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コラム

運動がもたらす血糖値へのいい効果!

血糖値のコントロールが必要な方にとって、食事は血糖値コントロールの基本になります。食事の回数を1年間に換算すると、1日3回×365日で合計1095回にもなります。毎日のちょっとした心がけ・意識づけがとても大切です。さらに、運動を併せて行うことで、血糖値のコントロールをより効果的にしてくれます。運動の効果はダイエットや血糖値のコントロールだけではなく、日々のパフォーマンスアップも期待できます。

今頑張っている食事の取組みの効果を高めたい方、食事はもちろんだけど運動も頑張ってみたい方、食事だけではあまり効果を感じられない方など。今回は、血糖値が気になる方だけではなく、糖尿病予備軍、糖尿病を患っている方にも役に立つ、運動がもたらす血糖値への良い効果をご紹介します。

運動がもたらす4つの良い効果

1.食後の急激な血糖値の上昇を緩やかにしてくれる

運動をすると筋肉は大量のエネルギーを必要とします。その際に、筋肉のエネルギー源である糖(ブドウ糖)が消費され、結果的に血糖値を下げる働きがあります。 食後の急激な血糖値の上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれますが、血管にダメージを与え、動脈硬化や糖尿病の合併症を進めやすくすると言われています。食後高血糖の対策として、空腹時ではなく、食後1~2時間の間の血糖値が上がりやすい時間帯に運動を行うことが勧められています。

2.インスリンの効きを良くしてくれる

血糖値はインスリンというホルモンの働きにより下がります。血糖値が高い方の中で、特に肥満のある方は、インスリンが正常に分泌されているにも関わらず、インスリンの効きが悪く、血糖値が下がりにくい状態になっていることがあります。原因のひとつとして、内臓脂肪から分泌されるアディポネクチンという物質の分泌が低下があります。高カロリー食や運動不足で内臓脂肪が蓄積すると、アディポネクチンの分泌が低下し、インスリンの効きを悪くしてしまうと言われています。
運動を行うことで内臓脂肪が燃焼すると、アディポネクチンの分泌が改善するため、インスリンの効きがよくなり血糖値の改善に役立つようになります。

3.筋肉量がアップする

継続的な運動で、筋肉量アップ効果が期待できます。筋肉量が増えることで、「①基礎代謝が増える②血糖の処理能力が改善する」と言われているので、血糖値の改善に役立ちます。有酸素運動と併せて、筋力トレーニングを行うのも効果的です。トレーニング以外にも、立つときの姿勢をよくしたり、立っているときに踵を上げ下げしたり、座っているときにお腹に力を入れて足を浮かせたり、など日常生活の中でも筋力アップするように意識すると良いですよ。

4.パフォーマンスアップ効果

運動により、脳への血流量が増えると、集中力がアップしたり、幸せホルモンであるセロトニンの分泌を促されます。さらには、記憶力がアップしたという研究報告(※1)もあります。仕事の質や、睡眠の質をあげてくれる効果が期待できそうです。運動をすることで、ダイエットや血糖値改善だけではなく、日々の生活を充実させてくれる手助けをしてくれるのはうれしいですよね。
また、簡単なストレッチでも、リラックス効果が生まれることが明らかになっており、特に就寝前に行うことで睡眠の質を上げてくれる効果もあります。直接的なダイエット・血糖改善効果は期待できないのですが、リラックスしてぐっすり眠ることで翌日のパフォーマンスアップに役立ってくれるでしょう。運動が難しい日でも、カラダを動かす意識づけが大切ですよ。

運動の取り入れ方

運動量・時間の目安

日本糖尿病学会による糖尿病治療ガイドでは、運動の目安として、 「できれば毎日、少なくとも週に3~5回、強度が中等度の有酸素運動を20~60分間行い、計150分以上運動することが一般的には勧められる」とされています。 中等度の有酸素運動とは、体感で「楽である」「ややきつい」という程度なので、軽いジョギングやウォーキング(速歩)、サイクリングなどの運動が良いでしょう。 治療ガイドでは1回あたり20~60分間の運動が勧められていますが、厚生労働省の身体づくりのための身体活動基準2013では、運動時間は継続していなくても、ごく短い時間の積み重ねでよいので個人のライフスタイルに併せて取り組むことが望ましいともされています。(※2) ご自分に合った運動の取り入れ方を探してみましょう。

例えば、まずは自分の平均歩数を知り、少しでも増やすことから意識すると良いですよ。
あすけんアプリを使うと歩数の管理が簡単にできますので、試してみてくださいね。 ▼Android
▼iPhone

運動を行う前に

糖尿病治療中の方は、運動が場合によっては逆効果になることがあるので注意が必要となります。運動を始める前に、必ずかかりつけの主治医の指導を受けてから始めるようにしてください。なんらかの異常や体調不良を感じた場合は、すぐにかかりつけの主治医にご相談ください。 服薬中の方は、低血糖を起こす可能性がある空腹時の運動は避けるようにしましょう。低血糖時に備え、運動中はスティックシュガーやブドウ糖 ・ショ糖を多く含む飲みものなどを必ず携帯するようにしましょう。

運動を継続するコツは、目標を高く持ちすぎないこと。歩数が少ない方は、まずは、「プラス1000~2000歩を目指してみる」「一駅分歩いてみる」「車→自転車通勤にしてみる」など、ご自身の中で続けやすい運動を見つけてみてくださいね。習慣化する頃には、きっと運動が楽しくなっていますよ。

その日の体調に合わせて、決して無理をしないようにしてくださいね。

【参考・参照】 ・厚生労働省 eヘルスネット<https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/> ・日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2018-2019
(※1)国立大学法人 筑波大学 征矢英昭 短時間の軽運動で記憶力が高まる!~ヒトの海馬の記憶システムが活性化されることを初めて報告~
<https://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/180926soya-1.pdf>
(※2)厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準2013<https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf>(最終閲覧日:2019/09/04)

【執筆者:管理栄養士 衞藤 敬子】
コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。

※本記事は、AI食事管理アプリ『あすけん』の「ダイエットの知識」コラムからの転載記事です。

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