日本には昔から行われてきたさまざまな習わしや行事があります。子どもにも伝えていきたいですよね。親子で語る季節のお便りシリーズ、8月はお盆についてお届けします。ぜひ、お子さんに読み聞かせしてあげてください。
夏祭りの季節だね。たくさん練習したから、盆踊りも楽しみだね。盆踊りの盆ってどういう意味だか知ってる?
そう、お盆のことだね。お盆は亡くなったひとたち、つまりご先祖様のたましいがおうちにやってくる行事なんだ。
ご先祖様は子孫のみんなが元気でやっているのかなあって見に来るから、おもてなししなくちゃね。
お盆は昔のカレンダーだと7月、今は8月にするところが多いんだ。
13日は朝に盆棚(ぼんだな)を用意して、夕方には迎え火といっておがら(麻の茎)を炊いて、ご先祖様をお迎えするよ。
盆棚の中に、なすやきゅうりに足をつけたものがあるでしょ。これはご先祖様がこの世とあの世を行き来するための乗り物なんだ。きゅうりは馬で、少しでも早く来てもらうためのもの。なすは牛で、なるべくゆっくり帰ってほしいという気持ちを込めたものなんだよ。
そしておもてなしをしたあとは15日の夕方か16日の朝に送り火を炊いて、ご先祖様があの世に帰っていくのをお見送りする。
盆踊りも、ご先祖様へのおもてなしのひとつなんだよ。
お盆の正式名称は、盂蘭盆会(うらぼんえ)といい、釈迦の弟子である目連(もくれん)が地獄で苦しむ母を救うため、釈迦の教えに従って7月15日に供養したことが始まりとされています。
日本ではお正月と並ぶ、季節の大切な節目。今回紹介した盆棚や迎え火にしても、地方によってさまざまな風習やしきたりがあります。そのおうちならではのやり方を子どもに伝えることで、家族の大切な絆も受け継がれていくことでしょう。また、お盆という行事を通して、昔の人を敬う気持ちを育てていきたいですね。(TEXT:松崎祐子)