cookpad news
コラム

人口約100人、スペインの小さな村で田舎暮らし。後継者不足に悩む「チョリソー作り」に日本人女性が挑戦する理由

【おいしい! スペイン田舎暮らしvol.1】自然豊かなスペイン北部の村で暮らし始めて10年になる、クックパッドアンバサダーのmalcoco07さん。地元の食材を使った昔ながらの手作りの食を伝えてもらいます。

季節の手しごと「チョリソー」の仕込みは1年分、50キロ!

スペイン北部のナヴァラ州にある、人口100人ほどの小さな村で暮らすクックパッドアンバサダーのmalcoco07さん。持ち前の食への愛と好奇心で、現地の方から地元の郷土料理を教わり、伝える活動をしています。代表格といえる郷土料理は、日本でも人気の「チョリソー」だそう。

malcoco07さん:「私達の村に住むご高齢の夫婦とその娘さんたちと一緒に、手取り足取り教わりながら作ったのが始まりです。毎年冬場に1年分を大量に仕込むのですが、このご夫婦がきちんと残されていたレシピに沿って作業し、細かい工程も全てこのご家族に教わったんです。昔の村の様子などの話しも聞きながらで本当に貴重な体験でした」

仕込み中のチョリソー、巨大!

チョリソーのおいしいところを先取り⁉︎「ピカディージョ」

日本の一般家庭でチョリソーを仕込むのはさすがに難しいですが、中身のおいしいトコロを先取りしていただけるお料理があるそうですね。

malcoco07さん:「チョリソーに詰める前の下味のついたお肉を、そのまま炒めて作る料理がこのピカディージョです。チョリソーを作る日に、味の確認のためにこのピカディージョを作って、作業の前に食べるんですよ。普段も軽食やランチとして食べられることが多いですし、目玉焼きやフライドポテトを添えてもOK。個人的には日本のそぼろの様な感じなので、ご飯の上にのせて食べると絶品だと思います!

チョリソー仕込みの日の”お味見ピカディージョ”

受け継ぎたい、スペイン郷土の味

malcoco07さん:「昔はこの地域では各家庭でチョリソーが作られていたので、どこの家庭にも腸詰め器具が残っています。しかし、だんだんと使われなくなり、今でも毎年仕込んでいるご家庭はごくわずか。実は去年の暮れに最初のチョリソー作りを教えてくれたお父さんが亡くなってしまい、これからますます伝え手が減っていくことには危機感を感じます。日本と同じく高齢化が進んで若者は都市へ流出していくなど、田舎なりの課題は多いですが、今自分がここで受け継ぐことで、何らかの価値を残せるのかも…。そんな思いで私もチョリソー作りを続けているのかもしれません」

仕込みの様子。右側の写真で使われているのが腸詰めの器具

自然に囲まれた豊かな土地から、日本の皆さんへもわかりやすく郷土の味を伝えてくれるmalcoco07さん。今回の「ピカディージョ」の他にも、作りやすいレシピをたくさん発信してくださっているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

malcoco07さん

スペイン在住のクックパッドアンバサダー。
日本で調理師免許を取得し、日本、オーストラリア、スペインでの飲食店勤務後、現在はスペイン北部のナヴァラ州の小さな村で、地元の豊かな自然、食材、人々と触れ合いながら食文化を探求中。地元の人やスペイン在住の日本人向けに料理教室を主宰するなど、日本の食文化普及の活動もしています。
現地で手に入る食材を駆使して、お味噌や梅干しも仕込んでいるそうですよ。お住まいのアパートの窓から、毎日絵画のような絶景が見られるそう。

編集部おすすめ
クックパッドの本