10月31日まで、イタリア・ミラノで開催されている「ミラノ万博」。近年の和食人気もあり、日本館は連日行列ができるほどの人気となっています。
万博開幕直後の5月、日本館のイベントゲストとして呼ばれた一般社団法人おにぎり協会は、日本が誇る和食のルーツ「おにぎり」の魅力を伝えに、ミラノへとわたりました。
現地でまず驚いたのは「おにぎり」という言葉がすでに知られていること。ミラノの中心部には、サーモンおにぎりやマグロタルタルおにぎりなどを出す店があり、昼夜を問わず繁盛している様子。また、「おにぎりを実際に食べたことはないが、日本のアニメで見たことがある」という人も多く、おにぎりは寿司、天ぷら、ラーメンに続く、日本食の代表として受け入れてもらえそうな予感…!とはいえ一体、どんな具のおにぎりなら受け入れられるのか? 手探りのまま、おにぎり協会はミラノ万博のステージへと向かいます。
万博のステージでは、東京一古いおにぎり専門店の職人によるデモンストレーション、来場者によるおにぎりの “握り体験”をしてもらったあと、試食でおにぎりの味を楽しんでもらいました。試食用に用意したおにぎりは3つ。「和牛そぼろおにぎり」、「醤油焼きおにぎり」、そして「梅干しおにぎり」です。
「Buono!(おいしい!)」「また食べたいからお代わりもらってもいい?」どのおにぎりも大人気!あっという間になくなるので、調理場は一日中、大騒ぎ。日本のソウルフード「おにぎり」は、外国人の舌にもあうことが証明できました。
イタリアでは、リゾットなどを食べるので米食に対して抵抗がないのも人気の理由かもしれません(イタリアのナポリ地方では、アランチーニと呼ばれるライスコロッケも人気です)。
実際に食べてもらい、意外だったのは「梅干し」の人気。日本でも苦手な人が多い梅干しは、海外ではなかなか受け入れられないのではと考えていました。ところがピクルスをいつも食べているイタリア人には問題無し。梅干しもピクルスも酸味の強い常備菜。国は遠く離れていても食に共通点を見つけることができました。また「(ベジタリアンなので)寿司は食べられないけど、梅干しおにぎりなら食べられる」という人がいたのも印象的でした。
イベントを通じて気がついたことがあります。それは、日本人にとっての「おにぎり」とイタリア人にとっての「パニーニ」が、どちらも日常的に食べている「おふくろの味」だということ。それに、家庭ごとに少しずつ味や具材、形や大きさが違い、気軽に持ち歩いて食べることができるところも、「おにぎり」と「パニーニ」の共通点といえるのではないでしょうか。
ママンの味が大好きなイタリア人は、日本の「おふくろの味」にも興味津々!おにぎりを握る体験をしたイタリアのママンは「和食は店で食べるものだと思っていたけれど、自分でつくることができたわ!」と大喜び。イタリアの食卓に「おにぎり」が並ぶ日も近いかもしれませんね。
世界的に寿司や天ぷらなどと比べ認知度が低い「おにぎり」を、世界中の人々に味わっていただき、日本の実質的な食文化を理解してもらうべく活動中。おにぎりの魅力を国内外に発信するキッチンとしてクックパッドにレシピ紹介中。