今年は「おうちバレンタイン」をテーマにした特集をクックパッドニュースがお届け! 今回はチャンネル登録者数約200万人の、大人気YouTubeチャンネル「Chocolate Cacao チョコレートカカオ」のSEIJIN(せーじん)さんにインタビュー。SEIJINさんのチョコレートスイーツは、見た目だけではなく作る工程も美しく、動画を見始めるとつい時間を忘れてしまうほど。そんなSEIJINさんに、2021年のバレンタインチョコレートのトレンドや、今年のバレンタインにおすすめの手作りレシピについて聞きました。
――SEIJINさんのYouTubeチャンネルを見ていると、その完成度に驚かされるのですが、ショコラティエやパティシエの経験はないということを聞き、さらに驚きました!
見映えよく見えているのは、きっと撮影技術ですね(笑)。パティシエやショコラティエの経験はないのですが、高校卒業後に1年間調理師専門学校に通いました。そこでは西洋料理を専攻していました。
――西洋料理を学んだSEIJINさんが、「Chocolate Cacao チョコレートカカオ」をスタートしたのはどのような経緯からですか?
調理師専門学校を卒業したのですが、その後はファミレスのアルバイト、プロボクサー、デザイナーといろいろな職業に就きました。デザイン制作の仕事では広告やPOP作成をするときにカメラを担当することもあり、その延長で動画の知識もつけてYouTubeに投稿をはじめたのがきっかけです。
――チョコレートをテーマにしたチャンネルということで、やはりチョコレートには特別な思いがあるのでしょうか?
プロボクサー時代、質量が軽くカロリーの高い板チョコうまく使ってウェイトを落としていたんです。試合前の減量は本当に辛いのですが、練習前にチョコレートを食べると体が辛うじて動くんです。もし、チョコレートがなかったら、私のボクシング人生は成り立っていなかったかもしれません。そんなこともあり、チョコレートには以前から思い入れがある食べ物だったんです。
また、明治主催のチョコレート検定を受けたのですが、その時にチョコの深い知識を身に付けることができました。そのときの知識は、今の動画作成にすごく役立っています。
――そろそろバレンタインの季節ですが、今年初めて手作りチョコレートに挑戦するという方に、SEIJINさんのレシピの中からおすすめできるレシピを教えてください。
「四つ葉のクローバー抹茶生チョコ」は、電子レンジで簡単に作れるバレンタインチョコです。材料とラッピングはスーパーや100均で揃えることができるので、初めて手作りをするという方には挑戦しやすいレシピだと思います。
このレシピは、動画を投稿した際にも作りましたというコメントが多く届きました。
もう一つは、「簡単チョコムース」です。これは、水と板チョコ、2つの材料で作れるので本当にすぐに作れちゃいます。普段は動画を見ているだけという方から、「初めて挑戦したレシピです」とコメントが届いていたレシピです。
この他には、チョコの温度管理の失敗が少ないガトーショコラやブラウニーといった生地にチョコを練り込んだスイーツがおすすめです。
――簡単なのに、すごくおいしそうですね! では逆に、お菓子作りに慣れている方にぜひチャレジしてもらいたいレシピはありますか?
「コーヒーキャラメル生チョコ」は、その名の通りコーヒーとキャラメルを合わせた深い味わいの生チョコです。生チョコって、見た目的にも難しそうな気がすると思うのですが、これはお菓子を作り慣れている方なら難しくないと思います。でも、手作りとしてもらったら、レベルが高いですよね。
――今年は例年のようなバレンタインの催事開催が難しい状況ですが、SEIJINさん的今年のバレンタインのトレンドはありますか?
今年に限らずですが、ボンボンショコラはずっと人気があります。
また、ここ数年はカカオ豆の産地やカカオ豆の品種にこだわるブランドが増えたと思います。例えば、ベトナム産カカオ豆を使ったチョコはフルーティーで酸味があるとか、ベネズエラ産はバランスが良いなど、うんちくを楽しむ事もできます。実はあまり知られていませんが、小笠原諸島で栽培されたカカオから作られた東京産のチョコレートもあるんですよ。
――東京産のチョコレート! ぜひいただいてみたいですね。また、ステイホームで手作りチョコをおうちで楽しむ需要も増えるのではないかと思うのですが、手作りチョコにもトレンドがあったりしますか?
手作りに関して言えば、その年によってトレンドというのはないと思います。ただ、近年になるほど、さきほどおすすめしたようなオーブンを使わないレシピや電子レンジだけで作れるレシピ、簡単だけど見映えがするレシピたちの人気が高まっていますね。手作りの場合は、トレンドというよりも、作りやすさという点が重視されるのではないでしょうか。
――このような状況だからこそ、ご紹介いただいたような手作りのチョコレートを楽しみたいという方も多いと思います。SEIJIN さんが思う、手作りの良さとは?
やはり手作りはいいですよね。作るのも楽しいし、貰う方もうれしいじゃないですか。「自分のために作ってくれた」と思いながら食べるものは、やはりおいしく感じるものです。それに、日本には、「いただきます」や「ごちそうさまでした」という、食べ物や作り手に感謝を伝える文化があるので、より手作りに対しての思いが強いのかもしれませんね。
――日々、いろいろなチョコレートスイーツを作られているSEIJINさんが、手作りをする際に気をつけたほうがいいと思うポイントを教えてください。
チョコレートスイーツを作る際に最も難しいのはテンパリングです。最初は失敗して当たり前くらいの気持ちでチャレンジしてみてください。特に、冬の時期は溶かしたチョコが冷めやすく保温が難しいので、少しモタつくと固まってしまい、また溶かしての繰り返しになります。そうすると、ブルーム(白い粉を吹いたような現象)も出やすくなるので気をつけてください。
そのなかでも、溶かしてすぐにコーティングして、全部使い切るようなものでしたらまだ扱いやすいかもしれません。
――材料となるチョコレートにもたくさん種類がありますが、おすすめはありますか?
コーティングするのに使うなら、クーヴェルチュールチョコやパータグラッセがおすすめです。市販の板チョコとクーヴェルチュールチョコでは、ココアバターの含有量の違いから、溶かした時にチョコの硬さが異なりコーティングのしやすさが変わるんです。
クーヴェルチュールチョコは値段が高くなってしまうのですが、私のおすすめは、「ヴァローナ」と「バリー・カレボー」のものです。扱いやすく、味もすごくおいしいうえに、テンパリングの成功率が高い気がします。
生チョコや生地に練り込むのなら、板チョコでも良いかもしれません。板チョコなら明治ミルクチョコ・ブラックチョコが値段も手ごろで、コンビニでも手に入るのでおすすめです。
――もし、板チョコで薄くコーティングしたいときの裏ワザなどがあれば知りたいのですが…。
コーティングするチョコの場合、食べやすく、口当たりと口溶けがよくなるのでコーティングは薄い方がいいのですが、市販の板チョコだと厚くなってしまいがちなんです。
板チョコでコーティングをしたい場合は、サラダ油を使う方法などもあります。板チョコ1枚50gほどにサラダ油5g。10:1で混ぜると流動性が高くなり、テンパリングも失敗しにくくなるので、試す価値はあります。
――チャンネルではチョコレートといろいろな食材を組み合わせていますが、とくに相性が良いと思う食材はなんですか?
一番はタルトやクッキー系のものですね。みなさんが意外に思われるものだと、イチゴやシャインマスカットなど、みずみずしいフルーツとチョコレートは相性がものすごく良いです。なかでも「イチゴと生チョコのタルトケーキ」は、その出来映えのよさに自分でもびっくりしました。チョコレートの濃厚さと、イチゴの果汁の爽やかが絶妙だったんです。
――チョコレートについて、たくさんお話いただきありがとうございました! 最後に、バレンタインに手作りチョコに挑戦しようと思っている読者のみなさんに、アドバイスをお願いします。
気になるチョコスイーツがあれば、一発本番ではなくまず一度試作をしてみてください。スイーツって、実際に作ってみると思っていたのと違ったという仕上がりになることが多いのです。なので、あらかじめ余裕をもって、少量でも一度作って自分で食べてみる事が大切だと思います。
そこで、おいしくできるか、どこで失敗しやすいのか、少しアレンジできないか、足りない器具は無いか、どのようにラッピングすれば良いか…ということがわかって、手作りするうえでの要領を得る事ができます。
また、オーブンで焼くものは、機種によって実温度が違ったりするので、直前にバタバタするよりは事前に自分なりの試作をする事で、心に余裕をもって手作りの本番が迎えられると思います。
(TEXT:上原かほり)
YouTuber。チャンネル登録者数約200万人の人気チャンネル、「Chocolate Cacao チョコレートカカオ」でチョコレートなどのスイーツの動画を日々投稿している。著書に『世界一ていねいに教える! チョコレートスイーツBOOK』がある。
YouTubeチャンネル:Chocolate Cacao チョコレートカカオ
Instagram:@chocolate_cacao_seijin
Twitter:@chocolateSeijin
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