美食の国・フランス。スイーツも豊富で、日本でも人気のマカロンやシュークリーム、カヌレなどはフランスで生まれたお菓子というのは有名ですよね。そんなフランス菓子から今回は、フランスの国民的お菓子といわれている「フラン」をご紹介。実はこのフラン、スイーツファンからティラミスやタピオカのような人気を集めるかもしれないと密かに注目されている今話題のスイーツなんです!
日本人が「フラン」と聞くと、あの細長いチョコレート菓子を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。今回紹介するフランス菓子の「フラン」は、そのフランとはまったくの別ものです。プリンタルトのような味わいで、見た目はとってもシンプル。表面がちょっぴり焦げているのが特徴です。
タルト生地にカスタードクリームを流し入れ、それをオーブンで焼いて作るので、出来立てはクリームがしっとりしていますが、冷やすとぷるぷるでプリンのような食感になります。甘さは控えめ、だけど濃厚!フランスのパティスリーには必ずといってもいいほど置いてあるポピュラーなお菓子です。
今やフランスで定番のお菓子となっている「フラン」ですが、その始まりはいつからなのでしょうか。
その歴史は、ローマ時代まで遡ります。2019年出版の「「Flan Gourmands(フラン・グルマン)」(著・ステファン・グラシエシェフ(MOF))によると、ローマ時代の料理本「Apicius(アピシウス)」に「TIROPTINAM(ティロパティナム)」という今のフランに近いレシピが紹介されており、そこには「牛乳に卵とはちみつを加え、混ぜながら加熱し、炊き上がったら胡椒をふって仕上げる。」という記述があるといいます。その当時、卵やはちみつは高級な食材で、フランは庶民の手にはなかなか手に入らないお菓子だったと考えられています。
それがその後、姿や形を変え、中世には「Flado(フラド)」という名のケーキとして広まり、14世紀には現在の「Flan Parisien(パリ風のフラン)」になりました。
ちなみに、食感が似ている「プリン」は16世紀の大航海時代にイギリスで姿を現し、その後18世紀~19世紀のフランスで今の“カスタードプディング”の形として浸透したといわれているので、フランの歴史はプリンよりも古いお菓子というわけです。
フランは見た目だけでなく、使う材料も作り方もシンプル。フランスではさっと作れる家庭料理としても親しまれているそう。ふだんお菓子作りをしたことがない人でも挑戦しやすいですよ。
一般的なフラン以外にも、りんごや洋梨などのフルーツを入れたアレンジレシピも!生地から作るレシピは少し手間はかかりますが、その分完成したときの感動はひとしお。本格的なおいしさを楽しめます。
フランは出来上がりと時間が経ってからで食感が変わるので、おうちで作るとその違いを体感できます。また、フランはスイーツといっても甘すぎず、日本人の味覚にも合う食べやすさ。これまで日本で数々のフランス菓子がヒットして定番化してきたことを考えると、フランも日本で絶対的人気を誇るスイーツになるかも!?ぜひ注目してみてください。
(参考文献・日仏商事株式会社「フランスで流行の伝統菓子 「フラン」[前編]フランの歴史)