毎日いただくご飯。皆さんは、普段どのように米を保存されていますか。生鮮食品である米は、保存の仕方によって、炊き上がりの味が左右されてしまう、とてもデリケートな食品です。
米は、購入したままの袋で保存しておくと、管理や流通のために付けられている小さな穴から、水分が蒸発して、乾燥したり、湿気を吸ってしまうことがあるため、そのままでの保存には、適していません。
米の保存は、温度が低く、湿気が少なく、直射日光が当たらない、暗い場所が適しています。具体的に言えば、湿度が70%前後、温度が15度以下を、ほぼ一定に保ちつづける、低温の場所での保管ということになります。しかし、家庭で、このような場所を探すのはたいへんです。そこで、冷蔵庫で保存することをおすすめします。
冷蔵庫の中で保存すると、米粒が冷えるため、米のうま味を逃さずに、短時間でとぐことが出来、炊いているときに、米のうま味が出やすくなります。できれば、野菜室での保存がよいでしょう。野菜室は、冷蔵庫の中でも水物や香りの強いものが入らず、温度と湿度が一定なので、保存に適しています。
冷蔵庫に入れるときは、まとめて入れるのではなく、1回にとぐ量ごとに小分けをして、野菜室の底に敷き詰めるようにしてください。
小分けするには、チャックがついている密閉袋が使いやすくてよいでしょう。このように、小分けをしたほうが、米をとぐ時に便利ですし、敷き詰めることで、ほかの食材の邪魔になりません。また、保冷剤としても、クッションとしても、役割を果たしてくれます。野菜室のない冷蔵庫をお持ちの場合は、米を偏りなく冷やすために、冷気の吹き出し口から、いちばん遠いところに小分けして置いてください。
冷蔵庫で保存すると、常温で保存するよりも、精米直後の美味しさが長時間保たれますが、それでも、ひと月半ほどで食べきるようにしましょう。
協力:西島豊造(スズノブ) 文:田中真唯子 写真:松浦弥太郎
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