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コラム

本場イギリスでは食べ方で論争が勃発!奥深い「英国式スコーン」の世界

菱 路子

キッチングッズマニアな料理ライター

クックパッドでは毎年、翌年にブームになりそうな料理や食材を選出する「食トレンド予測」を発表しています。その一つに選出された「英国式スコーン」。日本でも人気のあるお菓子ですが、イギリスのスコーン事情をクックパッド・イギリスのスタッフに聞きました!

紅茶ブームで、スコーンも注目度上昇中!

最近、英国式のアフタヌーンティーを楽しむ活動、いわゆる「ヌン活」が流行しています。

ブームの影響で紅茶の人気が高まるとともに、紅茶のお供に欠かせないスコーンにも注目が集まり、「デメララ・ベーカリー」「ロダス」「グッディ・フォーユー・六本木」など、スコーンの専門店が登場。英国式のスコーンがぐっと身近な存在になりました。

イギリス式スコーンって?

スコーンはイギリス式、アメリカ式などに分類されます。イギリス式スコーンの材料は、小麦粉・バター・ベーキングパウダー・牛乳などシンプルなものです。

イギリス式スコーン。食感は軽く、少し粉っぽさが感じられる生地が特徴です。スコーンの真ん中にヒビが入る「腹割れ」があり、クロテッドクリームとジャムをはさんで食べるのが一般的。

アメリカ式スコーン。イギリス式と異なり、チョコレートやナッツなどの具材がしっかり入っています。何もつけずに単品で食べることが前提。

スコーンに欠かせない、クロテッドクリーム

クロテッドクリームは、イギリスに伝わる伝統的なクリームです。脂肪分の高い牛乳を弱火で煮詰め、表面に固まった乳脂肪分を集めて作ります。

日本でのスコーンブームとともに、クロテッドクリームも入手しやすくなってきているそうですよ。

本場イギリスでの食べ方は?クックパッドスタッフに聞いてみた

では、本場イギリスの人々は、スコーンをどのように楽しんでいるのでしょうか?
クックパッド・イギリスのスタッフの数名に聞いてみました。

イギリス人にとって、スコーンはお菓子?

日本では「イギリスのお菓子といえば、スコーン」というイメージが強いですが、一方イギリスでは「午後に紅茶と一緒に食べるもので、あまりお菓子やデザートとは思っていない」ものなんだそうで、例えば食事のあとにスコーンを食べる…というのは「ありえない!」とのこと。

ではどのようなお菓子が有名かというと、「ヴィクトリアケーキ」に代表される、スポンジケーキの人気が高いそうです。ヴィクトリアケーキとは、2枚のスポンジでラズベリージャムをはさんだケーキのことです。

スコーンはお菓子やデザートという分類ではなく、あくまで紅茶と一緒に嗜むものなんですね。また、プレーンなスコーンのほかにも、しょっぱい味付けのチーズスコーンも親しまれているそうです。

家で作る?お店で買う?

紅茶に欠かせないスコーンですが、イギリス人はスコーンを手作りするよりは、お店で買うことが多いのだそう。「だいたいのスーパーマーケットで買えますよ」とスタッフが教えてくれました。

日常になじんでいるからこそ、手軽にスーパーで買えるようになっているのですね。

その一方で、「スーパーで売っているスコーンもおいしいけど、ティールームで食べる焼き立てが一番です!」という意見も。やはり専門店の焼き立てにはかなわないですね。

日本でも、スーパーで売っているお寿司と、カウンターで食べるお寿司はやはり違いを感じるものですよね。スコーンにも似た感覚があるのかもしれません。

どんな時に食べる?

イギリスの人たちは、スコーンをどのようなシチュエーションで食べているのでしょうか。日本でもおなじみのアフタヌーンティーはもちろんですが、「夏にクリケットやテニスを見に行くと、どんな規模のイベントでも紅茶とスコーンが出されます」と、季節のイベントでも紅茶とスコーンを楽しむ文化が根付いているようです。

クロテッドクリームorジャム、先に塗るのはどっち?

スコーンに欠かせないお供といえば、クロテッドクリームとジャム。日本ではどちらを先にスコーンに塗るか、はあまり意識されることがないと思います。

しかしイギリスでは、「コーンウォール式とデヴォン式があり、それぞれ逆の順番でスコーンに塗って食べます」と、塗る順番について2派に分かれていて、主張を曲げずに論争が続いているそう。

コーンウォールはジャムが先、デヴォンはクロテッドクリームが先。どちらの地域もクロテッドクリームの有名な産地で、並々ならぬこだわりがあるのでしょう。「毎年恒例のコーンウォールVSデヴォンのクリケット・ゲームでは、負けたほうが相手の望む順番でスコーンを食べなければいけないんです」と、ちょっとした罰ゲームのように使われるほど、イギリスでは「あるある」の論争なんですね。

左がコーンウォール式、右がデヴォン式。

スコーンの発音でも意見が割れる

なんと、その発音も人によって違います。sconeを「スコーン」と発音するか、「スコン」と発音するか、地域や階級によっても分かれるそうです。

議論が尽きないスコーンですが、それだけイギリスの人々に愛されている証拠なのかもしれません。

英国式スコーン&クロテッドクリームのレシピ

さて、クックパッドには、多くのスコーンレシピが投稿されています。ポリ袋を使って生地をこねたり、ホットケーキミックスを使ったレシピが人気ですが、今回はイギリス式のスコーンレシピと、クロテッドクリームの作り方をご紹介しましょう。

プレーンスコーン

チーズ入りスコーン

クロテッドクリームを手作り


ジャムや紅茶も用意して、おうちでアフタヌーンティーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(TEXT:菱路子)

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執筆者情報

菱 路子

料理ライター、モノライター、編集者。料理関連の会社に勤めるかたわら趣味で立ち上げたお弁当ブログがきっかけとなり、ライターとしてのキャリアをスタート。料理コラムの執筆やレシピ提案、料理写真撮影などで活動中。キッチングッズマニアで、ネットでグッズ情報を探すのが大好き。ITエンジニアの夫、小学生の娘、キジトラ猫と暮らしています。

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実績・お仕事

・クックパッドニュースでレシピ記事を1000本以上執筆。
・株式会社 朝日デジタルラボの運営する情報サイト「moovoo」でレビュー記事執筆。
・その他、会員制サイトの料理コラムなどを担当。

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