いよいよ始まった夏休み。全国のママ&パパが、この時期毎年頭を悩ませているのが「自由研究」ではないでしょうか?
自由研究ってそもそも、どんな目的でやるべきなのか? 何をテーマにすればいいのか?という疑問に、現役の小学校教諭として東京学芸大附属世田谷小学校で教鞭をとる沼田晶弘先生に答えていただきました。
子どもが興味を感じるテーマについて「追究」するのが自由研究です。つまり、何かを作って終わりにするのではなく、作る過程で生じる疑問や失敗について深く考えて、掘りさげていくことが大切です。
保護者の立場からすると自由研究を一発で成功させ、立派なレポートにまとめあげることが大切だと考えがちです。でも研究で最も大切なことは自分でやってみること。失敗してもいいんです。失敗することで「どうして失敗したんだろう」と失敗の理由を自ら考え、「次はこういうやり方にしてみよう」と別の方法を試すことで答えを導き出すという経験を積むことができます。正しい答えを見つけるために実験を繰り返すこと、それがまさに「研究」なんです。
インターネットで簡単に答えを見つけられる時代だからこそ、自分自身で答えを探す経験はとても貴重です。人から教えてもらったことはすぐに忘れても、自分自身で見つけた答えはずっと忘れないはず。自由研究のテーマが決まったら、まずは失敗を覚悟で、子ども自身のやり方に任せてみてはいかがでしょうか?
いかにも自由研究らしいことをさせる必要はありません。その子なりに疑問に思うことを掘り下げていけば、それは立派な自由研究になります。実験前にまずやってほしいのが、答えを「予想」させること。次に、自分が予想した答えが正解かどうかを調べる方法を考えましょう。
<予想1>甘いトマトは「甘み」の成分が多いから重いのではないか?
→甘いトマトを見分ける実験をしてみる
<予想2>甘いトマトは栽培方法が違うのではないか?
→八百屋さんやトマト農家に、トマトの甘さについて質問してみる
このように、同じ疑問でも予想した答えが違えば、研究の方法も自然と変わっていきます。親子で自由研究の「きっかけ」を探し、親は正解を教えるのではなく、研究を掘り下げる手伝いをしましょう。
・「ふしぎ」に思うことを調べる
自分なりに答えを考えて、その答えが正しいか確かめるために実験したり調査したりする。うまくいかない場合は、別の方法を試す。
・「新しいこと」にトライする
おもしろそう、やってみたいと思うことに挑戦し、やり方をレポートする。その過程で感じた疑問、失敗の経験、成功のための工夫や注意、などをまとめる。
・「集めたもの」を比べてみる
昆虫を集めたり、毎日の食事を記録してみる。集まったものや記録を、比べたり、グループ分けしたりして、気づいたことをまとめる。