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コラム

在宅勤務中の「おやつ問題」。子どもたちが自分で作ってみたら…?【おいしい思い出 vol.18】

クックパッド初代編集長であり、自他共に認める料理好き・小竹貴子のエッセイ連載。誰にでもある小さな料理の思い出たちを紹介していきます。日常の何でもないひとコマが、いつか忘れられない記憶となる。毎日の料理が楽しくなる、ほっこりエピソードをどうぞ♪

子どもたちのおやつまで作るのは大変!

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、私の勤めるクックパッドでは全社員在宅勤務になり、はや2ヶ月経ちました。会社での仕事から家での仕事にかわり、仕事に関してはありがたいことにほどよく忙しく、ようやく自分なりのリズムはとれてきました。
ただその後3月に入り、子どもたちが通う小学校も休校になってしまいました。もともと家事が得意ではない私なので、掃除や洗濯、なにより家族のごはんづくりのリズムはまだまだ不規則、まだまだ試行錯誤でドタバタと毎日を過ごしています。

我が家の小学校2年生、6年生の娘たちはまさに遊びざかり食べざかり。朝ごはんが終わり後片付けして、さくっと仕事をしてたら、もう昼ごはん。そして仕事終わってまた晩ごはん。ふと気がつくと、常にキッチンに立っているような気分です。さらに何より大変なのは、おやつ。
本当は家にいるのだから一緒にクッキーなど手作りお菓子など作って一緒に過ごす…なんてできればいいのですが、日々のごはんだけでいっぱいいっぱい。平日はそんな余裕もなかなかとれません。週末くらいかな、一緒におやつ作りができるのは。となると、いつもと変わらないんですよね。

3時になると、ふたりそろっておなかすいたーと大合唱して大騒ぎ。先日は、おやつの時間にたまたまオンラインで社内の同僚と打ち合わせをしていたら、大きな紙に「ママ、おなかすいた」とかわいくお花などのイラストつきで書いてきて、私だけではなく画面越しの相手にもアピールしてきました。
そのときに迂闊にも大笑いしてしまったせいか、味をしめたらしくそれから日々ほんとおもしろおかしいことばかりしてくれる娘たちにすっかり翻弄されています。

子どもたちが自分でおやつを作り始めたら…

ただ、最近少しずつ変化がみられたのです。あらゆるネタを仕込んでも、彼女達いわく’塩対応”つまり超適当にしか相手にしないお母さんに飽きてきた、いや諦めたようで、最近は娘ふたりでおやつを用意するようになってきました

まずブームになったのは、ホットケーキミックスを使ったパンケーキ作り。どうしたらもちもちフワフワするのか、YouTube、Tik tok、そしてクックパッドを見ながらあれこれ試行錯誤。試してみた食材は、マヨネーズ、ヨーグルト、生クリームなどなど…。頑張って作った不思議なパンケーキは、私のところにも強制配布されます。形は大体微妙ですが、おいしかったり、恐ろしく甘かったり。味は食べるまでわからない怖さがあります

味が微妙なときは、作った本人たちがその微妙さをわかっているだけに、次頑張ってと励ますコメントを。おいしいときは、わざとらしいというくらい笑顔でおいしいとコメントを。最後には絹ごし豆腐を入れるレシピに落ち着いて、そのパンケーキは数日連続でおやつに登場しました(涙)。頑張って褒めすぎました。

そしていまのブームはなにかというと、きゅうりを割り箸にさして食べるだけというシンプルなもの。長女が言うには、これだと洗いものしてないとか、フライパンをきれいに洗っていないとかガミガミとママから怒られないし、なんとなく体にもよさそうだし、味噌とかマヨネーズとかトッピングすれば結構おいしいし楽しいからと。

先日は、きゅうりとちくわを交互に割り箸にさして、「ちくわきゅうりウマー」と言いながらニコニコふたりでソファーに座って食べていました。まだしばらくこのブームは続きそうです。おやつたくさん食べるよりいいかと思って、静かに見守っておこうと思います。何より楽しくお料理して食べている間は、私は仕事に集中できるのですから。

まだまだ在宅期間は長く続きそうですし、これを機会に程よく母親にはあきらめをつけてもらい、自分でおやつくらい頑張って作るくらいの根性を身につけてもらえたらとひっそり思っています。無理かな…。

小竹貴子

クックパッド株式会社ブランディング・編集部担当本部長。1972年、石川県金沢市生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオを経て、2004年に有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。編集部門長を経て執行役に就任し、2009年に『日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010』を受賞。2012年、同社退社。2016年4月から再びクックパッド株式会社に復帰、現職。現在、ForbesJAPANにて『それ、「食」で解決できます!』を連載中。また、フードエディターとして個人でも活動を行っている。

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