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コラム

100均でも売ってるけど…値段の高いフライパンと安いフライパン、何が違う?専門家が解説

静岡駅前「呉服町商店街」にある家庭用品専門店の三保原屋本店。お鍋やフライパンなどの台所用品から暮らしの道具まで幅広く扱う専門家に、キッチングッズについて教えていただきます。

三保原屋本店は静岡の家庭用品専門店。創業は1687年といわれています。 今回はテフロン・フッ素樹脂加工のフライパン(以下、フライパン)について。

その期待・・ちょっと待って!

お店で日々感じるのが・・ 「高いフライパンなら、丈夫よね!」 という、口には出さないけど、潜在的なお客様のご期待。

そんな質問を受けると・・ 「正しく使えば、高いフライパンは、理論上は長持ちします。」 という、なんかモニョモニョした話をすることがあります。

※テフロンやフッ素樹脂加工は、フライパン専用の加工・技術ではなく、様々なものに用いられる加工です。

たとえば

三保原屋本店でも業務用レベルのフライパンを陳列しています。 価格は2万以上するものもあります。

モノはとても良いですが、こんな注意書きが。
●空焚きは禁止
●中火以下でご利用ください
しかも大きな文字で書かれています。

価格の高いフライパンであっても、取り扱いは正しくしていただく必要があります。

フライパンが傷む理由

以前もnoteで記載しましたが、フライパンが傷む理由は
①超高温
②ダメージ(金属ヘラガリガリや、食材の長時間放置)
③急冷
です。

なので、これを避けていただくと、理論上はフライパンは長持ちするはずなので、是非トライしてみてください。

家庭用品の中ではハードな利用

そもそも。 家庭用品の中で、直火にかけるという行為はかなりハードです。 その中でも空焚きや、超高温での利用は、超超ハードです。

フライパンは調理器具ですが、誤解を恐れずに記載するならば、 「テフロン・フッ素樹脂は、高温には決して強くはない」とご理解ください。 (樹脂なので仕方ないんです。)

このあたりの表現は、比較対象が「何か」によります。 ※樹脂の中では、高温に強いと評価されることがあります。 ※鉄フライパンなどに比べると弱いとも言えます。

実は、IHは注意が必要

【裏面】IH用の3つのタイプ IH対応のフライパンの裏面には主に3つのタイプがあります。
①裏面にボコボコした板が貼っているタイプ(ボコボコ)
②裏面に金属の粉を吹き付けているタイプ(ザラザラ)
③裏面全体を金属で包んでいるタイプ(つるつる)

比較しやすい①と③を記載します。

①ボコボコタイプ

一番量産に向いており、安価なものも多く、軽いものもあります。 3タイプの中では一番発熱の効率が悪い傾向があります。 (ボコボコしているところが発熱しない素材)

メリットは
・安価になりやすい
・フライパンが軽い傾向

デメリットは
・発熱の度合いが低い傾向
・熱ムラがでやすい

です。 フライパンを消耗品として考えた場合には、価格面も大切ですし、物理的な重さが厳しい方にはオススメです。

③つるつるタイプ

価格が高価で、重たい傾向があります。 最も発熱の効率が良く、蓄熱性もあるので熱ムラがでにくいです。

メリットは
・発熱の効率が良い
・熱ムラが出にくい
→料理や表面加工の寿命に、理論上◎

デメリットは
・価格が高いことが多い
・重たいことが多い

です。 品質が良いものが多く、上手に使えば長持ちします。

【大切】IHの場合に特に注意

↓高価なフライパンの注意書き。熱に関する注意事項が最初に来てます。

・フライパンの表面加工は高温に弱い ・高価なIHフライパンは発熱の効率が良い という傾向や特徴を加味すると・・。

IHに関しては、特に高価なフライパン(上記③タイプ)は、 「省エネ」感覚で使って頂くことがオススメです。 →中火以下の火力で、フライパンが温まれば弱火でもok。

※フライパンの構造や、ご自宅の環境にもよりますが「高いフライパンなら強火OK」というワケではないことが伝われば幸いです。

強火MAX≒時速180km 以前フライパンイベントの際にメーカーさんと、極厚ホットケーキを焼くイベントをした際に・・。

あくまでも「テフロン・フッ素樹脂加工のフライパン」においては、 自宅のコンロや、IHの「MAXの強火」は、 車のスピードメーターの「180km(国産車スピードメーターの最大値)」 と言ってもいいかもね。

と話をしたことがあります。

車もハイパワーな性能を示すためにスピードメーターが時速180kmまで表記があります。しかし、時速180kmを街中で使えば、きっと事故が起きます。

一般道であれば時速60kmあれば十分に生活はできるかな?と思います。 そんな感覚です。

そもそもの構造を理解して! こんな回りくどい記事を書きながら、個別商品のオススメを記載していないのは、最後はお客様に買い物の選択をしていただきたいから。

「フライパン おすすめ」などのキーワードで検索すると、 個別商品をオススメするサイトが多くヒットします。

その結果、お客様は 「●●のブランド、●●の商品ならOK」 のような特定の”答え”のような感覚を持たれる傾向が強くなっていると感じています。

情報は選択のために! 分かりやすく記載すれば たとえば、ティファールさんのフライパンにも様々なランクが存在します。 日本製のフライパンと言っても、様々なランクが存在します。

大切なのは、 使われる方にとって、その道具が良いのか 道具としては、その使い方でよいのか ということだと思います。 (結果、良い買い物ができていれば、私たちとしては嬉しい限りです。)

また、そもそも道具選びには「ライフステージによる最適解」はありますが、「万人共通の正解」は無いと思っています。

情報はあくまで「使うもの」。 情報に「使われる側」になるよりも、ご自身で判断をした方が、買い物も生活も、場合によっては失敗も、きっと、より良いものになると思っています。

この記事は三保原屋本店のnoteから転載しています。

著者プロフィール

三保原屋本店

1687年創業、静岡の家庭用品店。静岡駅前にある「呉服町商店街」で営業をしております。 基幹店舗の「三保原屋本店」では、キッチン雑貨、フライパン、陶器、木製品、服飾雑貨、洋服、タオル、靴下、インテリア雑貨等を「専門店」として販売しております。

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