あなたは、夏は暑いから水出し、冬は寒いからお湯出しというように、普段は気温によって緑茶をお湯出しするか水出しするかを決めるのではないでしょうか。しかし、お湯だしと水出しでは、体への効果が異なります。今日は、自分の体に合わせた緑茶の出し方をお教えしますよ!
緑茶には「カテキン」と呼ばれる苦い成分が含まれています。カテキンにはいくつか種類があり、お湯出しをすると「エピガロカテキンガレート(EGCG)」と呼ばれるカテキンが多く抽出されます。EGCGは、一部のがん細胞に作用して、増殖を抑える働きがあることが分かっています。がんは多くの人がかかりうる病気ですので、日頃からお湯出しの緑茶を飲んでがん増殖を抑える物質を取っていると、がんの予防につながるかもしれません。
EGCGはがん細胞には効果的ですが、同時に、体の中で働いてくれる別の細胞の働きも抑えます。その細胞は「マクロファージ」と呼ばれるもので、体に有害な細菌などが侵入したときに食べて殺してくれる細胞です。緑茶を水出しをすると、EGCGがほとんど抽出されず、「エピガロカテキン(EGC)」と呼ばれる別のカテキンが多く抽出されます。このEGCはマクロファージの働きを強め、免疫力を高めてくれると言われています。風邪を引いたときなどには、水出しの緑茶を飲んで、体の中の細菌をマクロファージに食べてもらいましょう!
このように、緑茶の作り方によって緑茶の成分が変わってきます。単に、熱い・冷たいというだけではなく、ぜひ体の調子を考えながら緑茶を作ってみてください♪
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。