台南で流行中！果物とコーヒーを合わせた「フルーツコーヒー」が日本でもブームの予感

台湾・高雄にある私心珈琲のフルーツコーヒー（画像提供：@yoochanpetite）

日本からの観光客も多い台湾。様々な流行の発信地となっていますが、最近その台湾の台南でフルーツコーヒーという飲み物が流行中というのをご存知でしょうか。コーヒーにフルーツの果汁やフルーツそのものを加えた、フルーツの爽やかな甘さとコーヒーの風味を同時に楽しめるドリンクなんです。

実際にフルーツコーヒーは台南でどのように注目されているのか、現地在住の陸さんにお聞きしました。このドリンクが生まれた理由には、台湾ならではの理由がありました。

こちらも私心珈琲のフルーツコーヒー（画像提供：@yoochanpetite）

− 台南でフルーツコーヒーが人気となったのはいつごろでしょうか。

陸さん：「はっきりとした流行のはじまりは定かではありませんが、2019年頃からフルーツを使ったお茶やアイスドリンクが流行し始めました。当時はフルーツドリンクの専門店が存在しなかったものの、フルーツドリンクを扱うチェーン店が増加し、その流れでフルーツコーヒーも広まりました」

− 先にフルーツドリンクが生まれて、そのあとにコーヒーへと派生したのですね。台南でフルーツを使った飲み物がここまで広まったのには、何か理由があるのでしょうか。

陸さん：「台南は常に暑い気候であるため、さっぱりとしたフルーツの飲み物が好まれます。また、台南のフルーツは安くておいしいので、幅広いメニューに利用されているんです」

− 台湾産のフルーツは、パイナップルを筆頭に日本でも親しまれています。おいしくて価格も手頃だから、ドリンクに加工されることが多いのですね！

台湾セブン-イレブンのシチリアンコーヒー・西西里檸檬咖啡（画像提供：ブログ「くいしんぼうCAMのもっとおいしい台湾!!」）

台湾では、フルーツコーヒーブームの前に「シチリアンコーヒー」という飲み物が人気となりました。こちらはレモン入りのコーヒーで、現地の「セブン-イレブン」が商品化したこともあり、台湾全土で親しまれているようです。

− シチリアンコーヒーが台湾で人気になったのはなぜでしょうか。

陸さん：「人気になった具体的なきっかけは不明ですが、シチリアンコーヒーは以前からコーヒー店のメニューによく見られました。セブン-イレブンがシチリアンコーヒーを商品化したのは、2020年ごろだったと思います」

− 今から4年ほど前に商品化されていたのですね。セブン-イレブン以外のコンビニエンスストアや外食チェーン店では、シチリアンコーヒーは商品化されていたのでしょうか。

陸さん：「スターバックスやファミリーマートなど他のチェーン店でも、名称は異なるものの、シチリアンコーヒーが商品化されて広く楽しまれていました」

シチリアンコーヒーの「コーヒーと果汁」の組み合わせが、現在のフルーツコーヒーのもととなっているかもしれませんね。

− 現在、台湾のフルーツコーヒーには、どのような果物が使われているんでしょうか？

陸さん：「レモン、グアバ、パイナップル、いちご、パッションフルーツ、オレンジ、マンゴー、梅、グレープフルーツなどが使われています。台南はバリエーション豊かなフルーツコーヒーが人気で、台北でも定番のシチリアンコーヒー（レモン）が人気です」

− 台湾内でもエリアによって、フルーツの流行が違うのですね！いろいろなフルーツのコーヒーを飲み比べしてみたくなります。

Barista RAY COFFEEの草苺（木いちごの一種）とグアバコーヒー（画像提供：@yoochanpetite）

次に、台湾旅行の際にフルーツコーヒーを飲んだという若山曜子先生にも、その味わいについてお聞きしました。

− 若山先生は台南の「Barista RAY COFFEE」でフルーツコーヒーを初めて体験されたそうですね。初めて見た時の印象を教えてください。

若山さん：「SDGsの観点からかプラスチックカップではなく、紙カップに変わっていました。シェイクして出してくれるので、見た目は普通のコーヒーと同じです」

− お味はいかがでしたか？

若山さん：「友人がおすすめしてくれた季節の草苺とグアバを買いましたが、どちらもおいしかったですよ。フルーツの味が先に感じられ、最後にコーヒーの苦味で喉越しがよくスッキリとします。甘ったるさは残らず、非常においしいと思いました。またレモンコーヒーも飲みましたが、レモンの爽やかで少しビターな風味がコーヒーの苦味に合っていて、こちらもおいしかったです。レモンが一番飲みやすいかもしれません」

− 若山先生から見て、こういったフルーツコーヒーはどのような人たちに好まれそうでしょうか。

若山さん：「フルーツの甘みとコーヒーの苦味が絶妙にマッチしていて、多くの人に受け入れられる味です。コーヒーに深いこだわりがある人よりは、ライトにコーヒーを楽しむ方に受け入れられやすいかもしれませんね」

− フルーツコーヒーを購入した際に、作っているところはご覧になりましたか？どのように作られているのでしょうか。

若山さん：「作っている手もとはよく見えなかったので推測ですが、果汁を砂糖と合わせてシロップにし、それをコーヒーで割って作るのだと思います」

− フルーツコーヒーに使用するコーヒーは、どのような種類のものがよさそうでしょうか？

若山さん：「私が感じた限りでは、比較的ローストが軽めのコーヒーが合いそうです。深煎りよりもフルーツの味と良く合う気がします」

− 若山先生が実際に飲まれた草苺とグアバ、レモン以外に、フルーツコーヒーに合いそうだなと思われるフルーツをいくつか教えてください。

若山さん：「パイナップルやいちごも合いそうです。ほかのフルーツでも、意外となんでも合う気がします。どのフルーツもナチュラルな香りと甘味、そして酸味を持っていて、これがコーヒーの酸味と非常に合います。コーヒーも果実だから当然なのかもしれませんね」

− 実は、台南で残念なフルーツコーヒーも一度体験されたとか。フレーバーや味わいについて教えてください。

若山さん：「台南のおしゃれなコーヒー屋さんで、ライチ珈琲というものも飲みましたが、これはあまりおいしいと思いませんでした。香料や甘味などが添加されたシロップを使っているようで、不自然な甘さと香りがコーヒーの味と合わないと感じたんです」

− コーヒーと合わせるのは、人工的ではないナチュラルなフルーツのほうが相性が良さそうですね！

日本ではあまりまだ見かけないフルーツコーヒーですが、クックパッドにはすでに手作りできるレシピがいくつか投稿されています。使用するフルーツによって味わいが違うので、いろいろなレシピで試したくなりますね。

甘酸っぱくさっぱりとした飲み口は、蒸し暑い夏にもぴったり。今後流行に火がつき、日本でもフルーツコーヒーを楽しめるお店が増えるかもしれませんね。この夏は流行に先駆け、ご自宅でフルーツコーヒーをブレンドして楽しんでみてはいかがでしょうか。

料理・菓子研究家。フランス国家資格 (CAP)取得。 レシピ開発のほか、オンライン料理教室を主宰。 おしゃれで作りやすいレシピが大人気。 『疲れていても、おいしいものが食べたい！　若山曜子の気楽に作る日々のごはん（家の光協会）』『お茶のお菓子（マイナビ出版）』など著書多数。

Instagram：@yoochanpetite

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