“クックパッド芸人”を自称し、自らのキッチンに1000品以上のレシピを掲載している「藤井21」さん。1人(ソロ)で作って1人で食べるという「ソロ飯」を日々楽しんでいるそう。藤井21さん自作のおすすめレシピと、悲喜こもごものエピソードをご紹介します。第1回のテーマは「おつまみ」。藤井21さんとおつまみは切っても切れない関係だとか。詳しくお聞きしてみましょう!
「藤井さんて、なんかいつも1人でおつまみ作ってお酒飲んで楽しそうですよね!」
この企画の初回打ち合わせで担当の方から言われた一言は、初対面にも関わらず私という人間の核心を突いていた。 1人でおつまみを作って1人でお酒を飲んで楽しむ、これが私の全てと言っても過言ではない。そしてこれが実に楽しい。
帰宅から晩酌までは滞りなく進めなければならない。
ビールを冷やす、グラスを冷凍庫へ、風呂に入る、風呂からあがっておつまみを用意
。おつまみは旬の食材かなんぞあるとテンションが上がる。比較的簡単に出来るもので良い。30分以内が理想だ。
おつまみが用意できたら、いよいよ始める。
グラスにビールを注いで1杯目は一気に飲み干す。
「これだよ、この為に今日も生きている」
ほぼ毎晩繰り返される恒例行事。昔流行った歌にこんなフレーズがあった。
『育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ』(※)
私の実家は三代続く小売酒屋を営んでいる。
両親ともにお酒を飲む人で、当たり前のように毎晩晩酌をする家庭だった。
それが育ってきた環境。
酒飲みにとってはこの上なく最良の環境だろう、まさに売るほど酒があるのだから。毎晩両親が晩酌をするのを見ていて、当然のように酒好きに育った。そして一人暮らしを始めてからも当たり前のように毎日1人で晩酌をするようになった。
先ほどの歌のフレーズで言うなら私の場合はこうだ。
『つまりは単純に“酒”のこと好きなのさ』
酒飲みの中には、おつまみも食べずにひたすら酒だけ飲むタイプの人間がいる。 確かにテーブルの上に何品もおつまみを並べて、あれこれバクバクつまみ食べながら飲むのは粋じゃない。
黙って酒をクイと飲み干し、たまに塩を一舐めする。大人の男の酒はこうでないと。なんだか格好良いし絵になるじゃないか。そんな大人のダンディズムの極地の飲み方をしたい。
さて件の私はと言うと…何品もおつまみを並べてバクバク食べながら飲む。大人の男の格好良さはかけらもない。ただそれが、実に楽しいのだ。
全くなんて節操がないんだ。和洋中入り乱れで、あれもこれもと作ってテーブル狭しと並べる。でも、こっちをつまんでは酒を飲み、あっちをつまんでは酒を飲むのが楽しい。
あれもこれもと作ったからこそ冷蔵庫で余りがちな白菜も一度に使い切れるし、いろんなものをちょっとずつ味わえるし、調理時間もトータルで30分くらい。
本当にめんどくさいときなんかは一品集中型にしても良いのだが、何品も作るともう一つ良いことがある。
「あれ? この白菜とえのきのペペロンチーノってバゲットに乗せても良いんじゃないか? …ということは、お酒はワインだな! あ、オイスターバター炒めの方もバゲットに合いそう!! 白菜の漬物の方は粗挽きのベッパーをかけたら…これもありだな!! こりゃ忙しくなってきたぞ」
これが楽しい。
あゝ今宵もまた独り酒が捗る。
きっとまた言われるに違いない。
「1人でおつまみ作ってお酒飲んで楽しそうですね」
※『セロリ』(作詞・作曲: 山崎将義)より引用
料理と笑いで天下を目指す男性ピン芸人。
埼玉県東松山市出身。東松山のやきとりを愛し、東松山市親善大使「東松山市應援團」の一員。食品衛生責任者の資格を持ち、クックパッドには1000以上のレシピをアップしている。日本テレビ系列『ウチのガヤがすみません!』などに出演。
>>オフィシャルブログ「良い香りのある生活」