの「キリンちゃん」がお姉さん。どちらが後先ということではなく、「静岡にきたら食べてね」と、ぜひおすすめしたい静岡の味です。」
―地元パン採集を続けていくにあたって、今後行ってみたい所はどこですか?
「島根県ですね。友人に「島根には法事パンというのがあるんだよ」とお土産にもらって、本でもほんの少しですが紹介しているんです。なので改めて、法事パン巡りに出かけたいと思っています!
それから近々、新潟へ「サンドパン」「夜行パン」を巡る旅もする予定です。」
―その土地だからこそ生まれた地元パンを見つける旅、おもしろそうです。
「この地元パン採集の旅は、まだまだ続きます。これからも、自分の舌と目と足で、各地に存在する地元パンに出会っていきたいですね。そこには今あるものだけでなく「かつてあった」というものも多いはずなので、さらにそこまで探求していきたいと思っています。もちろん、今日生まれた町のパンが、いつか「地元パン」になる可能性もあると思っています。」
レトロでどこかかわいい見た目はもちろんですが、パンとしての奥深い魅力を知れば、もっともっと知りたくなる地元パン。みなさんの周りにはどのようなものがあるでしょう?
地元パンを探す旅をはじめれば、素敵なパンに初めて出会うことはもちろん、知っているようで知らなかったそのパンが持つ魅力に出会えます。作り手の愛に溢れたパンの一面を知ることで、新たな世界が広がるかもしれません。ぜひみなさんも、あなたの町の地元パンを探してみてはいかがでしょうか?
「地元パン手帖」
甲斐みのり 著/(グラフィック社)
東から西へ移動中。
食べることは、人と街を知ること。
日々、ぐるぐる探検中。
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